メンタル産業医の命名者が創設した健康経営に長けたプロフェッショナル産業医として知られる合同会社パラゴン(東京都港区)が年次有給休暇の時季指定について解説します。
1.年次有給休暇とは
最初に、誰に与えないといけないのかをおさえましょう。それが、この2点です。
身分の違いは関係ありません。この2条件を満たしていない人には与えなくて良いのです(与えた方が、ホワイト企業と見做されやすくなりますが)。
元々労働基準法によって、採用日から数えて6か月間労働契約が継続し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に関しては、例えば以下のように、所定労働日数が週5日以上または週所定労働時間が30時間以上の労働者に対しては最低10日間の有給休暇を与えなければなりません。
そして6か月以上継続して働いてくれている労働者のうち、8割以上 出勤実績がある人には、以下の表にあるだけの有給休暇を、その年次、支給しなければならないことが元々労働基準法第39条によって決められていました。
◆週所定労働日数が5日以上または週所定労働時間が30時間以上の労働者は上の段の。
◆週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者は下の段のように
2.年次有給休暇の時季指定について
2018年7月26日に成立・公布された働き方改革関連法によって使用者は、10日以上の年次有給休暇 が付与される 全ての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して年次有給休暇を与えることが労働基準法に盛り込まれ2019年4月1日から施行されることになりました。
押さえるべき7つのポイントのうち まずポイント1は 年次有給休暇が 10日以上の労働者だけ、うち 5日、きちんと取得させよう
という趣旨であることを押さえてください。この5日間については、計画的付与制度をはじめ、労働者が取得した年次有給休暇の日数分は時季指定の必要がなくなります。
ポイント2は、その5日は、いつ取得させるのか?
それは、10日以上年次有給休暇が付与された時から 1年以内という期限内で とらせる必要があります。
ポイント3は、与え方です。労働者の希望を踏まえつつ、労働者が納得しさえしたら与えられると理解してください。
産業医する中、以下のようなイメージ図を示すと理解を容易に産業医先から得られるため、紹介します。
ポイント4は 労働者が 先に 5日以上、有給休暇を取得していたら、改めて 取得指示を する必要はありません。
ポイント5として、賃金台帳に加え 年次有給休暇管理簿も用意し かつ 3年、保存義務が課せられています。
監督官が来たら、作っているのか、確認がなされることになります。
ポイント6は、就業規則に、年次有給休暇の時季指定に関する項目を規定しなければならなくなりました。
ポイント7は、この5日の有給休暇の時季指定をしなかったり、就業規則で規定しなければ、罰則規定があるということより、つまりは 労働基準監督署の監督官がきたら、確認がなされる内容 ということになりました。
事業主(使用者)が来年度の業務計画等の作成する際には、従業員の年次有給休暇の取得を十分に考慮するとともに、年次有給休暇の計画的付与制度の導入を検討することが推奨されています。
厚生労働省では、年次有給休暇を取得しやすい職場環境の促進を図るため、年次有給休暇の計画的付与について、労使で話し合いを進める前の時期である10月を「年次有給休暇取得促進 期間」と定め、「仕事休もっ化計画」をキャッチフレーズに広報活動を行っています。
出典:産業医と1から学ぶ「働き方改革関連法」①(19/04/01) | 合同会社 パラゴン