メンタル産業医によるレジリエンスを高める⑱|うつによる自死防止対策
トップページ > メンタル産業医によるレジリエンスを高める⑱|うつによる自死防止対策

メンタル産業医によるレジリエンスを高める⑱|うつによる自死防止対策

2020年04月08日(水)10:37 AM

メンタル産業医の命名者として知られる櫻澤博文が代表を務める合同会社パラゴン(東京都港区)がお贈りする「メンタル産業医によるレジリエンスを高める」シリーズ第18回目は、厚生労働省自殺対策推進室と警察庁生活安全局生活安全企画課が2020年3月17日に出した「令和元年中における自殺の状況」から、新型コロナウイルス感染防止による外出自粛に伴う経済活動停滞の悪影響(いわゆる「コロナうつ」)の考察です。




【自死の概況】

[自死者全体]
2019年度の自死者数は20,169人と2010年以降、10年連続の減少継続中かつ、1978年からの自死統計上過去最低となりました。
しかしながら10代での増加が要注意です。
年代別では毎年、50代が一番多いです。



[要因別:経済・生活問題]

10年連続、経済・生活問題を理由とする自死は減少継続中で2019年度は3,395人と、4年連続4,000人未満となっています。


【自死と経済との関係】

失業率と自死者数は比例しているといわれています(NTTコムリサーチ.自殺と景気の関係.2007年7月30日、内閣府経済社会総合研究所. 自殺の経済社会的要因に関する調査研究報告書.平成18年7月・・・②)。

新型コロナウイルス感染拡大防止が必要なことは論を待たないものの、新型コロナウイルス感染による死亡より、失業者数増に伴う自死者数が増加することがあってはならないと考えます。



【対策の根拠】

②では、以下の検討結果が得られています。

長期失業等を含む失業要因が、年齢階層別データ分析において、統計的に安定して有意に男性自死率を増加させる方向に作用しかつ寄与度も大きかった。都道府県別年齢階層別データを用いた分析でも、失業率は統計的に安定して有意であった。したがって、98年以降の30歳代後半から60歳代前半の男性自死率の急増に最も影響力があった要因は、失業あるいは失業率の増加に代表される雇用・経済環境の悪化である可能性が高い。

また、都道府県別年齢階層別データの統計分析は、近所づきあいの頻度が高い地域で自死率が低い傾向にあったことを不完全ながらも示している。したがって、失職者や経営難に陥った自営業者を経済面だけではなく精神面でも支援するような人的ネットワークを土台とするセーフティーネットの構築が自死予防に有効である可能性が高い。

また、対策として以下の提言がなされていました。

三つの枠組み、
i)経済的な視点(雇用対策、再就職支援の強化、労働条件の改善等)、
ii)環境・教育的な視点(うつ病支援、医療相談へのアクセスの向上等)、
iii)行政・法務に関する視点(自死統計の充実、研究促進等)、に分けることが可能である。
これらの枠組みごとに関係者が連携し、自死予防を効果的に実施していくことが重要である。



ⅱ)に関しては、

①こころの相談統一ダイヤル  0570-064-556(おこなおう まもろうよ こころ)

↑ 開設時間はこちらからご確認できます 

②こころといのちのホットライン

 年中無休 午後2翌朝530

※つながらない場合は、お手数ですが何度かおしください。

きるのがつらいとじた電話相談



③当「メンタル産業医によるレジリエンスを高める」シリーズを参照ください。

新型コロナウイルス感染症対応に従事されている方のこころの健康を維持するために(日本赤十字社)

コロナウイルスのアウトブレイクにおける隔離の心理的影響: 医療従事者が知っておくべきこと他(The Center for the Study of Traumatic Stress (CSTS))



ⅰ)について以下に紹介します。


雇用関係助成金の探し方

  • 以下、「窓」の中に雇用関係助成金検索ツールが組み込まれています。
    取扱内容や対象者のキーワードから助成金を検索することができます
     
窓助成金検索


 




 


 ☆働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)







☆日本政策金融公庫 新型コロナウイルス感染症特別貸付

新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

 

・令和2年2月25日に決定された「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」に、閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等がなくても感染を拡大するリスクがあることが示されていること等を踏まえ、これらの健康診断の実施時期を令和2年5月末までの間、延期することとして差し支えありません。

・安全委員会等を開催するに際してはテレビ電話による会議方式にすることや、開催を延期することなど、令和2年5月末までの間、弾力的な運用を図ることとして差し支えありません。

・労働安全衛生規則第43条に基づく雇入時の健康診断、第44条に基づく定期健康診断、第45条に基づく特定業務従事者の健康診断など、労働安全衛生法第66条第1項に基づく健康診断に限るものであり、その他の労働安全衛生法に基づく特殊健康診断等の取扱いは従前どおり法令に基づく頻度で実施いただく必要があります。また、この取扱いは、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた令和2年5月末までに限られた対応となりますので、ご注意ください。

 



参考サイト:産業医による新型コロナウイルス感染症対策㉜|自死対策サイト等のまとめ:プロ産業医による失業率増悪対策



«   |   »