何しろ「うつ病」は食事起因性であることから、生活習慣を改善すると治る方々が多くいます。そこで「産業精神栄養学」として体系化する中、うつ病は体内の生化学的変化で説明がつくこともわかってきました。
ワルシュ研究所所長のWJ ワルシュ博士らの研究グループによると、2,800例の抑うつ性障がいと診断された方を含めた20万件のカルテ記録、30万件の血液や尿の生化学検査を検証したところ、5つの背景因子があることが推測されました。
①強迫神経症(過メチル化):38%。セロトニン受容体の反応性が低下しています。
②葉酸欠乏:20%。抗うつ薬による神経障害より自死危険が高い病態です。葉酸やビタミンB12補給がこのタイプには治療効果を示します。
③銅の過剰摂取:17%。エストロゲン不耐を示す更年期女性には血中の銅の濃度が高いことがわかりました。セロトニン濃度は関係ないこともわかりました。
④ピロール欠乏:15%。ヘモグロビン欠乏が背景にある酸化高ストレスへ不耐か、セロトニン産生低下が背景にあるため、SSRI型抗うつ薬効果が期待できるタイプです。
⑤鉛毒性:5%。血中鉛が多いと、神経活動が阻害される結果、うつ症状を呈します。
うち3つはセロトニンとは関係がないことから、抑うつ性障がいにはこれまでのようなセロトニン欠乏だけでは説明がつかず、更なる検討が必要としています。