メンタル産業医ドクター櫻澤のヘルシーコラム|「あざみ野STYLE vol.41」に掲載

健康経営に長けたメンタル産業医の命名者が創設したことで知られる合同会社パラゴン(東京都港区)代表の櫻澤博文の書いた『メンタル産業医 ドクター櫻澤のヘルシーコラム いつもこころにうるおいを! 春のメンタル不調に要注意! 鉄分たっぷりな食事で心も体も軽やかに』が、「あざみ野STYLE vol.41 2020SPRING号」に掲載されました。

出典:あざみ野STYLE vol.41 2020SPRING号

 「うつ」を予防する三要素があります。頭文字をとって「ABC」。うち、「B」はブレックファスト・・・すなわち朝食摂取です(「A」:有酸素運動であるエアロビクス、「C」:シガレットはダメ!・・・つまり卒煙)。

 

でもいくら朝食を摂っていても、それがシリアルバーやカップ麺といったインスタント食品では必要な栄養素が十分とれません。

 

食事内容に偏りがあると、「うつ」になりやすいことが知られています。うち、女性に多いのが鉄欠乏性貧血による「うつ」です。


鉄は、トリプトファンという必須アミノ酸からセロトニン(別名5-ヒドロキシトリプタミン)を作り出す際の酵素です。セロトニンは脳内の神経伝達物質としての役目があるため、つまり鉄が足りないと、このセロトニン産生が低下し、脳内の神経伝達に遅滞が生じることで抑うつ症状が引き起こされるのです。


栄養改善にて免疫力を含めたストレス耐性、疾病に対する抵抗力あげる
場合、特に女性の場合には、鉄欠乏性貧血かどうかの確認と、その食事を通じた補正が必要です。単純に、ヘモグロビンという酸素を運ぶタンパク質の血中濃度が12㎎/dlから10㎎/dlへと2㎎/dl低下していた場合でも、2÷12より16.7%も酸素を運ぶ力が落ちていることを示します。いわば酸欠状態。酸素分圧でみるならば、千メートル級の山に滞在しているような状態です。

ヘモグロビン濃度が9㎎/dlしかない人だと2千メートル級の山に滞在しているような状態となります。息切れ、むくみ、呼吸困難を感じてもおかしくはないのですが、月経を含めた長期間に及ぶ微量の出血が持続している状態だと、身体が順化してしまい、気が付かない場合が多くあります。コロナ禍で定期健診や住民健診、特定保健診査を受けない方がいますが、それでは抵抗力がそもそもなくなっている状態を見落としてしまう可能性があるから勧められません。

 

どうして女性に多いのか? 
月経1日あたり0.5mg、鉄が月経血にて喪失するというように、元々鉄が欠乏しやすい状況にあるからです。実際、国民栄養調査からすると10~20%が鉄欠乏性貧血を発症していることがわかっています。

 

鉄欠乏性うつを防止するには!

  1. 鉄分の多い食品を積極的に摂る 
  2. 100gあたり13mgの鉄を含む豚レバーより、乾燥ひじき(55mg)やキクラゲ(35mg)はより多く鉄を含みます。レバーは肝臓ということで、「解毒が必要な有害物質が含まれているということから、控えた方が良い」という考えを信じる方は、貝類、ゴマ、パセリ、そして血液が豊富な部位である赤身肉(牛肉、まぐろ、かつお)にも多く含まれているので、これらを意識して摂取すると良いでしょう。
  3. ヘモグロビンの合成を助ける栄養素も忘れずに
  4. 赤血球を作る良質なタンパク質(肉、魚、卵、乳製品)、鉄の吸収を高めるビタミンC(柑橘類)、血液を作るビタミンB群(B12・B6と葉酸)を含む食品(野菜、海草、納豆、も摂ることで、鉄を有効に活用できるようになります。