2021年度全国労働衛生週間|健康経営度調査を支援する産業医

健康経営度調査の内容をみると、健康経営優良法人になるにはどうしたらよいのかみえてきます。加えて毎年の全国労働衛生週間のテーマや同実施要綱を丹念に読み込むと、その時の時代の状況がわかるだけではなく、労働者が安全で健康的に働いてもらうだけではなく、健康経営優良法人に認定されるために必要な支援内容を検討することも可能です。
そこで健康経営優良法人認定支援型産業医として知られる合同会社パラゴン(東京都港区)が2021(令和3)年度の全国労働衛生週間に関して解説します。

スローガン

72回(2021年度)のスローガンは「向き合おう! こころとからだの健康管理」です。
「働き方改革」がついていた2018年度の第69回目よりは後退した印象を受けるスローガンでした。
それもそのはず。コロナ禍で職場は職域接種、産業医はワクチン接種に駆り出され、コントロールがつかないことで総理大臣が自民党総裁任期を全うしたら総裁を辞任する位の影響があったわけで、労働行政においてもそのようなゆとりはない実際がありました。つまりは平時ではなく戦時。まずは心身 双方における不調、負傷状況をこころに関してはストレスチェックから。からだに関しては定期健康診断結果から把握するという、CAP-Doサイクルを回しましょうという内容なのかもしれません。

2020(令和2年)度労働災害の特徴

労働災害として計上された新型コロナ感染症による傷病や死亡に目を向けてみましょう。
コロナ罹患にて休業4日以上(死亡含む)の労災認定者数は令和元年~令和3年8月27日現在で、12,840件(死者47)です(令和元年はせいぜい1件)。内訳は医療従事者が77.6% と、医療従事者以外においても 約1/4 と 発生しています。

しかしながら単なる件数であって、業種ごとの人口で割った割合や度数率ではないので対策に活用するには有用性の観点からは残念な結果報告です。

出典:厚生労働省.新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数等(令和3年8月27日 18時現在) 

自死者数の推移

例年、世界自殺防止デーである9月10日からの1週間は「自殺予防週間」です。そこで厚生労働省・警察庁「自殺の状況」を分析してみました。

2011(平成23)年の30,651人の翌年、2012(平成24)年に27,858人と3万人を下回った自死者数。2019(令和元)年の20,169人まで8年連続、自死者数は減少を示していました。しかしながら女性が935人も増加してしまった2020(令和2)年は21,081人と増加に転じてしまいました。

コロナうつ対策にと「エモ食べ」を2020年7月にDIETポストセブンが紹介下さった背景にも女性の抑うつ性障がいの増加がありました。

参考サイト:DIETポストセブン|メンタル産業医による「コロナうつ」対策記事掲載

 
年に一度のストレスチェック制度を複数回、実施する企業も出始めています。むろん、ストレスチェックの実施には従業員の同意が必要です。
 

 

全国労働衛生週間実施要綱から

労災統計等を背景に、そして10月から年度の後半が始まることもあり、例年、健康経営優良法人認定を目指す事業者やその支援を行う健康経営推進産業医が着目すべき実施内容が記載されています。

・「取組の5つのポイント」

職場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止のためには、「取組の5つのポイント」を職場で留意すべきとあります。

具体的には

1感染防止のための基本的対策
2感染防止のための具体的対策
3風邪症状が出た場合等の対応
4新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者が出た場合等の対応
5感染防止に向けた行動変容 です。

なお、使いやすいようにチェックリストが公開されています。以下から令和3年7月2日版はダウンロード可能です。

出典:厚生労働省.職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト

 

「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」

当社の産業医は同ガイドラインの実施支援である「エイジフレンドリー補助金」パンフレットを持って、労働災害の予防的観点からの高年齢労働者に対する健康づくりの推進に邁進している日々です。

参考サイト:メンタル産業医命名者|「エイジフレンドリー補助金」を解説