職場で何気なく使用されている洗浄剤、除菌クリームや化学糊などの中にも化学物質は含有されています。実際、以下のように実に多くの職場において、化学物質が知らずに(認知や認識されずに)使用されている実際があるものです。
出典:1-1.こんな製品や化学物質を使ってませんか? | 事業者が実施すること | 職場の化学物質管理総合サイト | ケミサポ (johas.go.jp)
その化学物質の危険性・有害性を伝える為に、新しい化学物質管理のあり方に関して「改正労働安全衛生法令(令和4年5月31日公布)」が2024年4月1日より本格的に施行されたこと当サイトでも紹介してきた通りです。
このサイトでは、その新しい化学物質管理という自律的な管理を履行・運営する為に、具体的対応方法を紹介します。
『職場の化学物質管理は法令準拠から「自律的な管理」の時代へ』
23分20秒という少ない時間で、どうしてこの新しい化学物質管理が法改正まで経て開始されたのかの必要性を根拠に、「リスクアセスメント」という、化学物質の危険性・有害性を職場で個別具体的に実施する方法を簡潔明瞭に漏らすことなく解説説明がなされている動画の題名で、こちらからもご覧になれます。
・「リスクアセスメント」の解説
・新語「濃度基準値」、「化学物質管理者」、「保護具着用管理責任者」を含めた解説です。
例えば衛生委員会での調査審議権を持つ産業医が、名ばかり産業医なのか、ちゃんとした産業医なのかの判別方法を紹介しました。
出典:「名ばかり産業医」⑧|新たな化学物質管理と産業医の役割
実際に2023年4月1日から、以下のように施行されていることが解説されていました(③と④は2024年4月1日から)。
新しい化学物質管理のあり方に即する事業者の対応順
事業者が実施すること:実施に必要な4つのステップに沿って
STEP 1
こんな製品や化学物質を使っていませんか?
事業場内で扱うすべての物質について洗い出しを行い一覧表を作成しましょう。
「リスクアセスメント対象物」を特定します。
取扱っている製品が混合物の場合は、成分として含まれる化学物質の情報を確認します。
SDS交付義務対象物に関して令和7年4月1日施行分、令和8年4月1日施行分と施行順に整理されたエクセルシートも入手可能です。
製品のSDSがある場合、SDSの記載事項「3.組成及び成分情報」、「15.適用法令」等から含有成分の情報を抽出します。
製品のSDSの情報が入手できていない場合やSDSの内容が不十分と考えられる場合、製品提供元に含有成分情報(物質名等の特定情報、含有割合等)を開示してもらい、
更にわからない点があれば、製品提供元に問い合わせする必要があります。
リスクアセスメント対象物以外の物質も含むすべての物質の危険性・有害性を確認するために必要な措置です。
STEP2
リスクアセスメント対象物を製造、取扱い、譲渡、提供する事業場では、その規模を問わず化学物質管理者の選任が2024年4月より義務化されました。
加えて保護具を使用する(している)事業場では保護具着用管理責任者の選任が必要です。
化学物質管理者含めた これらの選任は選任すべき事由が発生した日から14日以内に行う必要があります(2024年4月14日までに)
加えて それぞれ法律で規定された専門職に対して権限の付与及び関係労働者への周知が必要です。
STEP3
リスクアセスメント(RA)とは化学物質による危険性・有害性を特定し、その特定された危険性・有害性に基づくリスクを見積もり、
リスクの見積もり結果に基づいてリスク低減措置(リスクを減らす対策)の内容を検討する
という一連の流れです。
RA実施後はその結果の記録や実施内容に関する労働者への意見聴取、関連する健康診断の実施等が必要です。
これらは必ずしも化学物質管理者が主体となって実施するのではなく、衛生管理者や産業医等と連携し、適切に役割分担を行うことがのぞまれます。
参考:「名ばかり産業医」⑧|新たな化学物質管理と産業医の役割
STEP 4
その他の4つのポイントを確認
労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害を防止するための指針によって、対象物質へのばく露を低減するための措置等が定められているのて従う必要があります。
4-4. 労働災害時の対応
「化学物質管理専門家」と「作業環境管理専門家」
化学物質に対するRAの項目で、GHS分類に基づく表示やSDSの作成、RAに関する技術的支援とRAに基づく対策を具体的に行う法的資質が「化学物質管理専門家」及び「作業環境管理専門家」です。
