メンタル産業医発|「化学物質の自律的な管理における健康診断に関する検討報告書(追補版)」解説

産業医が化学物質の自律的な管理における健康診断の具体的な項目や内容の決定方法をメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)が紹介します。「化学物質の自律的な管理における健康診断に関する検討報告書(追補版)」を参照としています。

 

まずは以下の「リスクアセスメント対象物健康診断の対象者選定フローチャート(概要)」に沿ってリスクアセスメントを行います。

 

危険有害性(リスク)に応じた第3項健診と第4項健診の選定方法を実施頻度の目安は以下です。

特別規則物質の標的影響と健康診断項目の例としては以下です。

 

 

 

 

 

化学物質の自律的な管理における健康診断に関する検討報告書(追補版)」が作成された背景

化学物質を扱う事業者は、選任が義務付けられた化学物質管理者を中心に、適切な対応を進めることが求められてきました。その産業現場では、主要な化学物質だけでも約7万種類が使用されています。うち、これまでの労働災害の約8割は、個別規制対象外の化学物質が原因でした。加えて毎年新たな物質が導入されています。このような背景から「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令」(令和4年厚生労働省令第 91 号)が制定され、順次2024年4月にかけて施行が行われました。

その主眼は、特定の化学物質だけに焦点を当てた「個別規制型」から、危険性や有害性が確認された全ての化学物質を対象とした「自律的管理」へ移行させることにありました。具体的には、事業場での健康障害の防止や、事業者の自律的管理への支援に向け「リスクアセスメント対象物健康診断」(則第 577 条の2第5項)が定義されました。このリスクアセスメント対象物健康診断のうち、便宜上の呼称として、安衛則第 577 条の2第3項で規定される健康診断を【第3項健診】と安衛則第 577 条の2第4項で規定される健康診断を【第4項健診】とがあります。それらの健診が必要と判断した場合、どのような健診項目を設定したら良いのかを「化学物質の自律的な管理における健康影響モニタリングに係る専門家会議」が「リスクアセスメント対象物健康診断に係るガイダンス 暫定版」(以下ガイダンス)として 労働安全衛生総合研究所化学物質情報管理研究センターで取りまとめています。