介護費用の実際
2015年10月4日の日経新聞に「老後破産」に備える 2大リスクは晩産、長生き、3日後の10月7日には「介護費、退職までに備える」が掲載されました。
この記事について現場で長年、汗をかいてきた立場からのコメントを書かせていただきます。
平均介護期間の4年11か月の間に必要な介護費用は、400万円からと記載されています。
この400万円”から”という表現に着目下さい。
何しろ400万程度では、あくまで居宅において介護をした場合の費用に過ぎません。
例えば施設介護の場合、住民税が課税である方が同じ期間、特別養護老人ホームに入居した場合の費用は900万円ほどと 倍以上も要します。
介護施設の中では、特別養護老人ホームが、最も低料金で利用できるものの、実際には多くの待機者を抱えており入居できる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。実際に待機者は全国で50万人を超え、東京都内の入居定員約100名のある施設では、待機者は2000人弱といわれています。
待機者となった方は、有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅等で生活することになるので、老後資金については、想定していた金額よりはるかに高くなる場合もありますので、十分なシミュレーションが必要になってくることは確かです。
それだけの額を備えるためには、個人レベルでは青壮年時代からきちんとした健康管理に務め健康を維持することも大切ですが、企業側からも、上記を踏まえた人生設計を社員に考えてもらう機会を設けたり、どのような食生活に改善させたら良いのか、最新の知見を提供出来るのみならず、認定スポーツ医や認定スキー指導員資格を保持している専門家集団の活用をしたりして、従業員の意識啓発を通じた地道な努力が要されることの大切さをご理解賜れるかと考えます。
そして忘れてはならないのは上記の費用の面だけでなく、要介護状態になった時の暮らしの場の選択も大変重要な視点であることになります。
住み慣れた居宅での生活が良いのですが、居宅での介護が困難となった場合には、介護施設への入居を検討しなければなりません。相当なストレスを感じることでしょうし、メンタルヘルスにも損傷が及びかねません。新聞記事には「介護は情報戦」とありますが、その通りだと思います。
福祉関連窓口に相談に行ったとしても、提案をそのまま聞くことが多いのではないかと思います。情報は以前より増えてきてはいますが、玉石混交です。
これからは、よりよいサービスを選択するための知識を身に付けていく必要があるのではないかと思います。
従って今後、介護保険の利用の流れについて、この場を通じて紹介してまいりたいと考えております。