メンタル産業医ドクター櫻澤のヘルシーコラム|「あざみ野STYLEvol.43」に掲載
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メンタル産業医ドクター櫻澤のヘルシーコラム|「あざみ野STYLEvol.43」に掲載

2020年10月29日(木)10:38 PM

健康経営に長けたメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)代表の櫻澤博文執筆 
『メンタル産業医 ドクター櫻澤のヘルシーコラム いつもこころにうるおいを! 疲れや肌荒れは「ビタミンB群」不足が原因かも?」が、以下に掲載されました。

 

出典:あざみ野STYLE vol.43 2020AUTUMN号

寒さが増してくるにつれて増えてくる体調不良、易疲労感、口内炎、肌荒れ、気力低下の背景に潜んでいる可能性があるビタミンB欠乏について掲載されています。

また、ビタミンB群のうちB1,B2,B3,B5,B6,B12,葉酸のそれぞれの特徴や摂取しやすい食品についても記載しています。



新型コロナウイルスによる悪影響は市民の健康にも多大な影響が及び始め、実際、体調不良に伴う休職が確認されています。

単一の栄養素だけで解決することは難しい中ではありますが、その候補・・・無くはありません。それは、身体を構成する細胞の一つひとつを動かす原動機・発電機といっても過言ではない「ミトコンドリア」という、エネルギー産生工場の力を、いかんなく発揮してもらう栄養素です。細胞の一つひとつが、本来もつ力を発揮すると、その総和・積分にて身体全部は活性化されることが期待できます。具体的には疲労軽減や体力の維持、集中力や気力低下防止が期待できます。

 

それはビタミンB群。  

 

ここで“ビタミンB群って、そんなに効果が高いの?”と疑問を感じられた方へ

ためしに以下の症状がないか、確認してみてください。

 

□疲れやすい

□気力・集中力が落ちた

□口内炎がよくできたり 肌荒れしやすい

 

これらはビタミンB群不足で引き起こされている可能性があります。

 

原因は以下を確認してください。

 

□ながら食いできるパンやファストフードをよく食べる

□小腹が空いたら スナック菓子を頻用

□のどが渇いたら、清涼飲料水やジュースに頼る

 

 

ビタミンB群不足の原因

 

特に、夏場、生じやすくなります。

なぜか? それは消化器の夏バテが原因だから・・・

 

<理由>体表面の血管は放熱のために拡張します。すると、体内の血液が体表面に移されます。すると、消化管への栄養供給が低下します。消化器はバテやすくなります。具体的には胃もたれ、腹部膨満感という消化不良、や焼き肉含め、いわゆる「重たい」食事に対してが 典型的な症状ですが、食欲が低下します。それら夏場の食欲低下を、悪い意味で補正してしまうものが「スポーツ飲料」多飲です。そもそも「スポーツ飲料」という名称が誤解を与えていますが、飲むことで、バリバリ、元気がでてスポーツ選手になれるかのような錯覚を与える清涼飲料水の摂取は、上記の食欲低下、悪いことに代償してしまいます。これら飲料には糖質と言われるショ糖・果糖・人口甘味料が豊富です。これら「炭水化物」の摂取にて、容易に血糖値“だけ”は高まり、空腹感は感じなくて済むようになります。すると食事を通じて摂取する必要がある他の栄養素が摂取しえなくなります。特に体内に蓄積することができないビタミンB群は真っ先に欠乏しやすくなります。特に暑い日々が続く夏場、「スポーツ飲料」の多飲にて生じやすくなります。

 

ビタミンB群の働き

ビタミンB群は、「補酵素」といいますが、体内でのエネルギー産生や「ステロイド」という、ストレスを解消するホルモンを製造する際、エネルギーの材料やホルモンの原料を元に、エネルギーを産生したり、ストレスホルモンを製造したりする際の助っ人です。お酒をつくるときの杜氏みたいなものでしょうか。いわゆる「ジャンクフード」を摂食していると、これらビタミンB群摂取に不足が生じます。すると、体内に入った糖質がエネルギーとして使われることはなくなるから、いわやうる「夏バテ」の症状を呈するのみならず、あまったエネルギーが、困ったことに、誰しもが「不要」と思う、皮下脂肪に変えられてしまいます。つまりは「夏バテ」と「コロナ太り」とダブルパンチに見舞われてしまいます。

