プロフェッショナルなメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)が考える、メンタル産業医としての職業倫理は以下です。製薬企業という名の制約企業による抱き込み工作という妨害を受けてはなりません。公平性・公共性・公益性の観点から、誤用する誤用産業医といわれる誹謗に甘んじなければならなくなるからです。その点、多くの精神医学教授が、研究費や講演料、執筆料を製薬会社からもらい、魂を売り渡していることが知られています。
出典:Waseda Chronicle.シリーズ「製薬マネーと医師」
そんな中、寄附という制約や学会本部からの補助金という圧力を一切受けずに開催された第16回日本外来精神医療学会の参加報告②です。
ここでは主にベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZA)処方の害悪を紹介します。
1.杏林大学 渡邊衝一郎教授によるベンゾジアゼピン受容体作動薬服用による功罪
以下が報告されていました。
アルツハイマー型認知症になるリスク 1.5倍
死亡リスク 3.68倍
交通事故 1.59倍
NICEガイドラインでは、そもそも不安障碍には使ってはならない。
代謝産物は同系列だと全てNデスメチルジアゼパンになる以上、併用するのはおかしい。副作用が際立つのみ。
2、さいたま市立病院 仙波純一医師による多罪併用が起こる背景解説
覚せい剤中毒に次いで多いBZAによる依存症。それを生み出す恐るべき精神科医の心理背景を分類整理していました。
なんでも、漢方薬のように、薬を数種類も多罪併用させては、その効果を 映画で出てくるようなマッドサイエンティスト、マッドドクターのように 微妙に調整することが医師としての能力の現われだと理解している医師がいるとか。
また、薬物療法に即効的効果を期待する患者側の思惑の問題も多々あるとの解釈でした。
3.国立精神・神経医療研究センター 山之内芳雄医師による減量方法
平成22~25年の厚生労働科学研究において多罪併用を受けていた163名の統合失調症患者に対する減薬を試みる臨床研究結果を紹介されました。
①既存の研究をレビューすると、クロルプロマジン【CP】換算で千ミリグラムを超すと、有意に副作用が増悪している。
②週あたりCP換算9ミリグラムを6か月という減薬プログラムであれば、減薬に対する患者側や医師側のデメリットは確認されず、効果が高かった。
③多罪併用は精神科医の問題だけではなく、名称が悪いが“マイナートランキライザー”という名称に副作用が少ないという誤解を持っている内科医が作り出している現実がある。
④不眠を内科医が治療している場合、ベンゾジアゼピン受容体作動薬使用に間違があり、依存症を生じさせている現実がある。
⑤患者側にも問題がある。生活指導より“もの”・・・つまり投薬を希望する姿勢を改める必要がある。
4.東邦大学薬学部医療薬学教育センター 吉尾隆薬剤師による 薬剤師からみた多剤併用大量処方より
精神科臨床薬学(PCP)研究会の活動が主に紹介されました。
・PCP研究会の2013年度調査では2錠以下の処方は全体の73.33%で、3錠を超すとCP換算で1155.96mg以上になるため、2錠までが望ましい処方の上限。
・日本の平均処方量はCP換算1033.8mg。稲垣らによると適切な範囲は200‐600mgであり、明らかに大量処方に偏っている。
・CP換算600mg以下でもD2レセプターの占有率は65-80%になっているため、有効な投薬量に到達している。
・パーキンソン症候群になっているわけでもないのに、むしろ多罪療法で引き起こすことをしているのに、抗パーキンソン病薬を出す 疫病神医師がいる。
・ベンゾジアゼピン系抗不安薬/睡眠薬はGABA Aレセプターに作動し、D2活性を高めるため、本来は統合失調症症状を増悪させる。それなのに処方する医師が後を絶たない。薬剤師は遠慮なく疑義照会すべき。遠慮していては医薬分業の理念が遠のく。
弊社代表が精神神経学会で多罪併用問題問題視したのは2010年のことでした。翌年解決策を提言してから2016年は5年目。精神科医の自浄作用が確認されてきていることに安心感を覚えました。
<参考>
抗精神病薬の多種類処方では、減算対象を拡大する。処方料(20点)、薬剤料(80%)、処方せん料(30点)に減算するのは、現行では「3種類 以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、4種類以上の抗うつ薬、または4種類以上の抗精神病薬の投薬」だが、今回の改定で、抗うつ薬と抗精神病薬も4種類以 上から「3種類以上」に厳格化する。ただし、臨時の投薬と「患者の病状などでやむを得ず投与が必要な場合、3種類の抗うつ薬または3種類の抗精神病薬を投 与」については除外する。
