ストレスチェック制度(ストレスチェック及び面接指導)」についての解説シリーズその8です。
ストレスチェック実施後の面接指導についてを解説致します。
ストレスチェックにおいてもプロフェッショナル産業医で知られる合同会社パラゴン。そこの支援を受けているのが職業性ストレスチェック実施センターです。そこが面接指導を実施するに際して注意事項を今回は紹介します。
1>まず面接指導の実施者を決めておく事前準備が必要です。
事業者が面接指導の実施を指示する医師としては、当該事業場の産業医や契約している労働衛生コンサルタント資格を持つ医師が望ましいです。
また、面接指導の実施を外部の健診機関やEAP(従業員支援プログラム)等の医師に業務委託する場合には予め、当該機関が適切にストレスチェックや面接指導を実施できる医師がいたり、体制が整備しているのかどうか、情報管理が適切になされるかどうかなどにつき十分確認しておきましょう。“選球眼”については後日紹介します。
2>次に面接指導の対象者を把握する必要があります。
面接指導の申出を行った労働者が、面接指導の対象に該当するかどうかを事業者が確認するためには、当該労働者が高ストレスと評価された者か否かを把握する必要があります。そのためには申出がなされた際に、以下のいずれかの方法で対象に該当するかどうかを事業者が把握する必要があります。
① 当該労働者から個人のストレスチェック結果の提出を求める方法。
② ストレスチェックの実施者に当該労働者の該当の有無を確認する方法。
3>面接指導の実施時期
労働者から申出があった後、遅滞なく面接指導を行えるようにしておく必要があります。
4>面接指導の実施方法
面接指導においては、以下に掲げる事項を医師が確認することになっています。
① 当該労働者の勤務の状況(労働時間、業務の内容等について予め事業者から情報を入手)
② ストレス要因(職場の人間関係や前回検査以降の業務・役割の変化の有無等)
③ 心理的な負担の状況(抑うつ症状等)
④ 周囲のサポートの状況
⑤ 心身の状況の確認(過去の健診結果や現在の生活の状況の確認を含む。必要に応じてうつ病等やストレス関連疾患(胃・十二指腸潰瘍、高血圧症、気管支ぜんそく、顎関節症等の疾患でストレスが関連するもの)を念頭においた確認を行う。
次に面接指導の結果、行うべきことを解説致します。
1>面接指導において、医師が労働者に対して行うべき医学上の指導としては、以下になります。
① 保健指導
・ ストレス対処技術の指導
・ 自覚と自主努力(セルフケア)、受療への努力の重要性の認識と指導
② 受診指導(面接指導の結果、必要に応じて実施)
・ 専門機関の受診の勧奨と紹介
③ 面接指導において、メンタルヘルス不調者を把握した場合など、必要がある場合は、
医師の判断により継続的な対応が必要になる場合があります。その場合、適切に精神科等の専門医療につなげることも大切な安全配慮になります。この点からも、“テキトー”な対応しか出来ない医師に担当させてはならない事が理解できます。
2>面接指導を実施した医師が、その結果を事業者に情報を提供する方法としては、以下になります。
原則として、就業上の措置の内容及び就業上の措置を講じる上で医師が必要と判断する最低限の情報に限定し、具体的な病名、愁訴の具体的な内容などの詳細な医学的情報は事業者に提供すべきではないとされています。
・面接指導の実施そのものを外部の医師に委託する場合は、外部の医師とのやりとりの窓口の役割を産業医等に担わせ、外部の医師から事業者に面接指導の結果を提供する際には、当該産業医等を通じて事業者に提供することが望ましいとされています。
この場合でも当該産業医等に限られるのであれば、必要最小限の医学的情報の提供を受けることは構いません。