健康経営に長けたメンタル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)がレジリエンスというストレス耐性を高めることで企業の健康経営度を向上する方法を紹介するシリーズその4です。
レジリエンス(Resilience)を高めるための要素を踏まえながら、ストレス耐性の向上が期待できる内容を紹介しております。
今回は社会とのかかわりと安定した人間関係について紹介します。
レジリエンスを高め、柔軟な心構えを形成するには、適度に社会とのかかわりを持つことが大切です。
それは孤独・孤立があると生き辛くなるからです。
孤立しないように、日ごろから信頼できる人間関係を形成したり、構築維持すること がレジリエンスを高める方策です。
友人に対してであれ、集団や組織に対してであれ、更には社会に貢献しているという自負心が形成されておれば、自尊心を高めることにもつながります。
その結果として心に柔軟性が出てくるため、ストレス耐性は向上できます。
安定した人間関係とは
これまで、自己肯定感・自尊心、適応力といった内的な要因を紹介してきました。今回と次回は、外的な要因を紹介します。
今回紹介する安定した人間関係はレジリエンスを高めるための4要素のうちの一つとして大変重要です。
「対人関係療法」があるように、4要素のうち、一番、われわれを悩ませる要素であることは異論はないでしょう。中でも辛いものは孤独・孤立だと言われています。
従って孤立しないように、日ごろから信頼できる人間関係を形成したり、構築維持することが、レジリエンスを高める方策になります。実際のところを考えてみましょう。心から信頼できる友人との語らいがあるだけで、それだけで安心感から、”ストレス”を跳ね返すことができるような自信が湧くものでしょう。
信頼できる人間関係の中でも、特に家族との良好な関係が重要です。
幼少期より家族仲が悪ければ、両親から十分な愛情を受けられないため、十分な自己肯定感や自己効力感(自尊心)が十分に育成できません。
また、何か悩みがあった時にもっとも身近にいて相談しやすいのが家族ですから、良好な家族関係がないと、ストレスを自分の中に溜めこむようになってしまいます。
もちろん友人との関係も大切です。数が多ければ良いというわけではありません。単なる取り巻きがいさえしたら良いというわけではないのです。心底、辛い思いを吐き出すかのように気持ちを伝え、かつその気持ちや思いを汲み取ってくれるような、信頼に足る「親友」を持っている事が重要です。
皆様もご経験がおありでしょう。肉親や家族に相談しずらい事を、誰に相談したのか。ゴルフ仲間や飲み仲間のように、一緒に遊びに行ってストレス発散したことを。
以上を応用すると、学業や仕事においても、ストレスを受けた時、すぐに相談できる相手がいれば、ストレスを溜めこまずに済むことから、メンタルヘルス不調に陥ることが防止出来ます(一次予防)。
実際に、「メンター制度」といいますが、違う部署の2-3年先輩がコーチ役を担うという支援制度や寮を通じた共同生活を取り入れる企業も増えてきています。
組織での上下の関係ではなく、斜めの関係づくりが可能です。
メンタル産業医によるレジリエンス向上にて健康経営シリーズは、なんと、南山堂刊「治療」誌にて、連載されることになりました。