21世紀のメンタルヘルスは認知症とのキーフレーズで知られる合同会社パラゴンも、提供する高齢者就労と介護支援サービスは、比類ないことに、介護福祉士でもある福島精神保健福祉士による質的監査を受けています。
今回、提供するサービスに組み込んでいる最新知見を紹介します。JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study,日本老年学的評価研究)プロジェクトという、21世紀におけるメンタルヘルスをも含有した心身双方の健康長寿社会をめざした予防政策の科学的な基盤づくりを目的に、様々な技能手段(テクノロジーズ)や学問体系(ストラテジーズ)を集約させた研究プロジェクト(システムズ)があります。これまで健康格差の実態把握 や 地域づくりによる介護予防に向けた科学的根拠を提示し、地域包括ケア「見える化」システムのプロトタイプ開発、そして健康経営®の追及といった実績で知られます。
そのJAGESプロジェクトが、高齢者における抑うつ対策に関する研究成果を発表していました。クラウド産業医として健康経営®に向けた取組をされたいと、時空を超えて当サイトを訪問下さった方に以下をお届けします。
【最新エビデンス】
月に1回以上、運動グループに参加する高齢者の割合が10%増加すると、比例してその地域在住の高齢者の抑うつリスクが男性で11%、女性で4%低下しえる可能性があることがわかりました。
→支援者からの運動グループへの積極的な参加への促しや、グループから勧誘が、抑うつリスク低減に寄与しえます。
【リサーチクエスチョン】
高齢者では、運動グループに参加することが健康の維持・増進に極めて有益であることはよく知られています。
それでは、はたして運動グループに参加する高齢者が多い地域では、高齢者全体の健康度も高いのでしょうか。
【対象と方法】
JAGESプロジェクトで、地域の運動グループへの参加割合と、その地域に暮らす高齢者の抑うつ状態との関連性を検証するために
高齢者74,681人の調査データを、その居住地に応じて516の地域(小~中学校区程度)に分けて集計・分析しました。
交絡因子の制御としては、自身が運動グループに参加しているか否か、年齢、疾患、家族構成、飲酒、喫煙、教育歴、所得、可住地人口密度の要因の影響を統計学的に調整しています。
【結果】
対象者全体における抑うつの傾向を示した人の割合は22.6%、運動グループ参加者割合の平均は24.3%でした。
516地域ごとに運動グループ参加者の割合と抑うつ傾向を示した人の割合を検討したところ、
運動グループ参加者の割合が10%増えたとすると、その地域に暮らす高齢者全体の抑うつリスクが男性で11%、女性で4%低くなる結果が確認されました。こ
【考察】
地域に運動グループの参加者が10%増えたとすると、その人自身が参加しているか否かにかかわらず、その地域の高齢者全体で見た抑うつリスクが男性で11%、女性で4%低くなることが確認されました。これはその地域の高齢者全体の抑うつ傾向の保有リスクが、男性で15歳、女性で10歳分若いことに相当します。
このように、地域に高齢者が参加できる運動やスポーツのグループを増やすことが、その参加者のみならず、その地域の高齢者全体のこころの健康に有益である可能性が示されました。