メンタル産業医命名者が「企業における危機事態に伴い発生した産業保健ニーズに対応するための産業保健専門職向けマニュアルの開発(平成25・26年度 産業医科大学 産業医学・産業保健重点研究)」の成果物であるマニュアルを紹介します。
本マニュアルは、産業医大卒業生産業医が、工場の爆発事故後(死亡1名)の対応で試行錯誤した経験をきっかけに、その経験を活かせないかという相談があり、調査研究を行いその結果をまとめたものです。
企業における危機事象には、自然災害や工場事故など様々な事象があり、多くの場合、従業員は時間経過とともに様々な健康リスクに直面するため、産業保健スタッフはそれらの健康上の問題に対して適切にリスク評価を行うとともに、優先順位をつけて予防的介入を行っていかなければなりません。危機発生時に適切に対応するためには事前準備や訓練が重要なのは言うまでもありませんが、準備をいくらしても、想定したシナリオ通りの事象が発生するとは限らず、臨機応変な対応が求められることが少なくありません。このような状況のもとで、実際に発生した複数の危機事象(東日本大震災関係3例、工場事故関係4例、犯罪関係1例)を調査し、その中で挙がっていたすべての産業保健ニーズを記述し、それらを時間軸とニーズの性質のマトリクス表に集約した産業保健ニーズリストが作成されました。そしてそのニーズリストをもとに実用性のあるマニュアルが作成されました。
なお、マニュアルの構成は下記の通りとなっています。
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第1章 本書について/産業保健ニーズ一覧
危機事象発生時における産業保健専門職の役割
本書の活用方法
フェーズの定義
カテゴリーの定義
産業保健ニーズ一覧
第2章 各フェーズにおける対応マニュアル/産業保健ニーズの解説
1 緊急対応期
2 初期対応期
3 復旧計画期
4 再稼働準備期
5 再稼働期
季節に関わる問題
コラム①〜死亡者が発生した場合〜
コラム② 〜人的リソースの把握について〜
コラム③〜危機事象の原因が事業所の過失の場合〜
コラム④〜メンタルヘルス不調者のスクリーニング〜
コラム⑤ 〜取り残される者たち〜
(付 録)
参考資料
危機事象危機管理事前チェックリスト
質問調査票
研究概要
以上、BCP策定においてもプロフェッショナル産業医で知られる合同会社パラゴンの紹介でした。
参考:産業医実務研修センター.災害前/災害時の産業保健アクションチェックリスト