ストレスチェック制度を健康経営に活かすメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)が、ストレスチェック制度にまつわる課題と解決策を紹介します。
まず最初はストレスチェック制度でひっかっかる高ストレス者を精神病患者にさせない方法です
日本労働安全衛生コンサルタント会機関誌である「安全衛生コンサルタント」の平成27年10月20日号には、同会前会長で、厚生労働省の検討会の座長を務められた相澤相澤好治同会顧問からも、以下の問題点が提起されていました。
「極端な例だと、精神病院の医師が面接のみ受託するというのも出てきて。それはちょっと違うのではないかと思うのですけれどね。精神科の患者さんがそれだと、どんどん増えてしまいますよね。相談指導は精神疾患の指導のためではないので、全く目的が違う」
確かに「不治も出る」例という悪例の先例があります。
出典:櫻澤博文.第106回日本精神神経学会総会シンポジウム処方監査.産業医からみた精神科医療の疫学的検討と処方箋.日本精神神経学会誌2011年SS131-8
産業医大教授で森晃爾 同会常任理事も以下の懸念を述べていました。
「面接指導も一緒にサービスしますよ」という事業者が出ています。しかし、顧客の職場状況を理解しない中で、どのように行うかが、大きな課題。職場復帰時の面接と長時間労働者に対する面接指導を適切に行えている産業医にとっては、今回の面接指導はあまり難しい話ではない。
病気の診断をする必要はなくて、医療機関受診が必要か、何らかの業務上の配慮が必要かといった判断が必要になりますが、この範囲は必ずしも精神科の専門知識は要らない。特に、職場の状況やルールを解っているかどうかということが重要。
逆に言うと、そこが本来の産業医の強みだったので、そのような職場理解ができていない産業医は、そもそも産業医の役割がはたせるかどうかということ。面接指導が有効に働くためには、最低限どのような情報が必要か、職場のことを理解している医師がおこなうことが重要であるといった話が強調されたほうがいいのではないか。」
出典:座談会 ストレスチェック制度の効果的な導入とコンサルタントの役割.安全衛生コンサルタント 2015;35(116):6-23
ストレスチェック制度導入のみならず、健康経営優良法人の基盤として活用する体制整備にまで長けたメンタル産業医命名者で知られる当社代表は、これらの解決方法は以下の「先見労務管理」誌にて公開しています。そもそもメンタルヘルス不調者が出ない支援を日々、産業医先に提供かつ展開するメンタル産業医であれば大丈夫ということになります。
出典:さくらざわ博文.連載 “うつ”からの職場復帰支援ナビ 第7回 メンタル不調者を職場から出さない工夫. 先見労務管理 2015年10月25日号
2つ目はブラック企業がますますブラック化するのを防止するには?
これまで産業医を雇うことも、「健康経営2.0」という詐欺に似るを使って、産業医の業務や衛生管理者の業務を未経験な保健師に代替させるという、つまりは健康管理を委託することもないブラック企業でも、今回のストレスチェックは関心があり、ストレスチェックを実施しようと考えているとこが出てきています。でも定期健康診断の結果を産業医にみせていないような、つまり専門用語では「事後措置」という「就労判定」を求めていないような、労働者に対する基本中の基本である健康管理の実態がないような事業場では、心の定期健康診断であるストレスチェック制度を導入したとしても、高ストレス者に対しての医師による面接制度という、こころの面からの就労判定を求めたとしても、労働者側はそもそも戸惑い、面接を希望することはないのが実際です。そもそも集団分析さえも努力義務になってしまいました。
対策としては産業医を中心とした、健康管理活動の基本中の基本である定期健康診断の対応フローの構築と、その健康診断結果に対する就労判定や保健指導を含めた「事後措置」提供といった健康管理体制を構築することが大切になります。
その構築支援は、合同会社パラゴンの“お家芸”です。
3つ目:「第9回四谷M・L研究会」で紹介されたノウハウ
2015年11月11日に産業医を対象に開催された「第9回四谷M・L研究会」にて明らかになった、産業医とストレスチェック制度の問題点とその解決方法についてまとめました。
高梨滋雄弁護士からの論点紹介
1. そもそも産業医の身分保障についてはせいぜい勧告権しかなく、対してプライバシー保護と安全配慮義務との利益の衡量等、その辛苦と比すると法制度上、手当ては元から不十分だったことを当研究会でも以前から、産業医への支援が不足していると問題提起してきた。
2.今回のストレスチェック制度についてもしかり。
3. 本来、守らなければならない法的義務規定は労働安全衛生法と労働安全衛生規則まで。ところがこのストレスチェック制度に関しては、労働安全衛生規則までの規定には決まっていないことだらけと穴が多い。対してストレスチェック指針やストレスチェック制度実施マニュアル、更にはQ&Aを厚生労働省は出しているが、それぞれ法的拘束力はない。なぜなら立法府を経たものではなく行政の見解でしかないからである。
4.今回の法的措置に関して実施支援のための支援予算が組まれているわけでもない。
以上より産業医に対する法制度上の手当てのなさは当会でも何度も不足していること、疑問視してきたものの、悪化したと理解する他はない状況。従って、産業医は、遵守すべき対象である労働安全衛生規則での規定が不足している以上、出来ないものは出来ないという是々非々対応で構わない。
★産業医は、きちんと事前に、事業者と責任や責務の範疇を協議しておく必要がある。でないと、ただでさえ足りない法的手当てに対して、過重な負担をこのストレスチェックでも追わせられる危惧があり、産業医が過重労働にて潰れてしまわないか心配している。
(株)日立製作所本社ダイビル診療所所長 秋山義之先生からの論点紹介
①ストレスチェック制度において、実施者に医師(産業医)だけではなく保健師も担当出来るようになったことは確か。しかしながら、従業員何人に対して保健師何人といった規定が制定されることはないため、産業医への負担が軽減されないまま終わる可能性が高い。
②プライバシー保護と労働者の心身の保護とを見比べて、きちんとした対応を産業医が執らないと、このストレスチェック制度は骨抜きになる恐れがある。
③産業医が書く意見書は、プライバシー保護の観点から、労働者に開示して構わない内容なのかの確認と同意を事前にとっておく必要がある。
④ストレスチェック結果の通知について労働安全衛生規則、ストレスチェック指針、ストレスチェックマニュアルの全てで主語が異なっている。
規則では「当該検査を行った医師等から」
ストレスチェック指針では「実施者から」
マニュアルでは「実施者又はその他の実施事務従事者から」
なお両名から「メンタル不調者と支援者のための休職・復職ガイドブック」についてお褒めの言葉を頂戴いたしました。
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