2019年6月14日に(一社)日本労働安全衛生コンサルタント会神奈川支部特別講演会が開催されました。メンタル産業医の命名者である合同会社パラゴン(東京都港区)代表の櫻澤博文も、さくらざわ労働衛生コンサルタント所属ということで参加しました。神奈川労働局労働基準部の安全課長と健康課長が直々に、前年度の労働災害の分析結果をもとに、今年度の神奈川労働局の重点施策をご紹介くださる機会だからです。
今年度より着任された石井登安全課長からは以下が紹介されました。
1 50代以上の女性の転倒が多く発生かつ休業4日以上と重篤
昨年度の統計からしたら神奈川は死亡者数、死傷者数共に全国平均を上回る悪い結果だった。
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① 「STOP!転倒災害プロジェクト神奈川」では、6月を転倒防止の重点取組期間と定めてきています。
と共に「ころばNICE神奈川体操」の普及の大切さを語られていました。
②「エイジアクション100」:高年齢労働者の安全と健康確保のための100の取組(エイジアクション)を盛り込んだチェックリストを活用した職場の課題の洗い出しと改善に向けての取組を進めるための「職場改善ツール」。中央労働災害防止協会が作成しています。
2 「既存不適合機械等更新支援補助金」
移動式クレーンの過負荷防止装置やフルハーネス型墜落制止用用器具導入に対する助成金です。申請先である更新支援補助金事務センターが建設業労働災害防止協会内に設置されています。
3 ISO45001発効にともなう労働安全衛生マネジメントシステムの普及促進活動が開始
さる平成30年9月に企業での自主的な安全衛生管理のための取組を体系的かつ継続的に実施するための仕組みである労働安全衛生マネジメントシステム(OHSMS)に関する日本工業規格(JIS Q 45001他)が制定されました。
確かに令和元年度全国安全週間実施要綱に関するPR本文中にも「JIS」がおりこめられています
JIS規格化されたこのOHSMS導入も確かに大切ですが、実施要項の「9 実施者の事項」を確認するとOHSMS導入より前に以下を実施することが求められています。
安全文化を醸成するため各事業場 では次の事項を実施する。
(1) 全国 安全週間 及び準備期間中 に実施する事項
①安全大会等での経営トップによる安全への所信表明を通じた関係者の意思の統一及び安全意識の高揚
②安全パトロールによる職場の総点検実施
③安全旗の掲揚、標語示講演会等の開催、安全関係資料の配布等の他、ホームページ等を通じた自社の安全活動会へ発信
④労働者の家族への職場の安全に関する文書の送付、職場見学等の実施による家族の協力呼びかけ
⑤緊急時の措置に係る必要な訓練の実施
⑥「安全の日」設定のほか全国安全週間及び準備期にふさわしい行事
そして日頃からの活動として以下が通知されています。
(2) 継続的に実施する事項
① 安全衛生活動の推進
ア 安全衛生管理体制の確立
(ア)年間を通じた安全衛生計画の策定、安全衛生規程及び安全作業マニュアルの整備
(イ)経営トップによる統括管理、安全管理者等の選任
(ウ)安全衛生委員会の設置及び労働者の参画を通じた活動の性化
(エ)労働安全衛生マネジメントシステムの導入等によるPDCAサイクルの確立
これらを見直す必要があると感じました。
昨年度に引き続き健康課長であらせられる安倍昭彦健康課長からは以下が紹介されました。
1 統計より
① 災害性腰痛と②熱中症が問題。
① 災害性腰痛は保健衛生業で多く発生しているから、重点監督を行う。
② 熱中症による死亡例分析結果からは、健診未実施、水分補給のみで塩分補給がされていなかった、救出が遅かった、
室内でも発生しているといった点が課題。
→「クールワークキャンペーン」として JIS規格適合のWBGT指数計を正しく使い、衣服の組み合わせにより補正値を加え
そのうえでWBGT熱ストレス基準値表を見て、熱中症リスクを確認し適切な対応を執る必要がある。
2 労働安全衛生法が改正され、産業医・産業保健機能が強化された
産業医選任やストレスチェック実施状況の把握を強化している。
3 2020年4月からパートタイム・有機雇用労働法が施行される。 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の
不合理な待遇差を解消していく。
4 「女性の活躍推進企業データベース」 での情報公共を促し、女性が活躍できる企業情報の見える化を促進していく。
5 治療と仕事の両立支援として トライアングル型支援を推進している。
「サラリーマン金太郎 治療と仕事の両立支援編」 も キャンペーンで活用している。
6 化学物質等による健康障害防止対策の推進として これまでコントロールバンディングを紹介してきていた。
最近、「クリエイトシンプル」という以下の特徴を集めたリスクアセスメントツールが開発かつ活用されてきている。