一億総活躍社会を掲げた政治家が具現化された過労死政策とは
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一億総活躍社会を掲げた政治家が具現化された過労死政策とは

2022年10月01日(土)8:17 PM

2022年9月27日に安倍晋三元総理大臣の葬儀が武道館にて営まれました。安倍晋三元総理大臣は「一億総活躍社会」を掲げ、働き方改革関連法の成立にご尽力された方です。



それらのことを偲びながら、葬儀会場周辺や献花台付近を当社代表も逡巡しておりました。
おりしも全国労働衛生週間準備月間の中の一日でした。

本日2022年10月1日は第73回全国労働衛生週間の初日でもあります。

そこで 故安倍晋三元総理大臣の厚生労働行政における足跡のいくつかを辿り直すことにしました。

 

 

「過労死等防止対策推進法」

日本国政府は2014年6月27日に制定された「過労死等防止対策推進法」に基づき、同10月1日に厚生労働大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」を発足させ、長時間労働対策について、厚生労働省を挙げて取り組みはじめました。「過労死等防止対策推進法」の目的である「過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現」のためには、長時間労働以外も検討するためにです。

 

なおこの過労死等防止対策推進法第2条において過労死は「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」と定義されています。

 

 

「働き方改革実行計画」

2017年3 月 28 日に働き方改革の実現会議は、「働き方改革実行計画」をまとめました。

意義としては
・多様で柔軟な働き方を選択可能とする社会の追及
・働く人の視点に立った企業文化や風土の改革
・働き方改革こそが労働生産性を改善するための手段であるとの位置づけ が挙げられます。



そして故安倍内閣総理大臣より、「日本の働き方を変える改革にとって歴史的な一歩である」との表明がありました。


確かに、同一労働同一賃金の実現および長時間労働の是正は、かねてから懸案されていたにもかかわらず実現されて来なかった大きなテーマでした。

図のように各種関連法が改正や施行を経てきています。




以下は労働基準法の中にも時間外労働の上限規制として、罰則規定までもが盛り込まれるに至りました。。

◇週40時間を超える時間外労働の限度を原則として月45時間まで、かつ年360時間を上限

◇労使協定を結ぶ場合でも上回ることのできない時間外労働時間は年720時間(月平均60時間)

◇上記の場合でも、休日労働を含み

・単月の限度は100時間未満
  ・2か月から6か月のいずれの平均をとっても80時間以内
  ・月45時間という時間外労働の原則を上回れるのは年6回まで





『「過労死」なくせるか 再発防ぐための方策は』

その後、この「働き方改革実行計画」を受けて、厚生労働大臣は労働政策審議会という諮問委員会に法改正に向けた諮問を指示しました。

その背景について塩崎恭久厚生労働大臣は日経ビジネス第1894号(2017年6月5日発売)での同誌編集長による取材に回答しています。

中には、大手広告代理店での新入社員過労自死事件において、産業医が抑止力になりえなかったとの言及が確認できます。 

なんとまあ! 産業医をないがしろにする勢力があるかのような態様があるのが要諦と捉えられます。




2016年10月26日のBSフジ 「プライムニュース」という番組が、『「過労死」なくせるか 再発防ぐための方策は』という報道を放映した際、
メンタル産業医の命名者である合同会社パラゴン(東京都港区)の代表は、その「産業医」の端くれとして登壇することになりました。

産業医が抑止力にならなかったことは誤解であることを懸念しました。

その上で元厚生労働大臣で当時、自民党政務調査会会長代理の田村憲久衆議院議員に対して、

いわゆるブラック企業から当社や当社代表も契約を一方的に打ち切られた経験を踏まえ以下の提言をしました。




「人を部品としか思わないような企業に対して、産業医がいくら諫言しても、聴き入れる義務が企業側にはないばかりか、気に入らなければ解雇されるのみ。何人も自死(注:自殺を自死と表記する)した産業医が出ている事実さえある。これら現実を解決してほしい。」


