ストレスチェック38|ストレスチェック実施後の産業医による面接指導のあり方(2016/08/25)
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ストレスチェック38|ストレスチェック実施後の産業医による面接指導のあり方(2016/08/25)

2016年08月24日(水)10:16 PM

ストレスチェックを活かした健康経営に長けたメンタル産業医の命名者である櫻澤博文が創業した合同会社パラゴン(東京都港区)が、ストレスチェック実施時のハイライト、医師による面接指導について紹介します。

 

ストレスチェック結果の事業者への提供に関する同意取得方法

ストレスチェックの結果は、受検者の同意がない限り事業者は取得してはなりませんでした。事業者への提供に対する同意の取得はストレスチェック実施前や実施する職業性ストレス簡易調査票を通じてではなく、ストレスチェックの結果を伝えた後に取得することが可能です。その4 つの方法が「ストレスチェック指針」にて定められています。
①実施者(実施事務従事者を含む)がストレスチェックの結果を本人に通知する際に、「高ストレス者」かつ医師による面接指導対象と判断されたことを伝えた上
で面接指導を受けるように勧めながら個別に取得する。web を介して実施する際には、結果通知画面上に、
□ストレスチェック結果を事業者へ開示することに同意します」といったチェックボックスを作っておき、チェックを入れた方がわかる仕組みにしておくと良いでしょう。
②ストレスチェックの結果を本人に通知後、しばらくたってから実施者が封書または電子メールにて状況確認をし、面接申出と共にストレスチェック結果の事業者への開示を勧める。
③面接申出がなされていない者を事業者から抽出してもらい、その者に対して実施者(実施事務従事者を含む)が面接申出と共にストレスチェック結果の事業者
の開示を勧める。
④医師による面接指導希望者はストレスチェック結果の事業者への提供に同意したものとみなす。
事業者が受検者に対して医師による面接指導を勧めることができるのは、面接指導が必要であるという情報を、事業者に伝えて構わないと、本人が同意している場合に限られます。同意がある労働者に対しては申出の強要や、申出を行わない労働者への不利益取扱いにつながらない限りにおいて、事業者が申出を勧めることが可能です。

 

同意は受検者個々から取得したことを示すために、書面または電磁的記録をとり、かつ5年は事業者が保存する必要があります。

同意が得られたからといって、事業者に調査表原票の結果全てを提供する必要はありません。以下が事例です。

 

 

      同意取得文書例

 

年   月   日

 

ストレスチェック受検結果の開示承諾書

 

              (株) 山上憶良物産

              代表取締役  山上育良  殿

 

                                               

                                               産業医 櫻澤 博文  印

 
 

 今年度ストレスチェック受検結果について、当職より「高ストレス者」であると判断し、面接の対象とした以下の労働者より、ストレスチェック結果の開示について同意がとれましたので、以下に結果を記載致します。

   量的負担        点    全国平均値       点       社内平均値      点

   コントロール       点    全国平均値       点       社内平均値      点

    上司の支援       点    全国平均値       点       社内平均値      点

   同僚の支援       点    全国平均値       点       社内平均値      点

   量―コントロールにおける健康リスク     

   職場の支援からみた健康リスク 

   総合健康リスク

記載した情報は、プライバシーには充分配慮しながら適切な管理をお願い致します。

 

 

(本人記入)

 私は、職場環境の改善のために上記の内容につき産業医からのストレスチェック結果の事業者への開示並びに提供に同意します。

 

       年   月   日               労働者番号          部署

                                 氏名                     印

 

 

 

マニュアルでは、上記④の面接指導の申出をもって同意とみなす取扱いをする場合が、トラブルが少ないとしています。

 

面接指導の申出をもって通知に同意したとみなす文書例

 

 

産業医からのお知らせ

 

こんにちは。○○会社△△事業場 産業医の****です。

今回のストレスチェックの結果、あなたのストレス度が高いとの結果でしたので、個別にご連絡しております(個別結果については別途Webないし結果報告書でご確認ください)。

ストレスチェックを行った時点と、その直前1カ月程度の状態が反映されているという条件ですが、あなたのストレスバランスが崩れている可能性がありますので、心配しています。

