高度な専門知識があり、一定の年収要件を満たす労働者については、労働基準法による「労働時間規制」を外し、企業が残業代を支払わなくてもよいとする「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)」が労働基準法に導入されています。
この「高度プロフェッショナル制度」を活用しながら健康経営に邁進したい方に対しメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)が解説を加えます。
<導入の主眼>
多様性ある労働形態を労働者自らで選択、選考できるようにと導入されたのが「働き方改革」。その働く⽅々が、個々の事情に応じ、多様で柔軟な働き⽅を自らで選択できるよう導入された一労働態様です。
<導入のための条件>
・職務の範囲が明確かつ高度な専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合
・年間104⽇以上の休⽇確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講ずる、
・本人の同意や労使委員会の決議などを要件として、
・労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日、深夜の割増賃金等の規定の適用除外となる制度です。
対象業務
● 金融商品の開発業務
● 金融商品のディーリング業務
● アナリストの業務(企業、市場等の高度な分析業務)
● コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言)
● 研究開発業務
使用者からの労働者支援内容
使用者は、健康管理時間(事業場内の所在時間と事業場外で業務に従事した時間との合計)を把握した上で、以下の1~5の労働者支援内容を講じる必要があります。
1。労使委員会の5分の4以上の多数の決議で定めるところにより、次のA~Dのうち、いずれかの措置を講じる必要があります。
A:勤務間インターバルの確保(11時間以上(※1))+深夜業の回数制限(1か月に4回以内)
B:健康管理時間の上限措置(1週間当たり40時間を超えた時間について、1か月について100時間以内又は3か月について240時間以内とする)
C:1年に1回以上の連続2週間の休日を与える(本⼈が請求した場合は連続1週間×2回以上)
D:臨時の健康診断(※2)( 1週間当たり40時間を超えた健康管理時間が1か月当たり80時間を超えた労働者又は申出があった労働者が対象)
※1:始業から24時間を経過するまでに11時間以上の休息期間を確保しなければなりません。
※2:臨時の健康診断の項目は、労働安全衛⽣法に基づく定期健康診断の項目であって脳・⼼臓疾患との関連が
認められるもの及び当該労働者の勤務の状況、疲労の蓄積の状況その他⼼身の状況の確認となります。
定期健康診断の項目で脳・⼼臓疾患との関連が認められるものとは、
①既往歴及び業務歴の調査、
②自覚症状及び他覚症状の有無の検査、
③身⻑、体重、腹囲の検査、
④血圧の測定、
⑤血中脂質検査、
⑥血糖検査、
⑦尿検査、
⑧⼼電図検査となります。
2.医師による⾯接指導(※)
3.代償休日又は特別な休暇の付与
4.心とからだの健康問題についての相談窓口の設置
5.適切な部署への配置転換
6.産業医等による助言指導又は保健指導
(※)この他にも健康管理時間が1週間あたり40時間を超えた場合の超えた時間が、1か月あたり100時間を超えた労働者について、一律に 全員を 面接指導の対象とすることになります。
ストレスチェック制度での医師による面談よろしく、当社はこの高度プロフェッショナル制度における医師による面談という支援を提供しています。