米国CDC(アメリカ疾病管理予防センター)が発信した新型コロナウイルス性肺炎(2019-nCoV)情報とWHO発情報を基にした企業の産業医や衛生管理者が執るべき対応について紹介します。
例えばマスク装用に関しては以下とあります。
Wear a mask
- If you are not fully vaccinated and aged 2 or older, you should wear a mask in indoor public places.
- In general, you do not need to wear a mask in outdoor settings.
- In areas with high numbers of COVID-19 cases, consider wearing a mask in crowded outdoor settings and for activities with close contact with others who are not fully vaccinated.
- If you are fully vaccinated and have a condition or are taking medications that weaken your immune system, you may need to keep taking steps to protect yourself, like wearing a mask. Talk to your healthcare provider about steps you can take to manage your health and risks.
- If you are fully vaccinated, see When You’ve Been Fully Vaccinated.
- If you are fully vaccinated, you can resume activities that you did prior to the pandemic.
- Fully vaccinated people can resume activities without wearing a mask or physically distancing, except where required by federal, state, local, tribal, or territorial laws, rules, and regulations, including local business and workplace guidance.
- If you haven’t been vaccinated yet, find a vaccine.
<抄訳>
完全にワクチンを接種した人は、・マスクの着用、フィジカルディスタンスィングは不要(ただし、飛行機、バス、列車などの公共交通機関や、空港や駅などの交通拠点、病院等ではマスクの着用が必要)
・国内旅行での旅行前後の検査や旅行後の隔離は必要ない。
・海外旅行でも渡航先で必要とされる場合を除き、出発前の検査は必要ない。
米国への帰国便に搭乗する前に、検査結果が陰性であること、またはCOVID-19から回復したことを示す書類を提示する必要がある。
米国到着後の3~5日に検査を受ける必要がある。ただし、自己隔離を行う必要はない。
・濃厚接触者でも無症状の場合は、例外を除き、検査、隔離は不要。(健康観察を行い、症状が出現した場合は検査を受けること。)
・例外を除き、定期的なスクリーニング検査は不要。
実際、2021年6月上旬には、公的な場所等において、ワクチン接種が完全に済んでいる場合は、マスク着用義務がなくなり、同月中旬には集会やイベントすべての規制がなくなりました。その頃から、多くの職場でも同様のルールが適用されています。
地域の学区(小学校から高校)では、新学年度(2021年8月下旬~)は、すべて対面授業、校内でのマスク着用・ディスタンスィングなどのルールは撤廃、濃厚接触者の隔離義務もなくすという方針が出されています。
If you’ve been fully vaccinated:
- You can resume activities that you did prior to the pandemic.
- You can resume activities without wearing a mask or staying 6 feet apart, except where required by federal, state, local, tribal, or territorial laws, rules, and regulations, including local business and workplace guidance.
- If you travel in the United States, you do not need to get tested before or after travel or self-quarantine after travel.
- You need to pay close attention to the situation at your international destination before traveling outside the United States.
- You do NOT need to get tested before leaving the United States unless your destination requires it.
- You still need to show a negative test result or documentation of recovery from COVID-19 before boarding an international flight to the United States.
- You should still get tested 3-5 days after international travel.
- You do NOT need to self-quarantine after arriving in the United States.
- If you’ve been around someone who has COVID-19, you do not need to stay away from others or get tested unless you have symptoms.
- However, if you live or work in a correctional or detention facility or a homeless shelter and are around someone who has COVID-19, you should still get tested, even if you don’t have symptoms.
Planning and Operations
【症状】発熱、咳嗽、息切れ等
【潜伏期間】(感染してから発症してまでのタイムラグ)2-14日程度と推定
【感染経路や感染源】 おそらくヒト以外の動物と推定されていますが、まだ不明です。
これまでコロナウィルスは動物を起源とするものが多く、生肉を販売する市場にも近づかないようにすると共に、肉やミルクの調理の際には十分に加熱しましょう。
【ヒト対ヒト感染】これまでの疫学調査からヒトからヒトへ感染する可能性が高いものと解釈できます。
【感染力】基本再生産数(1人が何人に感染させるか)は1.4-2.5と推定。過去の同じコロナウイルス性肺炎であるSARSやMERS(約0.8)を上回る数値で、季節性インフルエンザ(2-3)と相同。
★基本再生産数(R0)の記述はWHOの声明に。
【毒性】これまでの患者の状況から、死亡率は4%程度とSARS約10%,MERS約30%と比較して低く、死亡例は今のところ高齢や基礎疾患のある方に限られていますが、感染の拡大に伴って、強毒性化する危険性やスーパースプレッダーという爆発的に感染を拡大させる感染源となる特異な人が生じる怖れもあります。
【予防】医療従事者以外では、手指消毒や咳エチケットに加え、サージカルマスクの正しい装着について教育した上でのサージカルマスクの着用。
空気感染も想定すべきであり、患者についてはサージカルマスクの着用、対応する医療従事者(患者と接触する人)についてはN95マスク等の着用が推奨されています(ただし、フィットテストが必要)。
以前のMERS発生時では病院内で患者と接触した家族などに感染が伝播した例があるため、現地ではむやみに病院に行ったり、当然体調不良者と接触することを避ける必要がある。
【防疫】現地において、または現地から帰国した人については、発熱や上気道症状のある場合は出勤を停止させ、保健所等に連絡の上、医療機関を受診させてください。帰国後2週間程度は、体調に関して定期報告をしていただくのがよいかも知れません。
現地から無理に帰国させてしまうと、航空機機内で、患者と乗り合わせる危険があります。それでは感染リスクが高くなる可能性があるため、感染経路などの情報が明らかになるまでは緊急帰国等はさせない方が良いです。
むろん、必要性の低い武漢への渡航を避ける対応が賢明です。なお中国への渡航に関してもLv1の注意喚起が出ています。
【鑑別】おりしも北半球全体でインフルエンザが流行する時期であり、症状での鑑別はほとんど不可能です。
【対策】「体調の悪い人は休ませる」の励行が必要。
【その他】企業では患者が発生した場合のレポートラインや近隣医療機関、公衆衛生機関との連携、そしてBCPの確認や見直しも必要となります。