メンタル栄養学においてIF合計8以上の実績を誇るメンタル産業医が創設した組織が合同会社パラゴン(東京都港区)。過去にも「トレーニングジャーナル」誌掲載実績 他、運動によるメンタルヘルスへの効用を紹介してきています。
今回は代表も摂取しているクレアチンの効用を疫学的に検証した論文を紹介します。
【メンタルへの有用性】
・英国における健康人32名 (平均76.4±8.48歳のうち二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、クレアチンモノハイドレート5 g×4回/日を15人に対して1週間摂取させたところ、認知機能テスト6項目中4項目 (数字記憶順唱、空間記憶順唱および逆唱、長期記憶) で改善が認められた (PMID:17828627) 。
【筋力向上】
・2014年9月までに4つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ対照試験60報を対象に「メタ分析」を用いてクレアチンの摂取の効果を疫学的に検証したところ、最大スクワット重量 (10報) 、総レッグプレス重量 (12報) 、大腿四頭筋パフォーマンス (49報)、下肢筋力 (48報) の向上と関連性が確認された (PMID:25946994) 。
・2013年6月までに2つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ対照試験12報 (検索条件:期間>6週、年齢>45歳) についてレジスタンス運動とクレアチン摂取との関連について「メタ分析」にて検討したところ、体重 (9報) 、除脂肪体重 (8報) 、脚力 (6報) 、大胸筋力 (6報) の増加、30秒立ち上がりテスト (3報) の向上と有意性ある関連が認められた(PMID:24576864) 。
・2014年9月までに4つのデータベースで検索できたRCT60報について「メタ分析」を用いてクレアチンの摂取の効果を検証したところ、最大スクワット重量 (10報) 、総レッグプレス重量 (12報) 、大腿四頭筋パフォーマンス (49報)、下肢筋力 (48報) の向上と関連が認められた (PMID:25946994) 。
・2013年6月までに2つのデータベースで検索できたRCT12報 (検索条件:期間>6週、年齢>45歳) について「メタ分析」を用いて中高年者におけるクレアチン摂取によるレジスタンス運動への効果について検討したところ、体重 増(9報) 、除脂肪体重増 (8報) 、脚力増 (6報) 、大胸筋力増 (6報) 、30秒立ち上がりテスト の向上(3報)と関連が認められた。なお体重、除脂肪量、大胸筋力、30秒立ち上がりテストの結果は試験においては分散が大きく、結果の一貫性に関しては更なる検討が必要な結果だった (PMID:24576864) 。
・2013年6月までに2つのデータベースで検索できたRCT13報 (検索条件:年齢≧50歳) について「メタ分析」を用いて中高年者におけるクレアチン摂取のレジスタンス運動への効果を検証した研究では、大胸筋力 (8報)、除脂肪量 (9報) の増加と関連が確認された。他方、脚力 (7報) との関連は認められなかった
(PMID:24190049) 。
・健康な中高年39名 (カナダ) を対象に、週3回のレジスタンス運動の直前 (15名、平均53.2±2.5歳) または直後 (12名、55.5±3.5歳) にクレアチン0.1 g/kg体重を32週間摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、いずれの群でも脚力、大胸筋力の増加が認められ、運動後摂取群でのみ四肢骨格筋量、除脂肪組織量の増加が認められた。一方、除脂肪組織量あたりの筋力、運動パフォーマンス、相対的骨格筋量指数、体脂肪量に影響は認められなかった (PMID:25993883) 。
・健康な成人44名 (55~84歳、アメリカ) を対象に、運動トレーニングとともにクレアチンモノハイドレート1 g×3回/日 (15名) またはクレアチンモノハイドレート1 g+植物抽出物0.5 g×3回/日 (14名) を12週間摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、クレアチン群において1回最大筋力 (レッグプレス、膝伸展、膝屈曲、ラットプルダウン、アームカール) の向上、除脂肪量の増加が認められた。他方、1回最大筋力 (ベンチプレス) 、体組成(体脂肪量、体脂肪率、骨密度) 、血中脂質 (TC、LDL-C、VLDL-C、HDL-C、TG)、気分の評価 (POMS) に影響は認められなかった (PMID:24198682) 。
