メンタル産業医が解説|神奈川労働局平成30年度重点施策とブラック企業について
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メンタル産業医が解説|神奈川労働局平成30年度重点施策とブラック企業について

2018年06月13日(水)10:38 PM

健康経営に長けたメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)が、働き方改革の実現を目指すためには歴史に学ぶ視点が欠かせないため、神奈川労働局による2018年(平成30年)度の重点施策を備忘録として紹介解説します。

 

【根拠】

第12次労働災害防止計画の概要(神奈川労働局平成30年4月作成)

 

【3大重点施策】

1 誰もが活躍できる雇用環境改善のための施策

2 安全に安心して働ける職場づくりのための施策

3 多様な働き手の参画と人材確保のための施策

 

そして「働き方改革の実現のために」という副題がついているように、

国の改革を受けての推進エンジンが、クラッチ合わせを待っているかの内容でした。

 

 

【重点施策の紹介 1 誰もが活躍できる雇用環境改善のための重点施策】

以下の二つで構成されています

 

1 働き方改革と女性活躍の推進

2 職場のトラブル防止・解決に向けた環境整備

 

 

1 働き方改革と女性活躍の推進

働き方改革には、

①同一労働、同一賃金の実現と非正規労働者の正社員転換の推進

②長時間労働の抑制及び年次有給休暇の取得促進

③中小企業・小規模事業者への支援

④女性の活躍推進  

⑤仕事と家庭の両立支援の推進 があります。

 

②の長時間労働の抑制ですが、神奈川県は週60時間以上就業する雇用者の割合が

平成24年総務省就業構造基本調査では10.3%と、

全国平均の9.6%を超過し、順位でいうと44位と劣悪な結果でした。

 

2020年には5%という目標値を定めていますが、悪化させているブラック企業の存在が確認されました。

そんな中、現役産業医がその産業医の勤務先名まで挙げた上で「産業医学ジャーナル」2018年1月号77ページにてその企業での過重労働が生じている実態を紹介しています。



出典:山田裕一.かけだし「専属」産業医の独り言.産業医学ジャーナル2018年1月号





閑話休題:ブラック企業について:「人身御供にならないために」より

仕方なく産業医を雇っている企業も同じくらいにたくさんあるとは、隠居系元医師 先生のブログからです。


なんと、「先生、名前だけ貸してくれたらそれでいいから、職場巡視も来なくていいから」とハッキリ希望する企業があるとか。。

恐ろしいのは、「労働者の健康を守る気は全然ないけど、何か健康問題があって訴えられたら産業医に被せちゃおう」と思って「ブラック企業」も実際あるとのことでした。

対して隠居系元医師 先生は 産業医になりたい方々に対して 以下のご指導をくださっています。

 

  • 「業界最安値でアレもコレも引き受けない!」
  • 「名前だけ産業医は意地でもやらない」

の2点を最低死守するようにと。理由は、安請負は事故の元。何しろ責任の重さと釣り合うのだろうかでした。

名義貸し産業医 であっても産業医に課せられた安全配慮義務という責任は負わされるわけです。 確かに

更に 隠居系元医師 先生は 以下のお教えでした。

 

産業医も民事で訴えられる時代なので、医師賠償責任保険には入っとこう

 

なんでも この隠居系元医師 先生も、現役で産業医を為されていた頃の実話を記載されていました。

 

なんと、産業医が民事訴訟で訴えられること「ちょくちょく」あったと!


2004年(平成16年)とアテネ五輪にて、柔道の野村忠宏さんが3連覇、谷亮子さんも連覇、競泳も男子平泳ぎで北島康介さんが2冠に輝いた頃、「〇〇電気とか〇〇〇〇機とか〇〇貨物運送とか〇〇金融公庫とか(中略)ざっと10件くらいは思い当たる。」位、産業医が 訴えられていたとのことでした。

そして過去のことではなく2019年頃でも「ぱっと5件くらいは思い当たる(カナダにいるのに!)」とのことでした。さらに、2019年4月1日の安全衛生法の改正により、産業医には「誠実義務」が課せられました。

産業医に責任を負わせるという、つまりは避雷針化が可能となりました。

 


出典:【勝手に産業医入門マニュアル(3)】産業医のお仕事の見つけ方

 

「誠実義務」に関しては
参考サイト:有効期限が切れた日本医師会認定産業医資格を持つ医師を産業医にするリスクについて(21/03/04改)



もとい

③中小企業・小規模事業者への支援

 

③に関しては「神奈川働き方改革推進支援センター」の活用を推進するとか。

 

 

④女性の活躍推進  

 

④に関しては、

えるぼし認定や女性活躍加速化コースは以下を参考ください。を合同会社パラゴンとして紹介済です。

 

参考サイト:合同会社パラゴン.メンタル産業医が解説|女性活躍推進法特集

参考サイト:健幸経営産業医発|改正女性活躍推進法と育児・介護休業法対応事例

 

⑤仕事と家庭の両立支援の推進

⑤に関しては、

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の立て方等、紹介済です。

 

2 職場のトラブル防止・解決に向けた環境整備 

ハラスメント防止に関して合同会社パラゴンはハラスメント防止パンフレットを紹介済です。

 

【重点施策の紹介 2安全に安心して働ける職場づくりのための重点施策】

以下の4つで構成されています。

 

1 働き過ぎ防止及び一般労働条件の確保・改善対策等

2 最低賃金制度の適切な運営

3 労働災害の発生状況等に応じた労働災害の防止

4 労働者の健康確保対策の推進

 

 

1働き過ぎ防止及び一般労働条件の確保・改善対策等  は

 

①働き方改革の推進に向けた労働時間に関する法制度等の周知徹底

②働き過ぎ防止に向けた取組

③若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組

④基本的労働条件の確立等  で構成されています。

 

 

①に関しては、各労働基準監督署に、「労働時間相談・支援コーナー」を設置し、法令に関する知識や

労務管理体制構築支援を提供するそうです。

 

②に関しては、従前の月80時間以上の残業を強いている事業場の監督を徹底したり、

11月を「過重労働解消キャンペーン」期間として、長時間労働の抑制等、過重労働の

解消に向けた集中的な周知・啓発等の取組を行うそうです。

 

また、「過重労働による健康障害を防ぐために」のパンフレットを改訂し配布開始しています。

 

3 労働災害の発生状況等に応じた労働災害の防止 については、別途、取り上げることにします。

 

以上、日本労働安全衛生コンサルタント会神奈川支部 平成30年度定期総会において開催された

神奈川労働局労働基準部安全課長 原田聡氏による「平成309年度神奈川労働局重点施策(安全関係)」 、

同健康課長 安倍明彦氏による「平成30年度神奈川労働局重点施策(健康関係)」 の特別講演から紹介しました。



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