2003年にSARSといわれるコロナウイルス感染が世界を震撼させました。当時、日本国政府によって渡航自粛地域とされたトロントを通過したことから国内で唯一、当時の産業医より公式に自宅隔離措置を講じられた経験を合同会社パラゴンの代表医師は持ちます。その経験から、武漢から全世界に感染が拡大している肺炎に対しても対策が必要であると2020年1月10日に判じ、実際に新型コロナウイルス起因性であることを日本でいち早く当サイトで紹介しています。
さてこの「WN-CoV」性肺炎に関する日本国政府によって発出された最初の情報「中国湖北省武漢市で報告されている新型コロナウイルス関連肺炎に対する対応と院内感染対策」の内容は、後世においても確認する機会があると考えられますので、その内容の一部を全国の産業医にとって2020年1月16日にはいち早く知っておいてもらうために紹介しましたが、今後も保存しておきます。
疑い例の定義:以下の①、②全てを満たす場合を「疑い例」とする。
① 発熱(37.5 度以上)かつ呼吸器症状を有している。
② 以下の(ア) 、(イ)の曝露歴のいずれかを満たす。
発症から 2 週間以内に
(ア) 武漢市内を訪問した。
(イ) 武漢の新型コロナウイルスの患者、またはその疑いがある患者と 2 メートル以内で の接触歴がある。
新型コロナウイルス関連肺炎の疑い例のスクリーニング
① 発熱または呼吸器症状を訴える患者に対して、武漢市への渡航歴(渡航地域、渡航期間) を聴取する。
② 発熱または呼吸器症状を訴える患者に武漢市への渡航歴がある場合には、武漢市内の華 南海鮮城(武汉华南海鲜水产批发市场、1 月 1 日以降、閉鎖中)や他の生鮮市場への訪 問の有無、武漢市内での医療機関受診の有無、武漢市内での病人との接触の有無を確認する。
新型コロナウイルス関連肺炎の疑い例に対する感染対策
急性呼吸器感染症患者の診察時には標準予防策、つまり呼吸器症状を呈する患者本人には必ずサージカルマスクを着用させ、医療従事者は、診察する際にサージカルマスクを含めた標準予防策を実施していることを前提とする。
そのうえで、上記(ア) (イ)のいずれかの曝露歴のある患者を診察する場合、
① 診察室および入院病床は個室が望ましい。
② 患者の気道吸引、気管内挿管の処置などエアロゾル発生手技を実施する際には空気感染 の可能性を考慮し N95 マスクを装着する。
③ 患者の移動は医学的に必要な目的に限定し、移動させる場合には患者にサージカルマス クを装着させる。