化学物質管理専門家とは
化学物質による労働災害の発生またはそのおそれがある事業場に対して労働基準監督署長は、その事業場での化学物質の管理を適正化させるべく、1か月以内に改善計画を出すよう指導します。その際に、個別具体的に改善計画立案への助言が出来る方々です。労働基準監督署長がその事業場における化学物質の管理が適切 に行われていない疑いがあると判断した場合に、事業者のリスクアセスメントの結果に基づき講 じた措置の有効性の確認と、加えて望ましい改善措置に関する助言を当該事業場 に対してできる専門家になります。
その資格要件は、労働衛生コンサルタント (労働衛生工学)、 衛生工学衛生管理者、作業環境測定主等に加え、必要な経験年数を持つ者、さらに指定講習を受けている者等です。
詳細は、以下の告示に定め られています。
・化学物質管理専門家告示 (安 衛則等関係)(令和4年 9月 7日付け厚生労働省告示第274号 )
・化学物質管理専門家告示 (粉 じん則関係)(令和4年 9月 7日付け厚生労働省告示第275号)
作業環境管理専門家とは
作業環境測定結果が第3管理区分の事業場は、その第3管理区分が実際に改善できるのかできないのか、例えば局所排気装置の設置等が技術的に困難な場合に相当するのか、個別具体的かつ客観的な評価が必要です。その評価ができる資質を持つ方々を指します。図の「外部の専門家」を担える資質の1つでして、作業環境改善の可否、改善措置の内容について意見ができる方々を指します。それら事業場に対して客観的で幅広い知見に基づいて専門的意見を述べ、改善を図ってもらう支援を提供する外部の専門家です。その資格要件には、前述の化学物質管理専門家等も該当 します。
詳細は、以下の基発に定め られています。
・作業環境管理専門家要件 (令 和4年 5月 31日 付け厚労省基発0531第 9号)
なお どなたが以上、2つの法的資質を兼ね備えているかは化学物質管理専門家資格確認名簿 で確認できます。
参考:(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会神奈川支部 業務案内 作業環境管理/化学物質管理
eラーニング用教材 【令和3年度厚生労働省委託事業「ラベル・SDS活用促進事業B」】の紹介
対象
・化学物質の取り扱うすべての労働者の方々向けです。
・資料4、5、8は化学物質管理者、職長など中級、上級者の方向けとのことでしたが、「全員野球」や「一人一人が創業者」たる企業なら、全員が対象となりましょう。
また、外注先、納入先、依頼先、契約先、派遣元、請負先が法令順守しているホワイト企業なのか、ホワイトに見えるメッキをした詐欺に似るなのか、ブラック企業なのか、生き血を啜るような赤鬼喰らう奴なのか、リトマス試験紙として使う方法もありましょう。
【資料01-1】『職場で化学物質を安全に取り扱うために!』 MP4[23,488KB](6分1秒)
【資料01-2】『職場で化学物質を安全に取り扱うために!』(続き) MP4[29,143KB](7分5秒)
【資料02】『化学物質の危険有害性とは! ―ラベルの見方、絵表示の意味―』 MP4[26,715KB](6分43秒)
【資料03】『職場での適切な化学物質取扱い方法について ―ラベルの内容から対策を検討する―』 MP4[49,672KB](9分34秒)
【資料04】『職場での適切な化学物質取扱い方法について ―SDSの読み方-』MP4[42,595KB](12分10秒)
【資料05】『職場での適切な化学物質取扱い方法について ―法規制と危険有害性-』 MP4[45,430KB](8分38秒)
【資料06-1】『化学物質による健康障害防止の基本』 MP4[25,286KB](4分59秒)
【資料06-2】『化学物質による健康障害防止の基本』(続き) MP4[26,676KB](5分54秒)
【資料07】『物理化学的危険性(爆発・火災)による事故防止の基本』 MP4[48,565KB](8分46秒)
【資料08-1】『リスクアセスメント事例と災害対策事例』 MP4[27,145KB](5分45秒)
【資料08-2】『リスクアセスメント事例と災害対策事例』(続き) MP4[23,764KB](5分55秒)
おまけ
以上、健幸というヘルシーでハッピーな毎日を過ごす支援を経営者に産業医として提供し続けて11年の合同会社パラゴン(東京都港区)が提供しました。