・健康な中高年男性20名 (試験群10名、平均61.4±5.0歳、アメリカ) を対象に、クレアチン5 g×4回/日を7日間、その後週3回のレジスタンス運動後にクレアチン0.1 g/kg体重を12週間摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、総挙上重量、最大挙上重量、体組成 (体重、体脂肪率、体脂肪量、除脂肪体重) 、筋線維断面積、筋線維タンパク質量に影響は認められなかった(PMID:24633488) 。
・健康な中高年男性42名 (アメリカ) を対象とした週3回クレアチン7 g/日を2週間、その後週3回のレジスタンス運動後に5 g/日を14週間、単独 (10名、平均56.1±1.8歳) または乳清タンパク質35 g/日と併用(11名、平均57.2±2.2歳) 摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、いずれの群も筋力、筋肉量に影響は認められなかった (PMID:20126965) 。
・運動習慣がなく、骨減少症または骨粗鬆症の閉経後高齢女性60名 (ブラジル) を対象に、クレアチン5g×4回/日を5日間、その後5 g/日を試験終了まで摂取 (15名、平均66.1±4.8歳) またはクレアチン摂取+レジスタンス運動と併用 (15名、67.1±5.6歳) をさせた二重盲検無作為化プラセボ対照試験 (24週間) では、レジスタンス運動のみ群と比較して併用群で大胸筋力、体肢除脂肪量の増加が認められた。一方、同群における脚力、立ち上がり試験、Timed Up and Go、およびクレアチン摂取のみ群におけるいずれの指標にも影響は認められなかった(PMID:24530883) 。
・変形性膝関節症の閉経後女性24名 (試験群13名、平均58±3歳、ブラジル) を対象に、レジスタンス運動とともにクレアチンモノハイドレート5 g×4回/⽇ (朝⾷、昼⾷、⼣⾷、夜10時に各5 g) を1週間、その後5 g/⽇を昼⾷時に11週間摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、⾝体機能 (⽴ち上がりテスト) の改善が認められた。他方、脚⼒、体組成 (体重、BMI、体脂肪量、除脂肪量) に影響は認められなかった(PMID:21311365) 。
【無酸素運動能力向上】
・2019年1月までに4つのデータベースで検索できたRCT(無作為化プラセボ対照試験)9報を対象に「メタ分析」を用いた検証では、サッカー選手によるクレアチンサプリメント摂取は、分散が大きいものの無酸素運動能力 (5報) の向上と関連が認められた。他方、有酸素運動能力 (5報) 、ホスファゲン代謝能力 (7報) との関連は認められなかった (PMID:30935142) 。
・運動習慣のない健康な成人男性22名 (平均22.1±2.0歳、試験群10名、アメリカ)を対象に、クレアチンモノハイドレート20 g/日を7日間摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、筋力、無酸素運動パフォーマンス、体重に影響は認められなかった (PMID:21921817) 。
・成人男性30名 (試験群15名、平均20.47±2.13歳、イタリア) を対象に、クレアチン0.3 g/kg/日を5日間摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、運動後の血中乳酸、抗酸化ビタミン (ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE) に変化は認められなかった (PMID:22525652) 。
・運動習慣のある男子大学生27名 (試験群15名、平均21.6±3.6歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、クレアチン5 g×4回/日を7日間摂取させたところ、運動後の酸化ストレスマーカー (尿中8-OHdG、血中MDA)の増加抑制が認められた (PMID:22080314) 。
・活動的な成人男性12名 (平均22±1名、アメリカ) を対象にクレアチンモノハイドレート21.6 g/日を7日間摂取させた二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験では、高温環境下での運動負荷における脱水、体温調節、心拍、血圧、呼吸、代謝状態、環境負荷による症状の評価 (Environmental Symptoms Questionnaire) に悪影響は認められなかった (PMID:16619091) 。
