産業医によるコロナ禍検証|国内初感染事例からの教訓

2020年 1月14日、神奈川県内の医療機関から管轄の保健所に対して、中華人民共和国湖北省武漢市の滞在歴がある肺炎の患者が報告されました。

この方は、1月6日に、一度、医療機関を受診していました。かつ武漢市の滞在歴の申告さえ行われていました。企業内のコロナ対策を担う産業医にとって、知っておくべき基本情報と思われますので、以下に記載致します。

国立感染症研究所での検査制度(疑似症サーベイランス)に基づき当該患者の検体を国立感染症研究所(村山庁舎)が検査したところ、1月15日20時45分頃に新型コロナウイルス陽性の結果が示されたため、新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生が国内で初めて確認されたことになります。

 (1)年代: 30代

 (2)性別: 男性

 (3)居住都道府県: 神奈川県

 (4)症状: 1月3日から発熱あり。

 1月6日に中華人民共和国湖北省武漢市から、解熱剤を服用の上検疫所を通過しての帰国(当社代表社員は、2003年のSARS流行後、バイオテロ対策としてこの抜け道を問題視していいた)。


同日、医療機関を受診。

 1月10日から入院するまで、市井にて日常生活を送っていた

 1月15日に症状が軽快し、退院。

 (5)滞在国: 中華人民共和国(湖北省武漢市)

 (6)滞在国での行動歴: 本人からの報告によれば、武漢市の海鮮市場(華南海鮮城)には立ち寄っていない。

 中国において、詳細不明の肺炎患者と濃厚接触の可能性がある。

 

【教訓】

我々の周囲に、この新型コロナウイルス感染源となる一般人が普通に暮らしていたことがわかりました。SARS流行期もそうでしたが、咳エチケットや手洗い等、通常の感染対策が有効でした。

【感染の恐れがある場合の治療】

SARS時には、麻黄湯が治療効果があるとされていました。

【感染拡大防止策】

感染が疑われた場合に加え、家族内感染が疑われる場合には、出勤停止とするした方が、家族内感染が疑われた場合でも出勤停止としない場合より、統計学的に有意に感染拡大を阻止することが、2009年の豚由来インフルエンザ(AH1pdm)流行時、当社代表も参画した疫学研究に基づく科学的根拠にて明らかになっています。

出典:An effective quarantine measure reduced the total incidence of influenza A H1N1 in the workplace: another way to control the H1N1 flu pandemic.J Occup .Health. 2011;53(4):287-92.