2024年7月7日に、国立がん研究センター 研究棟大ホール にて山形大学医学部東日本重粒子センター長 根本建二先生のご講演を伺う機会がありました。
2021年2月から稼働した「東日本重粒子センター」は重粒子線治療施設です。東芝製システム稼働3年が経過した中、その運営や治療状況を健幸経営(ウェルビーイング経営)支援で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)が紹介しながら、放射線治療の一種である重粒子線治療の長所と限界をまとめつつ、従来からの光子線治療の進化形も紹介します。
【重粒子線治療のメリット】
1:病巣に対する線量を集中しやすい一方、健全な組織への線量は低減可能なため、副作用も除外しやすい特徴があります。
2:適応疾患に対して、短期間で高線量率の放射線を当てることで、他の放射線治療よりも治療効果を高められることが期待できます。従って適応疾患が拡大してきています。
3:治療費は、他の放射線治療とそん色ないレベルまで低減し得てきています。
4:まだまだ他国企業製より東芝製機器は容積の面で優れていることより、タイにも輸出しているとのことでした。もちろんインバウンド需要の中のメディカルツーリズムとしての利用者も多く訪問しているとのことでした。
【重粒子線治療の限界】
1:適応疾患や病状が厳密に定められています。
→first do not harm なのか、 既得権益を侵害しない為なのかまでは吟味しえませんでした。
2:腫瘍の近傍に消化管がある等、副作用阻止の観点から適応外になる事もしばしばあるとのことでした。
3:局所療法として、局所に対する治療効果を得るための治療の1つ。従って微小転移があると、将来の再発は防止しえない💦 限界がありました。
→化学療法の併用が可能か 検討が必要です。
【従来からの光子線治療も進化発展中】
IMRT(強度変調放射線治療)
光子線と区分されるX線照射治療に関しても進化発展してきています。中でもIMRT(強度変調放射線治療)という、高精度の治療装置によって、がん周辺の臓器など正常組織への照射を避けながら、照射したいがんの部位に希望する放射線量を照射できる機能を備えた治療法も開発されています。従来より副作用の軽減が期待できる治療法です。
以上のように、治療法の優劣を競い、比較することは大切です。
そして より大切なこともあります。それは患者様の想いを具現化する意味において、精確性があり、かつ実効性高い治療計画を立案かつ提供しえる放射線治療医との相談や協議です。「ナラティブに沿って」という表現があります。患者様の思いや言葉を、科学的根拠に基づく医療を介して具現化するという、【ナラティブ・ベースド・メディシン(narrative based medicine)】という概念です。日本にEBM(evidence-based medicine)を根付かせる活動に邁進してきた当社代表からすると、映画「思えば遠くへ来たもんだ」と感慨にふける実際なのでしょう。
もとい
しかしながら 医者を相手に、自身の希望を伝えたり 述べることにはまだまだ敷居の高さがある現実が存在しています。医療機関群の中には、患者様の思いを実現することこそその医療機関の使命と位置づけ、医師の服装を親しみやすい装いにするところも出てきています。そこは医師を単なる専門家として医療スタッフの一員として位置付けるのではなく、提供する医療や介護支援施設の設計も可能な、そういった職位を医師に任せるグループまで出てきています。
健幸経営(ウェルビーイング経営)を目指す企業としては、どこがそういう医療機関なのか把握することも基礎知識なのかもしれません。