 

 

ビタミンB群の持つ栄養作用

 

ビタミンB群には、主に以下の種類と、それぞれが栄養としての作用を発揮します。

 

ビタミンB1

日常生活をおくるのに不可欠なエネルギー産生の補酵素として疲労回復や持久力維持作用があります。また、神経の末端の細くなった部位の保護作用があります。

 

豚肉に豊富に含まれます。脂肪分の少ないヒレやもも肉がおすすめです。そば、真鯛、玄米、枝豆、かつお、まぐろに多く含まれます。

 

 

ビタミンB2 

脂肪をエネルギーに変える際は疲労物質といわれていた乳酸を、“ガソリン”のようにエネルギー源に変えます。“競争時の強壮作用”というと、おやじギャグでしょうか。

 

豚レバー、うなぎ、ぶり、さわらといった魚、モロヘイヤ、牛乳、納豆、ほうれん草、アーモンドに多く含まれています。減量中にはこれらを意識して摂取すると脂肪がよりエネルギー源として使われやすくなります。

 

ビタミンB3 (ナイアシン)

エネルギー代謝にかかわり、数百種類の合成酵素の手助けをします(補酵素といいます)。摂取にて、体調を総合的に整えていきます。

 

たらこ、まぐろの赤身やサバといった魚、鶏肉の胸肉やささみ、エリンギやとうもろこしに多く含まれます。

 

 

ビタミンB5 (パントテン酸)

「コエンザイムA」というサプリ、聞いたことあるかと。その構成成分です。抗ストレスホルモンである副腎ホルモンの産生に寄与することから、抗ストレスホルモンといっても過言ではないでしょう。

「腸活」といいますが、和食摂取にて体内に補給される善玉菌が腸内に豊富だと、それら腸内細菌が合成してくれます。

 

多く含まれる食材としては、鶏のレバーやささみ、胸肉、納豆、アボガド、モロヘイヤがあります。

 

 

ビタミンB6

「機能性表示食品」の中には、「必須アミノ酸」という、体内で合成できないアミノ酸を摂取することで、疲労感を和らげる効果がある商品があります。また、シジミエキスから抽出した「オルニチン」という飲酒による肝臓の機能低下を補うアミノ酸製剤が売られています。これらアミノ酸を積極的に摂取しても、体内でのアミノ酸合成力が落ちていては、いわゆる「バテ」を防止できること効果は乏しいでしょう。 最近は、「美ボディ」と称して、プロテインドリンクを飲む方も多いでしょう。アミノ酸やプロテインドリンクを飲む際には、このビタミンB6を摂取していないと、体内のほかでのアミノ酸の合成に支障をきたしかねないので、注意が必要です。しっかりと摂取しておくと、活動度を維持しやすくなります。

かつお、まぐろ、酒、豚ヒレ、鶏ささみ、バナナ、赤パプリカ、さつまいも、玄米に多く含まれています。

 

 

ビタミンB12

神経伝達物質の伝達を円滑にし、また、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌を整えて睡眠リズムが安定化されることから、抑うつ症状の緩和や、アルツハイマー病の予防効果も示唆されています。

 

きのこやきくらげ、いわし、にしんといった魚介類に多く含まれます。

 

 

 

葉酸

ビタミンB12と共に正常な赤血球の生成にかかわっています。赤血球が機能低下してしまっては、体内の細胞一つひとつに酸素をきちんと補給できません。

熱に弱いので、モロヘイヤ、ほうれん草、ブロッコリーといった生野菜やいちごといった果物、焼きのりから補給できます。

 

 

 

血液検査でわかるビタミンB群不足

肝胆膵酵素系といわれる AST(GOT)、ALT(GPT)、LDHらもアミノ酸が素材となって体内で合成される物質です。これらが低値を示す場合には、前述ビタミンB6含めB群が不足していることが考えられます。定期健診結果で確認されてみてください。

 



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