ストレスチェック112|ストレスチェック制度についてプロ産業医による解説:対象者(16/02/01)
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ストレスチェック112|ストレスチェック制度についてプロ産業医による解説:対象者(16/02/01)

2016年02月01日(月)10:21 PM


1. ストレスチェック制度の対象者とは

ストレスチェックの受検対象者は、前回記述の「常態として使用している労働者とは異なり、常時使用する労働者で、パートでも期間の定めがなく労働時間が通常の労働者の4分の3以上の労働者であれば対象となります。すなわち、以下の2条件を満足した労働者が対象になります。
① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引続き使用されている者を含む)であること。
② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事している通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
具体的に解かりやすい基準としては2015年12月1日時点で、社会保険を会社から付与されている社員が対象になります。2016年10月から社会保険の適応が拡大されますが、それとの整合性も図られることが検討されています。
・ストレスチェックの実施時期に休職している方は除外となります。
・派遣労働者については原則、派遣元で実施することが望ましいとされていますが、派遣先が受け入れたら、派遣先での実施も可能ともされています。双方が協議の上、決めてください。
・長期出張者も対象になりますが現地雇用者は除外です。


2.2016年3月末までに衛生委員会にて審議開始しておくと 後が楽になる事項 

A.方針表明
2016年3月末までに実施しておくと良い事項としては、ストレスチェック実施前の準備として挙げられた以下2点になります。

・ 事業者による方針の表明
・ 衛生委員会での調査審議

衛生委員会での調査審議では、会社での実施内容は、どのようにしたいのか、どういう方法が好ましいのかを決めていきたいことを紹介しましょう(法第18条、規則第22条)。
うち事業者の表明する方針は極めて重要です。単に法律に決められたからであるとか、“メンタル不調者が多いので、致し方なく取り組む”といった後ろ向き対応では、メンタル失調者は減らせません。何しろ労働者が達成感を味わえない業務に長時間、従事させられていると、生産性が落ちるだけではなく、いざメンタル失調者が出てしまっては労働力さえ失われてしまいます。そうなればその部署の同僚にも影響が及び、顧客にも迷惑をかけるようになると管理職の責任問題にまでなりえましょう。一方、長時間労働者への医師による面接制度の法制化においてでも、筆者の支援を踏まえ、きちんとした対応を、トップを筆頭に執った企業では、いわゆるうつ病による休職者をゼロにまで導くという実績をあげた企業があります。今回の法制化に関しても、すでに実施している企業において、有用な結果が出たから(・・)の(・)法制化なのです。
先進例を具体的に記述します。事業者が労働者のメンタルヘルスに強い関心を持ち、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(いわゆる「メンタルヘルス指針」)を元に「心の健康づくり計画」を労働衛生コンサルタントの協力を得ながら策定しました。また、ストレス要因から社員を守るという揺ぎ無い信念を基盤にメンタルヘルスに関する教育や研修の機会を設けたり、「4つのケア」といわれるセルフケア・ラインによるケア・事業場内産業保健スタッフ等によるケア・事業場外資源によるケアを効果的に推進し、職場環境の改善やメンタル不調への対応、職場復帰支援を円滑に行うというメンタルヘルスケアを始めました。それらの効果を確認するというPDCAサイクルの中での位置づけでストレスチェック制度がその企業に根付き、職場環境のストレス要因は除去され、働きやすい、活力あふれる環境が形成され、その結果として企業の心的健康度が向上するのみならず企業の生産性まで高進したとのことでした。

B.衛生委員会の調査審議
衛生委員会での調査審議事項として、「ストレスチェック制度導入について」を議題として挙げることから始めましょう。衛生委員会では、事業者の方針についての審議や、労働者側の希望を踏まえた内容を決めていくことが可能です。そして衛生委員会での調査審議扱いにすることで、実際にストレスチェック実施が開始となるまで、継続審議扱いにすると共に、会社の実情にあった、かつ適した内容を構築することが可能となります。

衛生委員会で調査審議するに当たって含めるべき事項には以下があります。
① ストレスチェック制度の目的を事業場内で周知する方法(衛生委員会、社内イントラ、文書掲示等)
② 制度の実施体制(実施者、実施代表者・共同実施者、実施事務従事者の選任、明示など)
③ 制度の実施方法(使用する調査票、高ストレス者の選定基準、ストレスチェックの実施頻度・時期、面接指導の受け方など)
④ ストレスチェック結果に基づく集団ごとの集計・分析方法
⑤ ストレスチェックの受検の有無の把握方法と受検勧奨の方法
⑥ ストレスチェック結果の記録の保存方法
⑦ ストレスチェック、面接指導及び集団ごとの集計・分析結果の利用目的・利用方法
⑧ ストレスチェック制度に関する情報の開示、追加及び削除の方法
⑨ ストレスチェック制度に関する情報の取扱いに関する苦情の処理方法
⑩ ストレスチェックを受けないことを選択できる旨、事業場内で周知する方法
⑪ 労働者に対する不利益な取扱いとして禁止される行為を事業場内で周知する方法

このように、まずは制度が導入される予定になっていることと、より良い内容になるよう労働者の意見を汲み取りながら、どのような形で実施していきたいのか、どのような形で結果を通知して欲しいのかを衛生委員会にて協議することで、一人でも多くの労働者が安心感をもって受検してもらうことが期待できます。そのためにきちんと会社側は個人情報を保護すると共に、不利益な取扱いをしないこと、そしてそのために具体的な制度の策定と構築という心構えを持ち、かつそうなるよう準備を重ねている(く)ことを、衛生委員会での調査や審議を通じて丁寧に労働者に説明していくことが必要です。
そのためのたたき台として、マニュアルで示されている以下を“手本”として活用されてみてください。ここにあることを展開できるようにしていくことが、ストレスチェック制度をきっかけとして社員の働きやすさと活力を高めるきっかけになることと期待できます。

なお、事業所によっては「メンタルヘルス指針」に基づいた対策を行ってきていなかったところもあるでしょう。その場合には、労働安全/衛生コンサルタントか社会保険労務士の支援を仰ぎながら、「心の健康づくり計画」を立て、長時間労働者への医師による面接制度やメンタル不調による休職者に対する職場復帰支援プログラムの構築・整備も同時平行で進めると良いでしょう。

注釈
法:労働安全衛生法
規則:労働安全衛生規則
マニュアルの参照先:
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf

 

 

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