コーヒーやハーブティーを日常的に飲むと肝細胞の繊維化進展を抑止しえる可能性があることが、オランダ・エラスムス医療センターのLouise Alferink氏らによる「Journal of Hepatology」6月1日オンライン版に掲載された論文で示唆されました。これらの飲料は、肝細胞の瘢痕細胞への置換を防ぐ作用があるのかもしれません。メンタル産業医が代表を務める合同会社パラゴン(東京都港区)は、こうした生活習慣と健康状態、疾病との関連性を検証している疫学研究結果も積極的に把握し、産業医や健康経営に邁進する顧問契約先に紹介し続けています。
出典:Louise J.M. AlferinkらCoffee and herbal tea consumption is associated with lower liver stiffness in the general population: The Rotterdam study.Journal of Hepatology 2017;67(2) DOI:https://doi.org/10.1016/j.jhep.2017.03.013
【方法】
肝疾患のない45歳以上のオランダ人2,400人超を対象に検討がなされました。
腹部超音波検査という肝線維化の程度を調べることが可能な検査結果を始めとした医療記録と、飲物の摂取頻度に関する調査票に対する回答との突合にて検討がなされました。飲み物についてはコーヒー、ハーブティー、緑茶、紅茶と区分しての層別解析が行われました。
【結果】
年齢や性、BMI、食事内容などの生活習慣といった交絡因子の影響を排除した上で検討したところ、コーヒーを頻繁に飲む人では肝線維化のリスクが4.1%と、たまに飲む人(6.9%)や全く飲まない人(7.8%)に比べて有意に低い結果が示されました。一方、茶については、ハーブティーの摂取量のみが肝線維化リスクの低下と関連が示唆されていました。
すなわち、元より肝疾患ではない一般人においては、ハーブティーとコーヒーを飲むことが肝臓の庇護効果と肝細胞の繊維化をもたらす可能性について、更なる検討が必要であることが示されていました。
【考察】
先行研究からもコーヒー摂取が肝酵素上昇、ウイルス性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がんに対して有益性がありえることが示唆されていました。それらと一致した分析結果に対して著者らは糖分や加工食品の多い西洋式の食生活が一因となり、肥満や非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が急増している。コーヒーや茶の飲用は、生活に取り入れやすく安価に行える健康法であるため、先進国における実用的な対策となりえると考察しています。
【今後】
コーヒーには抗酸化作用があり、それが肝細胞の繊維化を防止することに関わっている可能性があります。とはいえ、コーヒーやハーブティーを飲むことが、肝機能を向上することまでは示されていません。そして、あくまで実社会で暮らす方々を対象とした、かつアンケート調査でしかありません。毎日、同じ飲み物を飲み続ける方はいないでしょう。そして記憶間違いや質問票による誘導効果といった、真実を捻じ曲げる効果が介在している可能性もございましょう。
朝食摂取をせずに、缶コーヒー摂取をしていると、不安障碍という、いわゆるパニック障碍を来している労働者をよく確認しています。従って、損得含め更なる検討が必要でしょう。