ストレスチェック127|ストレスチェックの実施体制(16/5/06)
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ストレスチェック127|ストレスチェックの実施体制(16/5/06)

2016年05月06日(金)9:52 PM

ストレスチェックの実施体制

ストレスチェックについて産業医を目指す医師向けコンテンツも127を数えるになりました。今回は実施するにあたっての役割と権限についての解説です。

 

事業者」:指針で定められたストレスチェック制度での役割は以下です。ストレスチェック制度実施に当たっては、実施計画を策定し、事業場内の産業医や委託先の外部機関との連絡調整や、実施計画に基づく管理を行う実務担当者(ストレスチェック制度担当者)を指名し、実施体制を整備することが望ましいとされています。

 

実務担当者(ストレスチェック制度担当者)」:ストレスチェック制度を実施するにあたり、会社側の責任者です。本制度の実施計画を策定したり、実施管理したりと、実質責任者になります。以下で述べる実施者や実施事務従事者とは異なり、ストレスチェック結果等の個人情報を直接取り扱うことをしないため、人事総務課長など、人事権を持つ者でも担えます。指針では、衛生管理者や事業場内メンタルヘルス推進者が担うことが望ましいとされています。

 

実施者」:ストレスチェックの実施主体となれる者であり、「医師保健師その他の厚生労働省令で定める者」(法第66 条の10 第1項)とされています。ここでの厚生労働省令で定める者とは、厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師もしくは精神保健福祉士であって、ストレスチェックを実施する者を指します。マニュアルでは、日頃から当該職場の状況を把握していることより、産業医が実施者になることが最も望ましいとされており、次いでその事業場の産業保健活動に携わっている場合にのみ、精神科医や心療内科医等の医師、そして前述要件を満たした保健看護職が担当できます。従ってかかりつけ医は担えません。また産業医が実施者を担当する場合には労働者本人からの同意を得るプロセスが不要なため、高ストレス者の早期把握と素早い対応が可能です。

 

なお、「公認心理師」資格を定める「公認心理師法」が2015年9月19日、第189回国会において成立しました。公認心理師が行う心理行為としては、「対象者の心理状態の観察・分析」「対象者との心理相談による助言・指導」「対象者の支援者との心理相談による助言・指導」「メンタルヘルスの知識普及のための教育・情報提供」の4種が掲げられており、今後、実施者の要件として「公認心理師」も認められることと想像しております。

 

[ポイント]  「実施者」と「事業者」とは違います。ストレスチェック制度では個人情報の保護が、これまでの定期健康診断より格段に強化されました。そのために、「事業者」ではなく「実施者」に、ストレスチェックの実施と結果の把握を厳格に実行させる意味があります。従って人事権を有する者(基発では「解雇、昇進または異動などの直接の権限を持つ監督的地位にある者」)は、人事権の対象となる労働者に対するストレスチェックの実施者にも、そして「実施事務従事者」にはなれません。例えば病院という事業場においても、企業の健康支援センター長のような人事権を有する統括産業医は、その部下に対してストレスチェックを実施することは出来ません。

 

この「実施者」は外部機関へ業務委託することが出来ます。その場合、産業医等の事業場の産業保健スタッフが「共同実施者」として関与し、個人のストレスチェックの結果を把握したり、面接指導の要否を確認したりするなど、その外部機関と事業場内産業保健スタッフが密接に連携することが望まれます。

 

「共同実施者」:ストレスチェックの実施者が複数名いる場合の実施者を「共同実施者」といいます。元から契約している産業医が、“メンタル対応は苦手だ!という場合、「実施者」を外部に委託することになります。その場合、その産業医は、労働者のストレスチェックの結果について、本人からの個別の同意がなければ内容を把握することが出来ません。一方、産業医が「共同実施者」という立場であれば個別同意は不要です。ストレスチェック結果もプライバシーへの配慮が必要な健康情報の一つとして管理することになるからです。従って高ストレス状態にある労働者を把握し、即、相談対応したり面接指導を勧奨したりと迅速な対応が出来るため産業医には、「共同実施者」の役目を果たしてもらうことを契約の最低条件とすることを勧めます。以上よりメンタル不調への対応が苦手としている産業医と契約していたとしても、この「共同実施者」として参画するよう要望しましょう。断られた場合や、このような課題を指摘することさえないストレスチェック受託機関と契約を締結してしまった場合でも、メンタル対応に長けた医師や労働衛生コンサルタントに、必要な際にのみ相談する先としての顧問就任を打診する方法があります。

 

「実施代表者」:複数名の実施者を代表する者を「実施代表者」といいます。

 

「実施事務従事者」:実施者のほか、人事権はない者のうち、実施者の指示により、ストレスチェックの実施の実務(個人の調査票のデータ入力、結果の出力事務、個人の結果の保存(事業者に指名された場合に限る)、面接指導の申出の勧奨等を含む。)に携わる者を指します。実施者と同様に人事権を有する者はなれません。人事権を持つ者が衛生管理者を兼ねている場合にはその衛生管理者はなれません。

*ネットを介してのストレスチェックを実施する場合、「実施事務従事者」がネットシステムに精通していないと、外部従事者に委託せざるをえません。その外部会社がIT会社だとプライバシー保護の観点から、注意が必要になります。

*実施事務従事者に対して課された責任の重さに対して、将来性まで奪われかねないことを危惧し、“任命されるくらいなら退職する”と担当予定者が就任を拒否したり、実際に退職まで至った事例が複数確認されています。

