新型コロナウイルス感染症対策①|症例定義の改良(20/05/06)
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新型コロナウイルス感染症対策①|症例定義の改良(20/05/06)

2020年05月06日(水)8:19 午後

「武漢での新型コロナウイルス感染症対策」シリーズにて英国政府からの同ウイルスによる情報を根拠とした感染症への対策を紹介し始めたのは2020年1月10日からでした。それから同シリーズは50報を数えました。その中で疑問を挟む他なかったのが、こちらで確認可能な厚生労働省による新型コロナウイルスに罹った際の主な症状という「症例定義」

改めて引用してみます。
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次の症状がある方は「帰国者・接触者相談センター」にご相談ください。

風邪の症状や37.5°C以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある

 

(中略)

その他、ご自身の症状に不安がある場合など、一般的なお問い合わせについては、次の窓口にご相談ください。

厚生労働省相談窓口電話番号0120-565653(フリ―ダイヤル)受付時間9:00~21:00(土日・祝日も実施)

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どなたかが、あくまで相談の目安だと述べていましたが、上記記載と同旨だと理解できるものでしょうか。


そんな中、国立感染症研究所からのデータが出てから2か月目に、症例定義が改められることになりました。

EBPMの経済学 エビデンスを重視した政策立案」(大橋弘編 東京大学出版会)という書籍もある時代です。


ともあれ、では、「帰国者・接触者相談センター」という名称もおかしくはないのかとの電話質問が、保健所業務を圧迫するのではないかと心配したくなります。

それはさておき、こちらも新シリーズ第1報としてこれまでの「武漢での新型コロナウイルス感染症対策」シリーズにて指摘し続けてきた新型コロナウイルス感染に関する当時の厚生労働省症例定義の課題をまとめなおすことで、科学的根拠に基づいた政策を立案するにはどうしたら良いのか、読者の皆々様と思考を深める契機になればと考えております。


1.第18報(2020年3月4日発)より

発熱81例/112例(72%)、←28%は「帰国者・接触者相談センター」に相談する目安とされている発熱がない!

肺炎43例/66例(65%)、←酸素飽和度測定にて簡易判別可能なこと、2009年の豚由来インフルエンザ(AH1N1-pdm)流行時、全国の開業医の先生方が見いだされていたこと、記憶に新しいです。

咳69例/112例(62%)、←咳や咽頭痛は、肺炎症状より割合が低いこと、特記事項。

咽頭痛23例/68例(34%)、←3分の2には生じていない!

全身倦怠感
20例/61例(33%)← 「帰国者・接触者相談センターに相談する目安とされている症状が3分の2には生じてない。

 

2.第23報(3月17日発)より

シリーズ⑱にて紹介した国立感染症研究所がとりまとめた国内での新型コロナウイルス感染症発生が3月9日現在287例へと蓄積が進んでおり、その内訳が同17日に新たに公開されました。全国の産業医の先生が、スライドで示しやすいように以下のように公開かつJPEG形式に無償提供します。

武漢病毒287例分析結果図


発熱66%、←34%は「帰国者・接触者相談センター」に相談する目安とされている発熱がない!

咳63%←咳は発熱より割合が低い

肺炎62%、←酸素飽和度測定にて簡易判別可能なこと、2009年の豚由来インフルエンザ(AH1N1-pdm)流行時、全国の開業医の先生方が見いだされていたこと、記憶に新しいです。


全身倦怠感
41%、 当⑱報告での33%よりは増加したものの、「帰国者・接触者相談センターに相談する目安とされている症状が6割近くでは生じていない。

咽頭痛27%、←7割はノドが痛くなかった!

鼻汁・鼻閉 20%、 ← 8割には鼻汁・鼻閉さえ生じない(単なる鼻かぜとは違う)

症対策㊱|症状出現割合@国内発生516例&動画で学ぶ感染防護(20/04/06)
 
 

3.第36報(4月06日発)より

国立感染症研究所がとりまとめた国内での新型コロナウイルス感染症発生者の症状内訳情報が3月23日現在、516例へと蓄積が進み、その内訳が4月6日に公開されました。全国の産業医の先生が、スライドで示しやすいように以下のように公開かつJPEG形式にて供覧すると共に、公益社団法人日本看護協会 チャンネル【コロナウイルス感染症対策に特化した情報提供】個人防護具の正しい着脱(診察編)という動画を紹介します。

 



発熱79%←当シリーズ㉓での34%よりは少なくなりましたが、未だ21%は「帰国者・接触者相談センター」に相談する目安とされている発熱がない!

咳76%←咳は発熱より割合が低い

肺炎63%、←“突然、症状が悪化した!”というフレーズ、テレビをご覧になっている方は聞き覚えがありましょう。でもそれは事実とは違います。発熱が顕著ではなく、ましてや咳や全身倦怠感もない方でも、知らず知らずのうちに肺炎を呈している可能性が63%もあるわけです。国内症例をはじめて扱った第18報(3月4日)でも紹介した「酸素飽和度測定」にて簡易判別可能なこと伝えている通りです。


全身倦怠感
47%、 「帰国者・接触者相談センターに相談する目安とされている症状が5割強では生じていない。

咽頭痛29%、←7割はノドが痛くなかった!


 


4.第45報 新型コロナウイルス感染症の「症例」定義(04月22日発より)


[課題]①37.5度以上の発熱が続く辛い中、所定の日数(最長4日)、我慢して耐えなければ発熱外来を受診できない現状は台湾や韓国と比べると、発症者に多大な負担を強いています。
②無症状例や軽症例が重症化することを抑止しえません。
③そもそも、何を根拠に、この症例定義が定められたのかは当シリーズ第43報にて児玉教授による推定がありますが、事実は確認できておりません。


[対策]当シリーズ第18報にて国立感染症研究所が2020年2月29日にとりまとめた国内での新型コロナウイルス感染症発生 事例が呈していた症状の割合をグラフ提示することで、厚生労働省の症例定義が、現実とは異なっていることを呈示(2020年3月4日のことでした)。
 

[政府の対応]4月20日に改定された積極的疫学調査実施要領が、本文2ページ目中段において、以下との記載がなされることで、整合性が高まりました(厚生労働省の科学的根拠を算出する組織から根拠が2月29日に出されてから52日目)。


発熱及び咳・呼吸困難などの急性の呼吸器症状を含めた新型コロナウイルス感染症を 疑う症状(以下参照)を呈した2 日前から隔離開始までの間、とする。

*発熱、咳、呼吸困難、全身倦怠感、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、頭痛、関節・筋肉痛、 下痢、嘔気・嘔吐など



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