ストレスチェックその16|実施者、実施代表者、実施事務従事者、共同実施者の違い
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ストレスチェックその16|実施者、実施代表者、実施事務従事者、共同実施者の違い

2021年11月08日(月)10:07 PM

「ストレスチェック」制度導入にて新たに定義づけられた用語のうち、勘違いしやすい用語の定義をストレスチェック導入に長けたメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)がそれぞれを解説します。


まず「ストレスチェック」の実施主体となれる『実施者』。これは「ストレスチェック」の実施主体となれる者を指します。具体的には「医師、保健師その 他の厚生労働省令で定める者」が『実施者』になれると労働安全衛生法第66 条の10 第1項に規定されています。

この「ストレスチェック」は、メンタルを確認するわけですからプライバシーとの兼ね合いの問題があります。この問題を解決するために、国は『実施者』という立場を考案しました。すなわち「ストレスチェック」の実施主体となれる者として「医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者」を『実施者』と いう定義を労働安全衛生法第66 条の10 第1項に規定しました。
「ストレスチェック」を実施主体となれる者が『実施者』でして、「事業者」とを区分されています。

 

次に『実施代表者』とは何なのかの質問に答えます。

 『実施代表者』とは、複数名の『実施者』を代表する者を「実施代表者」といいます。


【メンタルヘルスとして現代版インパール作戦といわれる間違い例の紹介】

ストレスチェックにおける面接医制度に対して、産業精神保健を専門にしている医師が確保出来ない実際に対して、未経験医師(素人医師)をストレスチェック制度提供企業の中には、調達価格が安いことから確保している実際があります。その場合、以下のように、かえって自死を増加させてしまった富士市と静岡県という地方自治体の失敗例を教訓とすべきです。

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非科学的な医療保健福祉制度による現場の混乱は、精神保健領域でも例外ではなく、行政による介入が、自死数を増加させるに至った実際まで確認された。
例えば静岡県人口動態統計からみた富士市の自死者数は、「富士モデル事業」(以下 富士モデル)という介入が開始されたとたん、それまで2年連続で減少していたものの、3年連続して増加させるという事態を招いてしまった。 この富士モデルは、心理学的剖検を通じた対策ではないばかりか、2週間以上の不眠症状があれば、即「うつ」と判じ、精神科医に送致させるという、「臨床的医原病」の曝露機会を増やす内容だった。従って、「不治も出る」という「社会的医原病」の実例と評されるのみならず、他の自治体にも不経済性を強いてしまった。精神医療の隆盛に反比例的に乗じるかのような、これら科学的根拠のない“病理的”性格を帯びた介入は、多剤併用がまかりとおる社会や、それを取り巻く時代独自の阻害要因も相まって、公衆衛生上の問題を拡散させ隘路に陥らせてしまっている。
対して、「監査」役的立場を担う労働衛生コンサルタントは、医の倫理の原点に立ちつつ、医原病に伴う不経済性をも是正可能であることから、これら課題に対して取り組むよう求められていた。折しもこれら有害事象に対して、日本公衆衛生学会は声明を出して改善を呼びかけていた。そこで労働衛生コンサルタントという立場から、この声明に応える形で、精神保健領域において、科学的根拠に立脚する事を前提とした、公平かつ公正な公衆衛生施策のあり方について議論を深めた。

出典:第72回日本公衆衛生学会シンポジウム『科学的根拠に基づいた公衆衛生政策の推進 : 精神保健版』に参加して.健康開発2014年18巻3号;79-85

出典:エビデンスなき里のコウモリ -精神保健福祉政策の有効性を問うー.臨床評価 2014;41:619-26



以上で述べた「不治も出る」は、産業精神保健の実際が不明な医師に、不眠を訴える社員を見つけさせ、そして即 精神科送致という無分別対応をさせたことが、自死(自殺)増を生んだ元凶であること、立証されました。

今般のストレスチェック制度でも、“精神科医に見せておけば良い”と、この「不治も出る」と同じ社会病理構造を経ることで自死(自殺)者を増加させない取組みが求められます。

対策】
対企業:産業精神保健に長けた医師に実施者を依頼し、依頼出来ない場合には「補足的面談」にて高ストレス者への支援の補強をはかり大切な社員を守りましょう。

参考サイト:合同会社パラゴン.公開:産業医向けストレスチェック制度支援 オンラインサービス


対社員:勤務先は、どのような面接医を用意しているのか確認しましょう。医師の資質によっては有害作用があるので面接を希望してはいけません。自らの身は自らで守る他ありません。 



そして大切な『実施事務従事者』。

実施事務従事者」とは・・・・実施者のほか、実施者の指示により、ストレスチェックの実施の実務(個人の調査票のデータ入力、結果の出力事務、個人の結果の保存(事業者に指名された場合に限る)、面接指導の申出の勧奨等を含む。)に携わる者になります。

 

最後は『共同実施者』とは。

 「共同実施者」とは、ストレスチェックの『実施者』が複数名いる場合の実施者を「共同実施者」といいます。



出典:厚生労働省.ストレスチェック制度に関する法令


高ストレス者との面談設定のあり方

産業医が「実施者」または「共同実施者」ではない場合、労働者本人からの同意を産業医は得る必要があります。すなわち、産業医としては高ストレス者の迅速な把握と産業医としての素早い対応を行いたいものの、その産業医活動に支障が生じるためメンタル不調者の早期発見早期対応が望めないと産業医として困っていまいます。

また、「実施者」を完全に外部委託した場合、その産業医は労働者のストレスチェックの結果について、個別の開示への同意がなければ把握することが出来ません。

産業医が「実施者」または「共同実施者」であれば、ストレスチェック結果もプライバシーへの配慮が必要な健康情報の一つとして管理することになります。従って事業者が労働者から同意を取りながらの受検結果確認が不要になります。

高ストレス状態にある労働者を産業医としても把握し、即、相談対応したり面接指導を勧奨したりと迅速な対応を産業医としては実施したいもの。以上よりメンタル不調への対応が苦手な産業医と契約していたとしても、最低「共同実施者」として参画するよう要望しましょう。



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