健康経営に長けたメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)代表の櫻澤博文執筆
『メンタル産業医 ドクター櫻澤のヘルシーコラム いつもこころにうるおいを!食事の工夫でうつ予防頭をよくする 油脂(あぶら)とは」が、以下に掲載されました。
出典:あざみ野STYLE vol.44 2021SPRING
掲載はA4用紙1枚分です。 元原稿はより仔細を論じていますので、その元原稿を以下に引用します。
コロナ禍の中、2021年7月以降わが国の自殺(自死)者数は昨年度同月比、増加に転じ、2021年10月単月度だけで2,153人と、コロナ死2,076人(2020年元日から12月1日までの累計)を超過していました。
横浜市の10月度有効求人倍率は0.75と求人4人に対して3人分の仕事がない状況が続いています。失業者数と自死数は比例していることから今後の自死者増加が懸念されます。
当シリーズも自死の背景にある「うつ」予防を取り上げ続けて今回で連載2年目に入りました。今回は「魚を食べると頭が良くなる?!」という話、聞いたことありませんでしょうか。その都市伝説の真偽を明らかにするとともに、単に食べ過ぎだといわゆる「メタボ」を招き、メタボリックうつの原因となっては本末転倒です。それを防止する方法を紹介します。
真偽の程は?!
魚を多く食べる人には「うつ」や認知症発生が少ないことが疫学研究から判明しました。更に科学的に検討したところ、これらの防止効果がある成分が見出されました。したがってたくさん食べたからといって、頭が良くなるということではなく、本領を発揮しえるようになる効果はあるのかもしれません。
どのような成分が良いの?
DHA(ドコサヘキサンエン酸):EPA(エイコサペンタン酸)と共に、健康食品として売られていることからご存じの方もおいででしょう。双方ともに「不飽和脂肪酸」という、常温では固まりにくく、血液をサラサラにし中性脂肪低下作用から動脈硬化予防効果があることが知られています。
DHAの効果
運動すると、体内では「マイオカイン」という筋肉増強作用をもつホルモン群が分泌されます。その中には体内のDHAを部品として筋肉への神経線維を伸長させる作用を持つものがあります。しかもその物質は血液を介して全身を循環するため、傷ついた脳神経があれば、その修復もしてくれます。運動後、気分がスッキリした経験、ありませんでしょうか。グッスリ眠れる効果から、毎週末、ゴルフや水泳、ジョギングに勤しむ方はこの作用を知っているからです。
DHAを摂取しやすい食材(可食部100gあたり、単位mg)
マアジ(開き干し・焼き)/ウナギ蒲焼 1,300、焼きサンマ(皮付き) 1,200,
マイワシ(缶詰・油漬け)810、焼きシロサケ 510、イカナゴ(佃煮)500
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
摂取時の注意点
- クジラ、キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチ等一部の魚介類には水銀が比較的多く含まれることから、厚生労働省は妊婦におけるこれらの摂取量に関して注意を促しています。
詳しくは以下にて確認ください。
参考サイト:厚生労働省.これからママになるあなたへ お魚について知って欲しいこと
- 再記載ですが、摂取したからといって、実際に頭が良くなるわけではありません。摂取かつ運動にて、抑うつや認知症防止効果は期待できます。摂取しすぎかつ運動不足で腹囲が増大しては、「メタボうつ」を招きかねません。