法人トップは産業医になれないようにする改正省令が課せられています。その背景には2016年3月8日に「労働安全衛生規則の一部を改正 する省令案要綱」について労働政策審議会 から妥当との答申がありました。
1.改正の趣旨 産業医の選任については、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。) 第13条第1項の規定において、事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、医師の うちから選任することとされているところである。
一方、産業医として選任できる者の事業場等における役職については、法又は労働安 全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)で制限は設けられていないため、企業の代表取締役、医療法人の理事長、病院の院長等が産業医を兼務している事例がみられるところ である。
しかしながら、労働者の健康管理は一定の費用を伴うものであるため、事業経営の利益の帰属主体(以下「事業者」という。)を代表する者や事業場においてその事業の実施を統括管理する者が産業医を兼務した場合、労働者の健康管理よりも事業経営上の利 益を優先する観点から、産業医としての職務が適切に遂行されないおそれが考えられる。 このため、事業者は、産業医を選任するにあたって、一定の者を選任してはならないことを定めるものである。
2.改正の内容 事業者は、産業医を選任するにあたって、法人の代表者若しくは事業を営む個人(事業場の運営について利害関係を有しない者を除く。)又は事業場においてその事業の実施を統括管理する者を選任してはならないこととする。
3.施行日 平成 29 年4月1日
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健康経営に長けたメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)。ストレスチェック制度導入時、医療機関からの問い合わせもありますが、以上の遵法精神を説くこともあります。すなわち法人の代表者などが、自らの事業場の産業医を兼任することは禁止されています。医療機関の院長や理事長が産業医を兼任することはできないので、別の医師を産業医として任ずる必要があるものと理解してください。