「通院・在宅精神療法」でも同様の算定要件を設置。「精神科継続外来支援・指導料」は、1回の処方で「抗不安薬3種類以上、睡眠薬3種類以上、抗 うつ薬3種類以上、または抗精神病薬3種類以上」を投与した場合は算定できない(同様の除外規定あり)。また、抗精神病薬が「3種類以上」または抗うつ薬 が「3種類以上」処方されている場合は、厚生労働大臣が定める場合を除き50%の減算になる。
年1回だった「抗精神病薬多剤投与に係る報告書」の提出は、3カ月に1回となり、報告範囲も通年に広がる。抗精神病薬多剤投与の場合、処方料の算 定要件として3カ月に1回、その状況を地方厚生局に報告することが義務付けられる。対象は「6月に受診した患者」から「直近3カ月に受診した患者」にな る。
長期の精神科デイ・ケア等(「精神科デイ・ケア」「精神科デイ・ナイト・ケア」「精神科ナイト・ケア」「精神科ショート・ケア」)は算定要件が厳 しくなる。最初の算定日から1年を超える場合は週5日が限度だが、4日以上の場合は(1)医学的に必要との判断、(2)精神保健福祉士が患者の意向を聴取 し、その意向に沿った診療計画に基づいて実施、(3)当該医療機関で週4日以上のデイ・ケアを受ける患者が8割未満――の3つの要件を満たした場合に限ら れる。また、3年を超える場合は、精神科ショート・ケアと長期入院患者を除いて週4日目以降は90%の算定となる。
精神病棟における退院支援と地域移行の推進を目的に新設されるのは、「地域移行機能強化病棟入院料(1527点)」。長期入院患者の退院者数が月 平均で届出病床数の1.5%に相当することや、専従の精神保健福祉士2人以上の配置などを要件に算定できる。「重症者加算1(1日60点)」「重症者加算 2(1日30点)」「非定形抗精神病加算(1日15点)」も新設する。また、5年以上の長期入院患者の退院を評価する「精神科地域移行実施加算」も10点 から20点に増点する。
重症精神疾患患者に対する多職種の訪問支援や緊急時対応の推進を目的に、「精神科重症患者早期集中支援管理料」の要件を緩和する。対象患者を長期 入院後の患者だけでなく単独で通院困難な患者も追加。特定施設の居住による評価の差を廃止する。その結果、同管理料1では、単一建物診療患者数が1人の場 合は1800点、2人以上の場合は1350点。同管理料2では1480点と1110点となる。施設基準では作業療法士の常勤要件を外し、24時間対応は往 診もしくは訪問看護の体制のいずれかの整備で算定可能になる。
身体合併症のある精神科疾患患者の治療体制の評価では、「精神科急性期医師配置加算(500点)」を新設。100床以上の複数の身体科と精神科を 標榜する二次救急医療体制のある総合病院で、精神科リエゾンチーム加算の届出や精神科医が身体合併症を持つ救急搬送患者を月5人以上、到着後12時間以内 に診察していることなどが条件。同時に、一般病院で身体合併症のある精神疾患患者の受け入れをした場合や救急搬送患者を精神科医が診療した場合の評価も新 設。「精神疾患診療体制加算」として、精神科病院の求めに応じて転院を受け入れた場合は1000点(入院初日)、救急搬送患者を精神科医が診察した場合は 330点(入院初日から3日以内に1回)が算定できる。
「依存症集団療法」は、薬物依存症患者が対象で、1回340点(半年間週1回まで)。医師や医師の指示を受けた看護師や作業療法士(いずれも研修 が必要)が実施する。また、20歳未満の患者が対象の「通院・在宅精神療法 児童・思春期専門管理加算」では、16歳未満は1回につき500点、20歳未 満の患者で病状評価を60分以上した場合は1200点(初診から3カ月以内に1回)を算定できる。精神保健指定医として5年以上児童・思春期の精神医療に 従事した常勤医の配置や、月40人以上16歳未満の患者がいることなどが条件。
「救急患者精神科継続支援料」を新設し、自殺企図後の患者に対する指導を評価する。精神科医か精神科医の指示を受けた看護師らが、自殺企図による 入院から半年以内の精神疾患患者に生活や治療の課題を確認し、助言や指導を行う。入院中の患者は435点(月1回まで)、退院後は135点(半年間に6回 まで)。
5年以上の経験がある専任の精神科医、所定の研修を修了した専任の常勤看護師、精神医療の経験が3年以上ある専従の常勤精神保健福祉士の3人以上 で構成する「精神科リエゾンチーム」。今回、その普及を目的に要件緩和するとともに、週1回200点の加算から300点に増やす。看護師の経験年数を5年 以上から3年以上に引き下げ、精神保健福祉士等の専従要件を緩和する。