健康経営に長けたメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)がお届けしているメンタル産業医によるレジリエンスを高めるシリーズ。全国の産業医の先生方の中に楽しみにされている方が多くいることから今回は2017年6月5日まで、東京都港区六本木の国立新美術館にて開催されていた「ミュシャ展」からの絵画をお届けします。何しろ20作ものスラヴ叙事詩がプラハ市立美術館から日本に貸与されました。産業医業務の間、鑑賞に出かけられなかった方々にもその卓越ぶりを紹介いたしたく。
産業医として労働者の面談に臨む際、その労働者のレジリエンスに着目することを意識していることでしょう。
レジリエンスを描いた作品として1914年に描かれた「ロシアの農奴制廃止」の写真を挙げます。
この農奴制が廃止された1861年はミュシャが産まれた翌年です。
農奴制が廃止されたのはクリミア戦争 (1854-57)で帝政ロシアがの敗戦し、内政の抜本的な改革を迫られたことがきっかけとなっています。皇帝アレクサンドル2世 (1818-1881) は ロシアの産業発展を目指して農奴制の廃止を決めました。オーストリアの支配下にあったチェコに住むミュシャたちスラヴの人々にとって、この農奴制解放は希望の改革と映っていたものだったそうです。この 「ロシアの農奴制廃止」は「スラヴ叙事詩」制作の援助者であるチャールズ クレインが希望したテーマでした。だけに当初はスラヴ人最大の国家ロシアの栄光を祝典として描くつもりだったそうです。しかしながら農奴制解放から52年も経過した1913年に「スラヴ叙事詩」 に描くため、モスクワを訪れたミュシャが観たものは、ロシア庶民の生活困窮ぶりでした。希望の改革ではなく、悲惨な現実を目の当たりにしたミュシャは、絵を暗雲立ち込めるようなタッチにしただけではなく、不安の顔色を浮かべる人物を描くことで、農奴解放の詔勅が読み上げられた直後のクレムリンとヴァシリー教会前での現実が50年も続いている実際を後世に伝えています。むろん、しなやかさがないと、長くは続きません。
自由とは何なのか、レジリエンスを持つことの大切さを伝えているように思えました。
自由とは何なのか、レジリエンスを持つことの大切さを伝えているように思えました。
自由の崇高さを維持堅持するために、必要なのは精神の堅牢性と共に レジリエンス・・・こころのしなやかさ だと後世に伝えているかの様です。
産業医活動を行う際にも思い出すことにします。