・有酸素運動習慣のある男性24名 (平均22.93±3.01歳、アメリカ) を対象に、クレアチン5 g×5回/日を5日間摂取させた二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験では、高温環境下での運動負荷における体内水分量の増加が認められた。また発汗量、深部体温、心拍、血圧に悪影響は認められなかった(PMID:17119520) 。
【運動選⼿を対象とした検証結果】
・サッカーチームに所属する健康な未成年の男性25名 (試験群13名、平均17.1±1.4歳、ブラジル) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、クレアチン0.3 g/kg体重/日を7日間摂取させたところ、炎症マーカー (TNF-α、CRP) の上昇抑制が認められた。他方、酸化ストレスマーカー (MDA、GSH、GSH/GSSG比、FRAP、赤血球カタラーゼ、SOD、GPx活性)に変化は認められなかった (PMID:23800565) 。
・運動チームに所属する男子大学生30名 (試験群15名、平均19.93±1.86歳、台湾)を対象に、運動トレーニングとともにクレアチンモノハイドレート5 g×4回/日を6日間摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、活動後増強 (PAP) 時間の早期化が認められた。他方、最大筋力値、跳躍能力テストの最高到達値、最大パワーに影響は認められなかった (PMID:26959056) 。
・サッカー選手の女性30名 (試験群10名、平均23.1±3.4歳、チリ) を対象に、トレーニングとともにクレアチン5g×4回/日を1週間、その後5 g/日を5週間摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、跳躍能力テスト8項目中3項目、スプリントテスト4項目中1項目の向上が認められた (PMID:26778661)。
・ラグビー選手の男性14名 (20.6±1.2歳、イギリス) を対象に、クレアチンモノハイドレート5 g×4回/日、5日間摂取させた二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験では、無酸素性運動能力、走力に影響は認められなかった (PMID:15705052) 。
・テコンドー選手の男性12名 (平均20±2歳、メキシコ) を対象に、トレーニングとともにクレアチン50 mg/kg体重/日を6週間摂取させた二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験では、体組成 (体重、除脂肪量、骨塩量) 、無酸素性運動能力、疲労感、運動後の血中乳酸に影響は認められず、どころか体脂肪率、血中脂質 (TG) の増加が認められた (PMID:23822690) 。
・運動選手の男性20名 (平均23.5±1.5歳、試験群10名、スイス) を対象に、グルコースポリマー84 g×3回/日とともにクレアチン7 g×3回/日を5日間摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、筋細胞内グリコーゲン、ATP、ホスホクレアチンに影響は認められなかった (PMID:19244932) 。
・テニス選手の男性36名 (試験群24名、平均22.5±4.9歳、ドイツ) を対象に、クレアチン0.3 g/kg体重/日を6日間、その後0.03 g/kg体重/日を28日間摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、体重の増加が認められた。他方、筋力、スプリント力、テニスの競技能力に影響は認められなかった(PMID:16720886) 。
・サッカー選手の未成年の男性23名 (平均17.6±0.5歳、試験群12名、ブラジル)を対象に、通常のトレーニングとともにクレアチン0.3 g/kg体重を7日間摂取させた二重盲検無作為化プラセボ対照試験では、血中グアニジノ酢酸の低下、全力疾走運動後1時間時点の血中総チオールの低下が認められた。他方、全力疾走運動前、直後、1時間後におけるホモシステイン、ビタミンB12、葉酸、赤血球中S-アデノシルメチオニン、S-アデノシルホモシステインに影響は認められなかった (PMID:24318038)
【骨密度への影響に関する検証結果】
・閉経後女性47名 (試験群23名、平均57±4歳、カナダ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、レジスタンス運動の前後にクレアチン0.05g/kg体重を週3日、12ヶ月間摂取させたところ、大腿骨頸部の骨密度と骨の構造的強度14項目中1項目 (骨膜下幅) の低下抑制が認められた。他方、腰椎および全身の骨密度、骨の強度に影響は認められなかった (PMID:25386713) 。