メンタル産業医という、栄養学的技能(ニュートリショナル・テクノロジーズ)を駆使して健幸経営の進化発展支援に貢献する集団 合同会社パラゴン(東京都港区)代表の櫻澤博文執筆
「メンタル産業医 ドクター櫻澤のヘルシーコラム いつもこころにうるおいを!
心身の健康のために、腸活で善玉菌を増やしましょう」が以下に掲載されました。
良い漁場や良い土壌よろしく
豊富な海藻類が繁茂している海域は良い漁場になります。腐葉が豊富にあると有機物が滞留しやすいことから良い土壌になります。それと同じように前回紹介した「まごはやさしいな」で始まる食材に豊富に含まれる食物繊維をふんだんに食事より摂取していてが、善玉菌と言われる腸内細菌を定着化させられます。バファローを筆頭とした猛牛は、確かに仔牛時代はミルクプロテインを摂取はしますが、そのあとは肉食に切り替わるわけでもなく、一生、草食系です。それなのにあんなに筋骨隆々。その理由は、摂取する食物繊維を餌に、筋繊維構築に必要なアミノ酸を産生する微生物を体内で定着させているから。人間も、食物繊維をしっかりと摂取した上に、納豆、醤油、味噌、ぬか、麹類、乳酸菌食品等の発酵食品を積極的に摂取すると、より良い生命の維持や健康増強に資する効果のある善玉菌を定着させることになります。
善玉菌摂取による有用性
- 持久力の維持向上
著者が医学部で栄養学を学んだ30年前に、食物繊維には栄養学的意味はないものと教えられてきました。それがこの30年の間に代わりました。マラソンのような長距離走の中、満足に食事をとっていなくても、食物繊維を栄養源とする善玉菌から持続的に腸に短鎖脂肪酸(酪酸やプロピオン酸)というエネルギー源が供給されていることで疲労感を感じにくくなっていることがわかりました。
- 消化吸収支援
善玉菌を補給しながら、そして食物繊維まで摂取するスーパーフードが納豆。納豆菌は「バチルス・ナットー」という学名がある位の善玉菌。「植物性乳酸菌」という名称があるように、漬物を発酵させている「ラクトバチルス」も似た仲間。
③免疫力増強や調整
「乳酸菌」という字には「酸」が含まれるように、酢酸や酪酸といった酸性成分を算出します。それら酸性の産生成分が悪玉菌の繁茂を抑止するのみならず悪玉菌による腸壁浸食が少なくなることより、体内の免疫細胞の浪費が防止できます。
④体質改善→強壮作用
上記①~③の総合効果にて、例えば筋肉鍛錬による筋肉増量・増強や骨質増強といった強壮作用が確保しやすくなります。
⑤メンタル(自律神経)の安定化
食後の血糖値の急激な上昇抑制と善玉菌による持続的血糖値維持効果から、集中力の維持や心的疲労軽減が適いやすくなります。和食を中心とした朝食摂取が労働災害防止にもなること、知られています。朝食は金メダルと言われます。銅メダルを何個取ろうと、金メダル1個には敵わないように、少なくても朝食は必ず摂るようにしましょう。
のみならずいわゆる「腹持ちのよさ」から、イライラしての ヤケ食いやながら食いを和らげるから糖尿病防止効果も得られます。
「食育」という、「生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」とう理念を持ち、食事の改善が人生の改善になることを目的とした「食育基本法」が施行されたのは2005年でした。食に関する正しい知識・適切な食習慣を、今一度確認することは、心身の健康を生涯にわたって保つのに欠かせません。良いことを始めるのに、決して遅いということはありません。今日から始めると、明日は必ず好転していくものです。
参考 厚生労働省 日本人の食事摂取基準