例年 7月1日から7日までは産業医にとっても大切な全国安全週間であり、2021年度は「持続可能な安全管理 未来へつなぐ安全職場」をスローガンとした第94回全国安全週間が設けられていました。その準備月間である6月には例年、中央労働災害防止協会 発行の「安全の指標」が労働安全衛生コンサルタントには届けられるため、メンタル産業医の命名者である合同会社パラゴン(東京都港区)は毎年、安全の指標を読み込み、その違いを把握すると共に、その内容を産業医を介して契約先に伝達しています。何しろ労働基準監督署が、どのような理由で臨検を行うのか、どのような監督行政を行いたいのか容易に把握できるからです。
また日本では、高齢社会の進展に伴って、労働者の平均年齢向上に伴ってのつまずきや転倒災害が増加しています。
「令和3年度 安全の指標」からしたら、転倒災害防止が鍵であること確認できましたのでその理由を記載します。
1.労働災害分析データより
過去6年の事故の最多 型別発生件数を誇る事故は転倒で23%、次が墜落・転落で17%でした。合計すると40%が転倒、転落・墜落です。
ではどこからかというと、仮設物、建築物、構築物等からが27%でした。
2.日本人死因統計(人口動態統計)から
2019年に、転倒・転落・墜落を死因とする死亡者数は出典:第7表 死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人口10万対) から9,580人と、交通事故死の2.24倍です。
近い死者数でいうならば 高血圧による死亡が9,549人、膀胱の悪性新生物<腫瘍>が 8 911人でした。
疾病は 誰しもならないかもしれませんが、怪我や誰しも関係ある話です。
日本での新型コロナウイルスの累計死亡者数が9,581人に到達したのは2021年4月17日とわが国で初めてコロナ死が確認された2020年2月13日からすると430日目です(2020年1年間の死亡者数は3,414人)。
参考サイト:新型コロナウィルス (COVID-19) 感染状況の推移
つまりはコロナ死より転倒墜落死の方が多いという推計が可能です。そこで つまずき防止に簡易にできる運動を以下のQRコードの先にて紹介しています。
3.フルハーネス型墜落制止用器具の使用
★ いくら安全性が高まったとしても、フックを落下防止ロープや落下防止装置に接続しなければ意味ありません。
実際、何例も、フルハーネス型墜落制止器具を装用しながらも、「自分は大丈夫」と妄信したのか、ランヤードの先のフックを落下防止装置に接続せず
墜落→激突→死亡している災害事例を何例も確認されています。
4.STOP!転倒災害プロジェクト
当社は2018年度より神奈川県が特別に用意した体操の紹介や、転落・墜落を起こす要因である「はしご」や「ついたて」使用前の作業環境管理や作業管理面での確認事項を紹介してきています。
参考サイト:第3次産業は大惨事産業」命名の産業医|転倒・転落・墜落防止に「ころばNICE神奈川体操」を紹介
5.武漢発冠状病毒罹患に基づく労働災害 6,041名
2021年4月1日までの累計コロナ陽性者数 475,044人と比すると1.27%が労災罹災者ということになります。
出典:厚生労働省.データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-
差別された方々、実にお気の毒です。
参考サイト:合同会社パラゴン.産業医による健康経営対策㉒|差別や偏見の実際と対策
そんな中、ワクチンを接種したとしても2020年3月に制定された濃厚接種者の定義を変えようとしない不作為が続いています。
出典:合同会社パラゴン.産業医による新型コロナウイルス感染症対策⑱|保健所による濃厚接触者(含:飛行機内)特定方法<最長23日の自宅隔離遵守状況の方が懸念>
ワクチンを打ったとしても濃厚接触者だと区分され、私権の制限を受けることになっては何度、苦悩を強いられることか。