事例①:人事権ある地位にないとはいえ人事部部員である場合、労働者から、“人事に影響があるのではないか?”との疑念を受けた事例がありました。防止する方法は、その者を一定期間、人事権ある地位に就けないようにすることや別の職務の管理職に列することになります。しかしながら、課せられた守秘義務の重さに対応した処遇とはいえないでしょう。

事例②:独身者が実施事務従事者を指名された場合でした。“異性に感情的な配慮をするのではないか?”というそしりを受けました。

 

以上のような事例への解決策としては、後述しますが実施事務従事者は社会保険労務士のような専門家に外部委任とするか、医療職を始めとした専門職を雇用して対処することが考えられます。

 

 

  • 『ストレスチェック対象者管理基本台帳』作成
  • 派遣社員も含め、実施事務従事者は、ストレスチェック制度の対象者、受検者、未受検者をリスト化する必要があります。社内情報なので全て外部に委託は出来ません。また、ストレスチェックを紙ベースで実施する際にも、表計算ソフトを使って作成することが現実的です。なぜなら、社員台帳と紐付けしておくことでアップデートしやすいからです。

・項目としては、社員番号、氏名、生年月日、性別、入社年月日、所属、職位、受検希望の有無、受検の有無、領域ごとの点数、結果判定、医師への面接希望の有無、事後措置内容が挙げられます。

 

☆派遣労働者については、ストレスチェック及び面接指導の実施義務は派遣元にあります。対して集団的分析は派遣先が、派遣労働者を含めて実施することが望ましいと指針に規定があります。

☆出向者のうち移籍出向は出向先が実施義務を負います。

  在籍出向については、指揮命令や賃金支払いの実際に応じて、出向元と出向先が協議して決める必要があります。

☆海外出張者の場合、現地企業に雇用されている海外駐在者の場合には実施義務はありません。それ以外は定期健康診断と同じように受検の対象となります。

なお 安衛則43条により「海外派遣労働者健診」の対象となる海外に6ヶ月以上派遣される予定にある方は、本来は派遣対象となる前にストレスチェックを受けてもらうと良いのでしょうが、定期健診さえも派遣が決まってから体調評価がされるような順番がおかしい企業ある中、どこまで実効性が得られるのかは今後の課題です。

 

  • 実施者及び実施事務従事者以外がストレスチェック結果を閲覧することがないようなセキュリティ確保

・ストレスチェックを紙ベースで実施する際には、社内の実施事務従事者は、労働者から返送されたストレスチェック結果を、人事権を持つ者をはじめとして、本人以外の者の目に触れる機会を避ける配慮が必要です。一例として人事部から労務部を新たに独立させたり、ストレスチェック結果は実施者と実施事務従事者以外の者が入ることのない別の部屋で実施したりと物理的に離す工夫があります。物理的限界がある場合でも、同じようなプライバシー配慮が必要なセキュリティレベルが高い社内文書に、人事評価・人事考査・ボーナス査定結果等があります。それらを取り扱う際の工夫かつ、人事権を持つ者が目に触れることがないよう、別フロアで作業に従事することも検討できます。どうしても同じフロアで作業をせざるをえない場合には、実施者と実施事務従事者以外の者の目に触れないよう、離席の際には隠すといった細心の注意を払いつつ、かつ人事権を持つ者が不在のときや休日に作業を行う工夫が必要になります。

 

・電子ファイルやネットを介して作業する場合には、実施者と実施事務従事者しか知りえない暗証番号保護が必要になります。その場合でも、周囲に実施者と実施事務従事者以外の者が勤務している場合には、ストレスチェック制度の結果を話し合ってはいけません。別途、会議室で協議するような工夫が必要となります。

*危惧されていることとして実施者や実施事務従事者がネットインフラに明るくない場合があります。通常、そうでしょう。個人情報の流通を、社内の情報管理部門に任せることに、社内から同意が得られましょうか。社外のIT関係会社に委託している場合も同じです。果たして情報保護が出来ているといえるのか、社員は心配することでしょう。何しろ今まで健康管理において門外漢だった業者が多数、参入しています。外部委託先選考については後述します。

 

・上記のような措置を講じたとしても、人事権を持つ者は、実施事務従事者に対して、その権限を振りかざしてのストレスチェック結果開示を迫るといった倫理感の欠如があってはいけません。また、労働者側から、事実ではなくても「自分が左遷されたのは、実施事務従事者が人事部長とツーカーだからだ」といった疑いの目を向けられるような、信頼が得られていない状況では、このストレスチェック制度は今後、毎年実施する必要があります。出だしから躓くことになってしまいますので、細心の注意が必要です。

 

・領域A「仕事のストレス要因」にある仕事に対する負担感や領域C「周囲のサポート」にある上司や同僚からの支援について、正直に回答した結果がいくら個人情報ということで保護されているとはいえ“内部で作業している以上、結果が一人歩きしてしまうのではないか?”との疑念を抱かれてしまうと、次のような疑心暗鬼が生じえます。“職場内の人間関係が悪化するのではないか?”と。いくら不利益が防止される規定があるとはいえ、一度抱いた感情は容易には変化されないからです。従ってストレスチェックを受けたくない という労働者や、受けても正確な回答をしない方が出る可能性は否定できません。 対応としては、次に述べる外部機関の活用になります。006960271c5-c3be-4aa3-a6c5-faf3091f3392-medium

 




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