健康経営支援産業医によるストレスチェック制度|その4:実施対象事業所と対象者の違い、派遣労働者は?!

メンタル産業医の命名者創設の健康経営に長けた産業医集団で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)がおくるストレスチェック制度(ストレスチェック及び面接指導)」についての解説シリーズその4です。

第4回目はストレスチェックの対象事業者と対象者の選考対象者の違い、気になる派遣労働者の扱いは?を解説します。

1. ストレスチェック制度の対象事業者とは

労働安全衛生法施行令第5条に示す「常時50 人以上の労働者を使用する事業場」に実施義務が課されています。附則第4条に基づき従業員50人未満の事業場については当面の間、努力義務ですが、しないで何かあったら、事業主責任とされえるので、実施することをお勧めします。なお上記「常時使用している労働者が50 人以上いるかどうか」の判断は、契約期間(1年以上)や週の労働時間(通常の労働者の4分の3以上)をもとに判断する(いわゆる「社保適」でカウントする)のではなく、常態として使用しているかどうかで判断します

例えば週1回しか出勤しないようなアルバイトやパート労働者であっても、継続して雇用し、常態として使用している状態であれば、常時使用している労働者として50 人のカウントに含める必要があります。

一般定期健診の対象者とは異なる選択基準です。
多様性ある働き方が叶う、働き方改革関連法との整合性がついています。

2.ストレスチェックの受検対象者は?!

具体的には以下の2条件を満足した労働者のうち、希望者が受検対象です。

① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引続き使用されている者を含む)であること。
② その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事している通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。

希望者と書いたのは、一般定期健康診断と違い、労働者にはストレスチェックを受ける義務は規定されていません。従って、受けなかった場合でも法令違反にはなりません。

また以下の除外規定があります。

・ストレスチェックの実施時期に休職している方は除外となります。
・派遣労働者については原則、派遣元で実施することが望ましいとされていますが、派遣先が受け入れたら、派遣先での実施も可能ともされています。双方が協議の上、決めてください。
・長期出張者も対象になりますが現地雇用者は除外です。

出典:厚生労働省.労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル

3.派遣労働者に対するストレスチェックの実施について

 

派遣労働者に対する個々のストレスチェックの受検ついては、一般定期健康診断と同じく、派遣元事業主がストレスチェックを実施する必要がありますので、派遣元で受けるようにしてください。

しかしながら集団分析や派遣先で実施する必要があります(ので、結局、両方で受けるか、派遣元で受けた結果を派遣先に提示するかの対応が必要となります)。

ではストレスチェック結果に基づいた高ストレス者に対する医師による面接指導を実施した後の事後措置はどうしたら良いでしょううか?

元々派遣労働者については、法令上、派遣元事業者に就業上の措置の義務が課されています。それは事後措置として考えると、事業者は医師の意見を聴取し、その意見を勘案して、必要に応じ、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等の就業上の措置を講じることとされていることとも通じます。

そして以下の留意点があることも踏まえて、就業上の措置の実施に当たっては、必要に応じて派遣先と連携しつつ、適切に派遣元が対応することが適当とされています。

① 労働者派遣契約では、あらかじめ業務内容、就業場所等が特定されており、派遣元が一方的にそれらを変更するような措置を講じることは困難であること。

② 就業場所の変更、作業の転換等の就業上の措置を実施するためには、労働者派遣契約の変更が必要となるが、派遣先の同意が得られない場合には、就業上の措置の実施が困難となるため、派遣先の変更も含めた措置が必要となる場合もあること。

出典:厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室.改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について