また、田村元大臣の時代に「職業能力開発促進法」によりキャリア・コンサルタントが国家資格である「キャリアコンサルタント」になったことを引き合いに出し、

「キャリアコンサルタントの活用が未熟。そもそも、当人の適性にあった仕事があてがわれていたら、ストレスと感じることさえなくて済むから。」との趣旨で成る陳情を行いました。



しかしながら・・・・

 

労働政策審議会 「時間外労働の上限規制等について」&「今後の産業医・産業保健機能の強化について」建議


2017年6月6日に厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会(会長:樋口 美雄 慶應義塾大学商学部教授)より、塩崎 恭久 厚生労働大臣に対し、働き方改革実行計画を踏まえた「時間外労働の上限規制等について」の建議  と共に「今後の産業医・産業保健機能の強化について」という建議がなされるに至りました。

驚くことに 内容は産業医機能の弱体化が本態でした。





その後 産業医は二か月に一度(以下)の訪問で構わない。代替しえる保健師が補完するからというブラック産業医紹介業者の存在も確認されています 参考:名ばかり産業医シリーズ

 

このように、合同会社パラゴンは、厚生労働行政の末端において、働き方改革メンタル産業医命名者が創設したことによる特徴的な過労死・自死防止対策、メンタルヘルス対策、治療と仕事の両立支援などが実効性を持つよう改革の旗振りを行っているものの、国民の福利厚生は二の次にされるような状況が現在まで続いています。



それらの中では、「キャリア」という方向性を基に、働く方の個人の価値観や選択を最大限に尊重していくことを重要視することを啓発してきています。

 

 

靖國の鳥居の奥に出迎える村田蔵六は医師でした。

 

 

 

キャリア論は今やキャリアコンサルタントとして法的資格となりました。

東京都は以下のように5つの基本的方向性に基づく「第11次東京都職業能力開発計画」を2022年3月29日に策定しました。17の重点施策を推進するとのこと。

  1. IT等の成長産業分野に加え、ものづくりや介護等の人手不足分野への人材シフトを促進する職業能力開発の推進
  2. 就職氷河期世代や女性、障害者など多様な求職者の特性を踏まえたきめ細かな職業能力開発の推進
  3. 社会環境の変化や時代のニーズに対応したリスキリングなど労働者のスキルアップに対する支援の強化
  4. 職業能力評価制度の普及・促進や「Tokyo技能五輪・アビリンピック2021」のレガシー等を活かした技能振興
  5. 求職者や中小企業の人材ニーズに応える効果的・効率的な職業能力開発の実施体制の整備

17の重点施策を推進するとのこと。

参考サイト:東京都 産業労働局「第11次東京都職業能力開発計画」の策定について(2022年03月29日)

 

リスキリングに向け、訓練機能を担う職業能力開発センター や マッチング機能を担うしごとセンターとも、
もうすぐ「キャリア形成サポート・学びなおし支援センター」として整備されることになっています。

 

参考:浅野浩美.キャリアコンサルティング―押さえておきたい関連情報 – 第2回 人への投資をどう進めるか ~職場における学び・学び直し促進ガイドライン~

 

 

旧、職業能力開発局は関係部署から必要な人員を集合することで人材開発統括官となっています。主宰の労働政策審議会人材開発分科会の座長は労働省出身で現在、法政大学キャリアデザイン学研究科武石恵美子教授が務められています。

その第29回(2021年10月20日)から「リカレントガイドライン(仮称)の策定等」の議論が始まっています。

うち

 

日本版 O-NET: 職業情報提供サイト(日本版 O-NET)(job tag(じょぶたぐ))


職業を含めたキャリアに関する情報、そのキャリア分析や 労働者自身の持つ、もしくは企業からしたら適した就労力というべきか、期待される職業能力があるのか客観的に把握できるツールなど、労働者側も企業側も活用できる様々な機能が提供されるサイトが準備されています。



出典:職場における学び・学び直し促進ガイドライン別冊(案)


参考サイト:第33回(2022年1月14日)労働政策審議会人材開発分科会

 

 



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