医師の社会的使命と過重労働・ワークライフバランス|第30回日本医学会総会2019中部報告③(19/04/29)
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医師の社会的使命と過重労働・ワークライフバランス|第30回日本医学会総会2019中部報告③(19/04/29)

2019年05月03日(金)12:53 PM

第30回日本医学会総会2019中部」での「開業医、勤務医、産業医の社会的使命と過重労働・ワークライフバランス」に、合同会社パラゴン代表がシンポジストとして参加致せました。そこでの議論の模様を当シリーズその3として紹介します。


1.そうけ島茂教授三重大学大学院医学系研究科 公衆衛生・産業医学分野より

 


Working hours as a risk factor for acute myocardial infarction in Japan: case-control study
明らかになった長時間労働による健康影響は、心筋梗塞死に関しては、世界的にリスク因子だとの共通理解が得られてきた。
②長時間労働による健康影響としては、不整脈や抑うつ性障がいに関しても、科学的根拠あるリスク因子であることがわかってきている。
③地域の中核的医療機関で、地域医療に邁進する高邁な医師に対しては、年間の時間外労働を1,860時間まで緩和することは、上記よりその医師の健康に悪影響を及ぼしうることが懸念される。
④地域医療を守るというその医師の社会的使命を果たすには、他職種との連携を含めた、別種の公共政策的解決が必要である。

2.羽生田俊参議院議員より


①医療機関も、101人以上の雇用を抱える場合には2019年4月から、100人以下の場合には2020年4月から、「働き方改革関連法」の適応が施行されている(※その他諸条件はありますが、大きくは上記2点において施行)。
② ①には例外があって、それは医師への適応は2024年になるということである。
③「医師の働き方改革」については、「医師の健康への配慮」と「地域医療の継続性」との両立が不可避。
④ ③に加え、医療安全と地域医療を守るためには、「タスクシフト(職務分担)」の実施が避けられない。医師でないとできないこと以外を医師には担わせないという、換言すると医師ではなくても担当できる業務は別の職に分担してもらうことになる。


3.湯地晃一郎特任准教授@東京大学医科学研究所国際先端医療社会連携研究部門より



①地域の中核的医療機関に従事する医師の時間外労働時間の上限が1,860時間の背景は、2016年実施の厚生労働科学特別研究「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」(以下「医師10万人調査」)にて、労働時間が長い方から1割に相当する労働時間。
②「医師10万人調査」では、男性の28%、女性の17%が週60時間以上の労働に従事していた。
③同調査では、待機時間の平均が男性では16時間、女性では12時間だった。
④時間外労働の平均が長い診療科は、救急、外科、臨床研修医の順だった。
⑤地域制が生じる原因を分析するために行った層別解析では、年代に応じて、地域を避ける理由に差異が認められた。

4.櫻澤博文@合同会社パラゴンより


【課題】
①1995年をピークとするわが国の生産年齢人口は、直近の2018年10月1日時点はピーク時よりすでに1,100万人も減少し86.5%まで低下、かつ、今後の想定も減少の一途。
②国家レベルでの労働力不足は、企業の生産活動というミクロでみるならば、永続性に影を落とすだけではなく、最前線で支援に従事する産業医にもさまざまな負担が生じるという現実がある。加えて今般の労働安全衛生法改正にて、更なる負荷が産業医に強いられることが危惧される。。
【対策】
以下が「タスクシフト」に留まらない、「オープンイノベーション」例
A特定社会保険労務士と
ストレスチェックで浮彫になる労働問題からのリスクヘッジという「タスクシフト」に留まらず、健康経営優良法人認定まで可能になっている事例として職業性ストレスチェック実施センターがある。
80項目版ストレスチェックの有用性と集団分析結果の分析と、「アクションプラン」という職場環境改善計画の実行が労働者災害補償保険金からの助成金を使うことで事業者の負担がゼロになる場合もあり、「アクションプラン」という職場環境改善計画の実行実施率が68%と第13次労働災害防止計画が掲げた2013年度での到達目標値(60%)を2018年度にてすでに達成。

Bキャリアコンサルタントと
熊本の仁誠会のように、個々の適性に基づいた適職への配置支援というキャリアカウンセリングを実施している医療機関はすでに実在している。監修本を参考にしてもらうことで、Aと相まって、少ない人的資源で、多くの生産性を示す医療機関が増加することと期している。


5.森田朗教授@津田塾大学総合政策学部 より


①医師の働き方改革においては、
・医師の健康確保、
・医師に課せられた社会的使命(ミッション)、
・医師という労働力や社会的資源の配置、
・医師養成に要する国民負担 といった複雑に絡んだ連立方程式を、国民レベルでの合意形成を踏まえて解きほぐす必要がある。
② ①のためには、Business process re-engineeringという、業務分析を踏まえた効率化作業が解決手段である。同様に社会的要請面の増大に対し、限られた公的資源という制約に直面している社会的システムに、公的教育があり、そこでの活用例がある。地域での指導者に、部活動指導を担ってもらうようになった実際はこの活用例の1つ。
③ 医療においても、質的な悪化が生じないよう、治療効果を目的変数とした、いわば外部監査にて、質的劣化を防止しながらの、少ない医療資源を有効に活用しえる医療システム管理手法の開発と適用、そしてそれらが可能になる制度設計が求められる。



 

 





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