ストレスチェック109|ストレスチェック制度についてプロ産業医による概略解説(2016/01/11)
トップページ > ストレスチェック109|ストレスチェック制度についてプロ産業医による概略解説(2016/01/11)

ストレスチェック109|ストレスチェック制度についてプロ産業医による概略解説(2016/01/11)

2016年01月11日(月)11:51 PM

☆ 研鑽を深めたい産業医向け:ストレスチェック制度の概略

メンタル産業医を目指している産業医の先生方。お待たせしました。経験を積みたい産業医向けのストレスチェック制度解説を開始します。
ストレスチェックの実施、その結果に基づく医師による面接指導、面接指導結果に基づく就業上の措置、ストレスチェック結果の集団ごとの集計・分析など、一連の取組全体を指します。このストレスチェックは労働者における仕事によるストレスの程度を把握し、早期に対応することで、メンタルヘルス不調となることを未然に防止するという「1次予防」を目的として実施されます。


☆ ストレスチェック制度の三大特徴

「1次予防」という目的遂行のために主に3つの特徴があります。

① ストレス・マネジメント:労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(以下、ストレスチェック)の実施後、ストレスチェックの結果を労働者自らが把握することで、ストレスの状況について気付きを行うと共に、「ストレス・マネジメント」といいますが、ストレス因子(ストレッサー)への上手な対応を行うきっかけにすることが可能となります。

② 医師による面接・指導制度:「長時間労働者に対する医師による面接指導制度」(労働安全衛生法第66条の8、9)によってこれまでは、月あたりの超過労働時間数が100時間等の長時間労働に従事していた労働者しか希望できなかった医師による面接制度が、ストレスチェックを受けた労働者のうち、一定の基準を超した方(高ストレス者)であれば、希望すれば全員受けることが可能となりました。以上より、労働者がメンタルヘルス不調に陥ることを未然に防止するという「一次予防」の取組みが強化されることで、精神疾患による休職者数発生が抑制されることが期待されます。マスコミは、いわゆる「ブラック企業」という造語を元にした報道を行っていますが、精神障害による労災請求数と労災支給決定件数は増加する一方です。労災請求数については平成26年度1456件と、前年度から47件増加しました。労災支給決定件数は平成26年度には61件増の497件になりました(うち、未遂を含む自殺も99件へと36件も増加)。その背景には、メンタルヘルスに取り組んでいる事業場の割合は60.7%(平成25年労働者健康状況調査)に過ぎず4割近くの事業場は取り組まれていないことが挙げられます。
そんな中、ストレスチェックの実行や医師による面接によって、メンタル失調によって休みがちな社員の発生が少なくなるだけでも、組織全体としての生産性は向上するでしょう。


③ 集団ごとの集計・分析というベンチマーキング: ストレスチェック結果の集団ごとの集計や分析というこれら組織分析結果は、これまでに得られている全国統計をベンチマークとしてそれと比較することで、その集団の、いわゆる“働きやすさ”という視点からみた、全国での立ち位置が把握できるようになります。結果としてどのような対策を執ったらより働きやすくなるのかまで考察できるようになることから、企業での職場環境の改善につなげられるようになります。すなわち組織分析から得られた職場環境改善対策にて、労働者にとっていきいきと働きやすく活力あふれる快適職場の形成が可能となります。

以上より、ストレスチェック制度の活用にて生産性向上も期待出来るようになります。また活用方法によっては、その企業の魅力や社会的評価を高めることさえも可能になる制度といえましょう。

総務省統計局による「人口統計」にて、15~64歳の人口である生産年齢人口が8, 726万人とピークを迎えたのは、今から20年も前の1995年のことでした。“失われた20年”という言葉を裏付けるようにその後の生産年齢人口は年に100万人の単位で減少し続け、2015年6月1日時点(直近時)の7,718万人と比するとこの20年のうちで12%もの生産年齢人口が失われています。同局による今後の人口推計からみると、今から20年後の2035年には生産年齢はピーク比の73%へと約3割も 、2045年には同61%と約4割も、生産年齢人口が減少することが想定されています。企業の存続の要件として優れた社員を雇用し、もしくは雇用し続けるためにも、「メンタルヘルス指針」に基づいた「心の健康づくり計画」策定、管理監督者へのメンタルヘルス研修、メンタル不調者に対する職場復帰支援を始めとした就労支援、そして今回の「ストレスチェック制度」導入と、上記の目的を踏まえた一連の人的投資の最大化が求められるところです。

 

2a505827-62ca-4dab-a7e7-f7cb8420fdce-medium 001

 





«   |   »


合同会社 パラゴン
モバイルサイト