メンタル産業医ドクター櫻澤のヘルシーコラム|「あざみ野STYLE vol.46」に掲載

健康経営に長けたメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)代表の櫻澤博文執筆 
『メンタル産業医 ドクター櫻澤のヘルシーコラム いつもこころにうるおいを!
ストレスケアで関心が高まる栄養素「GABA」とは?
が以下に掲載されました。

出典:あざみ野STYLE 2021Winter Vol46

思うにコロナ禍。執筆した2021年夏は、東京都都議会議員選挙の争点に、オリンピック・パラリンピック開催の是非がなっていました。
「緊急事態」の発令であるはずの緊急事態宣言は 東京都でみるなばら、2021年開始から6月20日まで171日間のうち4分の3の4か月分も発令されていたからです。

また10代、20代と、本来は夢や希望にあふれ、明るい展望を抱いていてもおかしくはない世代の自死が例年より増加するという別の影響も露呈していました。食事を改善したからといって、すぐに社会不安に起因する個人の不安感まで容易に解消しえるわけではありませんが、ストレス緩和と不安を鎮めるのみならず、免疫力低下の防止効果が期待できるということで「GABA」を紹介しました。

GABAとは
元々自然に存在しているアミノ酸由来成分である「γ-アミノ酪酸(らくさん)」の英名Gamma Amino Butyric Acidの略称です。体内では、脳神経において、抑制系の神経伝達物質という薬理作用を発揮します。ドーパミンなど興奮系の神経伝達物質の過剰分泌を抑えることで、神経の興奮を鎮め、大脳活動を落ち着かせ、不安感に安息感をもたらすことが期待されています。

GABAの効果

日本食品標準成分表2020年版(八訂)には収載されていないことから、栄養として公式に認められているわけではありませんが、以下の効果が示唆されています。

  • 抗不安作用

脳波検査にて、大脳活動の落ち着きを示すα波成分が増えることから緊張や不安を軽減することが期待できます。

 

  • 副交感神経優位に

  心拍数を少なくし、かつ血圧を下げることがわかり、特定保健用食品として使用されることもあります。

 

  • 免疫力低下の抑制効果(つまりは免疫力向上)

GABA摂取にて交感神経の過剰興奮が抑制されると、ストレス状況下での免疫力低下が抑えられることがわかっています。

 

摂取するには

元々、以下の食品に多く含まれますが、一部乳酸菌によってグルタミン酸というアミノ酸の一つからGABA(ギャバ)を効率的につくることができることから、味噌、醤油、キムチといった発酵食品を摂ることもおすすめです。

100g中、GABA含有(単位 ㎎/100g)の多い食品

シャコ 750

ぬか漬け 100

トマト  62.6

ジャガイモ 35

ぶどう 23.2

なす 20

温州みかん 17.5

発芽玄米 12

 

摂取時の注意点

  • 特定保健用食品の中には、眠気やだるさという副作用の報告から、別の成分に変えられたものもあります。
  • 摂取によって不安を鎮める効果はあるのかもしれませんが、不安の原因を解消するわけではなりません。一部チョコレートといった商品の摂り過ぎで、肥満を筆頭とした生活習慣病にかかって、「メタボうつ」になっては本末転倒です。当シリーズでは、シリーズ通じて 満遍なくバランスよい食事が、それも和食中心食だと滋養効果があることを紹介しています。今回もこの思いを強くしての記載です。

 

出典:快眠マニア GABAの多く含まれる食品一覧