健幸(ウェルビーイング)経営産業医による「ISO45001」解説|経緯や歴史
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健幸(ウェルビーイング)経営産業医による「ISO45001」解説|経緯や歴史

2018年06月09日(土)3:21 PM

執筆:櫻澤博文

2018年3月12日に発行された「ISO 45001」は、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格です。

健幸(ウェルビーイング)経営の提唱をしている合同会社パラゴン労働衛生コンサルタントという国家認証の有資格者集団でもあることから、このISO45001という国際規格についても紹介・解説します。
出典:日本規格協会グループ.ISO45001


【歴史】

2013年6月、労働安全衛生マネジメントシステム規格を開発するISO/PC283の設置が決定し、幹事国及び議長国に英国が割り当てられ規格開発がスタートいたしました。

 2007年に改訂されたフォーラム規格OHSAS 18001や2001年にILO(国際労働事務局)が発行したILO-OGH 2001を基に、 ISOで初の労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格として開発が進められました。

このOHSAS 18001の他、 OHSAS 18002、厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」や中央労働災害防止協会、建設業労働災害防止協会など、業界が独自に定めたガイドラインをはじめ、

多くの“標準(規格類)”が、それぞれの団体を“家元”や“宗教”のように存在しているのは周知のとおり。

 

それら独自な、それらが いわゆる「ガラパゴス」的な取り組みだと揶揄されたとしても、従来の法令や規制と矛盾しないことはもちろん、そしてより本質的かつ共有されている部分でISO 45001は構成されるように整備されてきていることは、銘すべきでしょう。そして当然ながら、労働者の安全を第一と位置付けた規格となっています。

 

【OHSAS 18001との違い】

これまでも、先進的な企業は、産業医を選任することはもちろん、OHSAS18001やOSHMS指針を導入してきたことでしょう。

しかしながらOHSAS18001認証らはISO45001発行から3年後に廃止されることが決まっていますので、切り替え(乗り換え?)が必要となります。

すなわちISO規格が発行されますと、OHSAS 18001からISO 45001へ認証の移行が必要となります。

 

ISO 45001は、既存のマネジメントシステムに取り組んでいる組織を念頭に、それらが労働安全衛生を含む統合マネジメントシステムとして運用することを容易にするために、ISOマネジメントシステム規格の共通テキスト(ISO/IEC Directives Part 1, Annex SL)を採用しています。このように、ISO 9001や14001など他のISOマネジメントシステムを導入した勢力の方を優先されています。それら規格の構成や用語の定義などを共通化されている点は、日本独自の、いわゆるガラパゴス規格のOHSAS18001認証にはございません。これがISO45001との差異として挙げられます。

 

また、ISO45001では、「その他の利害関係者のニーズや期待」まで把握し、それらの具現化まで取り組むことが求められているのに対して、OHSAS18001では、自分たちさえ良ければ、それでよしというガラパゴス的な仕組みでした。

今日 多くの企業が、自分たちさえ良ければと、品質基準をごまかし、虚偽表示をし、外部に不経済性を強いている恥ずかしい現実が明らかになっています。それもこの差異が背景にあったことと考えられます。

 

 

一方、ISO45001には含まれていない、ガラパゴス的な内容もあります。具体的には、産業の現場で用いられている安全衛生活動や健康確保のための取組です。

中には、企業の中には 見受けられる、「管理のための管理」に成り下がったものもあるのかもしれませんが、そうではない内容もあることでしょう。

それらが退廃されることは、ある意味、もったいないといえましょう。そこで新たに発行されるJIS規格は、より現実に即した、かといって現状維持で済むことをよしとしたない、より未来を良くするような内容になることと期しています。

 

参考サイト:厚生労働省.職場のあんぜんサイト|労働安全衛生マネジメントシステム

 

 



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