メンタル産業医ドクター櫻澤のヘルシーコラム|「あざみ野STYLE vol.49」に掲載

メンタル産業医として健幸経営の進化発展支援に貢献する集団 合同会社パラゴン(東京都港区)代表の櫻澤博文執筆 
「メンタル産業医 ドクター櫻澤のヘルシーコラム いつもこころにうるおいを!
微弱超音波刺激による認知機能・精神症状の軽減効果検証
厚 生 労 働 省「 若 年 性 認 知 症 に おける治 療と仕 事 の 両 立 に 関 する手 引き」を受 けて
が以下に掲載されました。

出典:あざみ野STYLE 2022/2023WINTER Vol49

 

若年性認知症における治療と仕事の両立に関する手引き(2022年2月公表)を受けて

高齢社会日本の現実
わが国における2022年4月1日現在における65才以上の人口は3,627万人と、1955年時点の475万人と比すると7.6倍にまで増加しています。2018年に認知症患者は500万人を、2020年には602万人となりました。65才以上でいうならば6人に1人の認知症と見込まれるまでになりました。これらは2025年にはそれぞれ700万人と65才以上の5人に1人へ、2050年には1千万人を超えるものとの推定がある程です。人口ピラミッドは当方が命名したように「棺桶型」になりつつあります。

 

2022年2月に厚生労働省老健局 認知症施策・地域介護推進課の取りまとめにて「若年性認知症における治療と仕事の両立に関する手引き」が公表されました。認知症は何も高齢者の問題だけではなく、働き盛りの、いわゆる現役世代での問題と行政は捉えています。産業医を30年近く担ってくる中、今や会社の総務や人事の仕事は、いわゆるおひとり様が就業中に要介護状態となった場合の介護支援先探索が相次いで発生しており、実際にその支援を行う企業もある時代です。認知症になってからの対応ではなく、認知症にならない対応を早急に執ってもらえたらと期待します。何しろ「いつやるの? 今でしょう」というTVCMが初見したのは2009年と13年も前のことでした。市民の一人ひとりがこの認知症と向き合い、疾病ではない認知やサルコペニアを筆頭とした心身機能の衰弱、減弱を正しく理解し、共生する社会を目指す必要があります。

お陰様で2019年秋の第39号でインタビュー記事を掲載賜った後、第40号にて「ピンチはチャンス」、「危機の機は機会の機」、「幸福は不幸の顔をしてやってくる」よろしく、ストレスをプログレスに換える奥義を取り上げてもらいました。2020年春の第41号から2022年夏の第48号まで8回にわたっては、「産業精神栄養学」に基づいた、心身不調の解消支援方法を紹介してきました。それは いよいよ「うつ病」という、神経線維の燃え尽き症候群とでもいいましょうか。神経生理活動の破綻に基づく長期療養が必要な病態にまで至る方の背景に、実は飽食の時代にも関わらず、偏食に基づく栄養不良が多い現実が確認されているからでした。そういった神経細胞の病理学的変化にまで至らなくても、例えば出勤はできているのに、なんとなく体調が芳しくない症状で悩む方は、身近に多いことでしょう。実際、「不定愁訴」という言葉を目にしたことありましょう。「アブセンティーズム」ともいいます。抑うつ症状とか自律神経失調症と呼称されることもある、実に多種多彩なメンタルヘルス失調をという症状・状態の背景には、過重労働が主たる原因ではなく、それがきっかけとなり、誤った食生活(例:朝食の欠食)、間違った食事摂取内容(偏食)、不謹慎な食事摂取方法(ファストフードやサプリ摂取)といった、総じて栄養不良がある現実は把握されており、それを防止するために国は2005年に「食育基本法」を整備した程でした。
それらの実態を踏まえ、栄養素と体調との関係を各栄養素に沿って紹介してきました。それは著者が櫻澤如一と遠い親戚だからというわけではなく、インパクトファクターという、どれだけ学問の世界で後進の研究者に影響を与えたのかの指標でいうならば「9」を超すという、つまりは最低でも8つの査読付き学術論文の根拠となる「産業精神栄養学」における論文(共著)を海外の専門学術誌に掲載してきたことを背景としています。それら「産業精神栄養学」といった実学体系に基づいた生活習慣面での工夫を、著明な医師4人と共に編成した共著「究極の疲れない脳」 がさる2022年8月2日に刊行されました。これまでの記述はネットで今も確認できるのでそれらを確認願うと共に、どうして筆者が低出力超音波刺激装置の有用性を評価するのみならず、実際に活用してもらっているのか、対応方法の検討結果が掲載されています。