現在の心身の状態はいかがでしょうか。もし何らかの不調やストレスの存在を自覚されるようでしたら、下記日程のいずれかで、「ストレスチェックに基づく産業医面接」を強くお勧めします。

その際に、今回のストレスチェックの個別結果の紹介とその説明も改めて行います。

 

<面接室開設日程>

② **月*日(木)② **月**日(月) ③ **月**日(木) ④ @@月@日(月) ⑤ @@月@@日(木)

<面接開始時間>初回の面接時間は50 分間を予定しています。

㋐14:00 ㋑15:00 ㋒16:00 ㋓17:00

 

<面接申込方法と注意点> 【注;受付期間は**月**日(金)~@@月@@日(火)】

①下記電話番号もしくはE-mail へご連絡をお願いします。

ご用件(「ストレスチェック後の面接希望」とお伝え・ご記載ください)、労働者番号、お名前、所属名、ご連絡先、面接希望日時(第一希望から第三希望)をお知らせください。

② なお、上記の産業医面接に、労働者が希望されて申し込まれた場合は、意義申出を行わない限り労働安全衛生法の規定と事業場の衛生委員会での決議事項にしたがって、あなたが「面接指導対象者である」との情報を、産業医から人事労務担当者に提供させていただきますので、ご了承ください。

ご同意がない限り、面接指導対象者であるとの情報はお伝えしませんし、面接内容も確実に守秘義務の範疇で取り扱いますのでご安心ください。

 

※その他: ストレスチェック結果の通知に同意はできないが、面談を希望したい場合には、「健康相談」希望という枠にて申し込まれてください。

この場合はストレスチェック結果に関わらず、通常と同様に、保健師等または産業医による面談となり、保健師等と産業医のみが情報を共有いたします。安心してご利用ください。

 

 

 

2.面接指導を申出しやすい環境づくり

 

医師による面接指導の申出は労働者の任意です。ただ、ストレスへの気づきという「一次予防」の有用性を確保するためには、面接指導が必要と判断された労働者が、できるだけ面接指導を申し出やすいような環境づくりが大切です。何しろ事業者に結果を通知されることに抵抗を感じたり、いきなり医師による面接指導を受けることは敷居が高いと感じる労働者は少なくありません。

「高ストレス者」に伝える内容には、高ストレスだからといってそれ自体が、必ずしも心身の健康障碍を意味するわけではないことや、個々の状況にあったセルフケア方法、面接を受ける意義も紹介しておきましょう。

 

そこで以下が重要になります。

 

イ:判り易い制度説明

図表を使ったストレスチェック制度の説明、面接指導の有用性、個人情報保護規定の説明、ストレスチェック結果が伝えられる場合の検査結果の解説によって、安心感を持って参加してもらうようにしましょう。

 

ロ:手続きの簡素化と秘匿化

希望者は、簡単に面接指導の申出ができるよう、かつ、申し込み手続きは周囲の者に知られることなく完了できるよう、電話や社内便よりは実施者と実施事務従事者だけが閲覧可能な電子メールを活用することが望まれます。なお、面談時には当該者は職場を離れる必要があります。面接日前に実施者または実施事務従事者は、上司側に、医師による面接指導が予定されていることの説明と、当日は面接に赴きやすいよう配慮するよう伝えておきましょう。

ハ:メンタルヘルス教育

日頃からメンタルヘルスに関する正しい知識を労働者に持ってもらうような支援を会社が行っていると、労働者からの医師による面接指導の申出の割合を高めるだけではなく、周囲の理解や支援も得やすくなる効果が出ることが知られています。実施者や面接指導を行う医師が健康教育を担うなど、“スキンシップ”を重ねる機会を設けておくと良いでしょう。

 

ニ:社内相談窓口の設置

      相談窓口を用意すると、会社側からしたら高ストレス者を放置させず、他方、労働者側からしたらストレスチェック結果を会社側に知られることない、いわば自発的相談ができるようにしておくと労使双方にとってメリットがあります。相談役として嘱託産業医との契約ではコストがかかると捉えられる場合には、精神保健福祉士や保健師、キャリアコンサルタントといった有資格者との契約を考慮すると良いでしょう。

 


出典:さくらざわ博文.もう職場から“うつ”を出さない!.労働調査会

 

 

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