ストレスチェックを活用した健康経営の推進に長けたメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)が、「労働時間等見直しガイドライン」(労働時間等設定改善指針)を解説します。
2018年に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(平成30年法律第71号。以下「働き方改革法」という。)が成立しました。勤務間インターバルを導入する努力義務や時間外労働の上限規制が新設されることに伴い、2019年4月1日から改訂された「労働時間等見直しガイドライン」が施行されました。
2017年改訂時には以下3つの事項が盛り込まれていました。
①「地域の実情に応じ、労働者が子どもの学校休業日や地域のイベント等に合わせて年次有給休暇を取得できるよう配慮すること」
お子様方の学校休業日や地域のお祭り、イベント等に合わせて労働者が年次有給休暇を取得できるような配慮が求められるようになりました。
また、平成30年4月から、地域ごとに夏休みなどの一部を他の日に移して学校休業日を分散化する「キッズウィーク」がスタートします。分散化された子どもの学校休業日に合わせて、子どもたちの親を含め、労働者が年次有給休暇を取得できるような配慮が求められることになりました。
②「公民権の行使又は公の職務の執行をする労働者について、公民としての権 を行使し、又は公の職務を執行する労働者のための休暇制度等を設けることに
ついて検討すること」
労働者が裁判員として刑事裁判に参画することは「公の職務の執行」に当たり、裁判員法第100条により、労働者が裁判員としての職務を行うため休暇を取得し
たこと等により、解雇その他不利益な取扱いをすることは禁止されています。
労働者が裁判員として刑事裁判に参画しやすくなるよう、労働者のための休暇制度等を設けることについて、検討が求められることになりました。
③「仕事と生活の調和や、労働者が転職により不利にならないようにする観点から、雇入れ後初めて年次有給休暇を付与するまでの継続勤務期間を短縮するこ
と、年次有給休暇の最大付与日数に達するまでの継続勤務期間を短縮すること等について、事業場の実情を踏まえ検討すること」
労働基準法上、年次有給休暇は入社6か月後に付与され(8割以上の出勤要件あり)、その日から起算して6年後に最大付与日数となります。しかし仕事と生活の調和や、労働者が転職により不利にならないようにする観点から、雇入れ後初めて年次有給休暇を付与するまでの継続勤務期間や年次有給休暇の最大付与日数に達するまでの継続勤務期間を短縮することなどについて検討することが求められることになりました。
今回は以下の図にような改訂が行われました。
★労働基準法に基づく指針に基づき時間外労働・休日労働の削減に取り組むこと。
★年次有給休暇の時季指定義務に留意しつつ、計画的な年次有給休暇の取得促進に取り組むこと。
★年次有給休暇管理簿を作成した上で、その取得状況を労働者及びその上司に周知すること。