2020年度より新設された「高年齢労働者安全衛生対策補助金(エイジフレンドリー補助金)」の仔細を、メンタル産業医の命名者が創設した合同会社パラゴン(東京都港区)が、全国の産業医にとっても有用な情報なので紹介します。
出典:日本労働安全衛生コンサルタント会.エイジフレンドリー補助金
【背景】2019年11月27日に高齢労働者の労災防止に関するガイドライン骨子案が示されました。その中で、厚生労働省から、高年齢労働者の安全・健康の確保に向け、この助成金の新設が提示されました。
いわゆる2025年問題を プロフェッショナル産業医で知られる合同会社パラゴンは、第93回日本産業衛生学会のシンポジウム「令和時代の産業保健支援とは~恒常的人口減社会における産業保健支援のあり方~」で座長の一人として取り上げ、その解決策をシンポジストとして紹介しました。
参考サイト:第93回日本産業衛生学会総会のシンポジウム13にメンタル産業医登壇
何しろ2025年には団塊の世代が75歳以上の「後期高齢者」となります。これは、国民の3人に1人が60歳以上になるという「超超高齢化社会」を意味しています。
企業にとっては、高齢者活用を進めることで、少しでも人手不足を解消することが必要です。一方で、高齢者活用を推進するためには、高齢者が働きやすい職場環境を整備する必要があります。
「エイジフレンドリー補助金」を活用することで、高齢者が働きやすい環境を整備することができます。
【目的】この補助金は、60歳以上の高年齢労働者を雇用する中小企業等を対象に、労働災害防止、健康確保等の独自の取組に対し、費用の一部を補助することを目的としています。
【概要】
(1)目的
高齢労働者の増加にともない、転倒や腰痛など、労働事故に占める高齢者の割合が増加しています。そのため、当補助金では、以下の取り組みに対する支援、促進を目的としています。
・高年齢労働者の安全・健康の確保のために努力する中小企業等の支援
・先進的な安全衛生対策技術等の普及促進
(2)対象者
60歳以上の高年齢労働者を雇用する中小企業等の事業者
(3)補助金の対象となる取り組み
〇高年齢労働者の特性に配慮した安全衛生教育に係る経費
【働く⾼齢者の新型コロナウイルス感染予防】
◇ 介護におけるリフト、スライディングシート等の導⼊
◇ 介護における移乗⽀援機器等の活⽤
◇ 客室への荷物配送、配膳等の⾃動搬送機器の導⼊
◇ 熱中症の初期症状等の体調の急変を把握できる⼩型携帯機器 ( ウェアラブルデ バイス)による健康管理システムの利⽤ ※使い捨てマスク等の消耗品、ビニールカーテン等の仮設の設備については対象となりません
【⾝体機能の低下を補う設備・装置の導⼊】
◇ 通路の段差の解消(スロープの設置等)
◇ 階段に⼿すりの設置
◇ 床や通路の滑り防⽌対策(防滑素材の採⽤、防滑靴の⽀給)
◇ 暗い作業場所の照度の改善
◇ 危険箇所への安全標識や警告灯等の設置
◇ ⾼齢者に聞きとりやすい中低⾳域の警報⾳に交換
◇ 作業時の有効視野を考慮して警告・注意機器の配置の改善
◇ 業務⽤の⾞両への⾃動ブレーキ⼜は踏み間違い防⽌装置の導⼊
◇ 熱中症リスクの⾼い作業がある事業場での涼しい休憩場所の整備
◇ 体温を下げるための機能のある服などの⽀給
◇ 不⾃然な作業姿勢を改善するための作業台等の設置
◇ 重量物搬送機器・リフトの導⼊
◇ 重筋作業を補助するパワーアシストスーツ等の導⼊
【健康や体⼒の状況の把握等】
◇ 安全で健康に働くための体⼒チェックの実施
◇ 健康診断や⻭科健診、体⼒チェック等に基づいた運動指導、栄養指導、保健指 導等の実施
◇ 保健師やトレーナー等の指導による⾝体機能の維持向上活動
【安全衛⽣教育】
◇ 加齢に伴う労働災害リスクの増⼤の理解促進のための教育
◇ ⾼齢者の理解度を測りつつ反復実施する安全衛⽣教育
※労働者個⼈ごとに費⽤が⽣じる対策(ウェアラブルデバイス、防滑靴、体⼒チェックなど) については、雇⽤する⾼年齢労働者の⼈数分に限り補助対象となります。
(4)補助金額
補助率1/2(上限100万円)
2020年度実績
申請件数 1,974件、支払い件数 1,159件、金額538,769,975円
お問い合わせ先
電話:03-6381-7507 FAX:03-6381-7508
Mail:af-hojyojimucenter@jashcon.or.jp
【支払い関係】
電話:03-6809-4085 FAX:03-6809-4086
Mail:af-shiharai@jashcon.or.jp
(注)電話でのお問い合わせは、平日(10:00〜12:00、13:00〜16:00)
(但し、土日祝祭日、8月10日〜13日(夏季休暇)、12月28日〜1月4日(年末年始)を除く。)