新型コロナウイルス感染症対策分科会の第4回資料を解説
企業内のコロナ対策を担うことでその企業の永続性という健康経営に資するプロフェッショナル産業医で知られる合同会社パラゴンも、産業医にとって、新型コロナウイルス感染症対策分科会による資料内容の仔細を把握することは有用と思われます。
こちらとしては2020年7月31日に開催された第4回分科会資料から把握された以下4点を課題として抽出しました。
出典:内閣官房.新型コロナウイルス感染症対策分科会(第4回)
課題1 マイクロ飛沫感染(≒空気感染)が感染経路ではマスクは無意味!?
<資料から>
・現在のところ、基本的な感染対策が行われていれば、近隣のスーパーでの買い物や出勤の公 共交通機関、オフィスなどで感染が拡大する状況ではないと考えられる
・感染の主体は若者。
・重症者数 全国(7/22):54人(2%) 東京都(7/29):22人(6%)と少数にすぎない。
・重症患者受入確保病床数 全国2,532床(想定3,844床) 東京都:400床※(想定500床)
※現に確保されている病床数は2,400床及び100床
・感染経路が特定できない症例の割合(7/18~7/24) 全国:54% 東京都:58%
・「3密」と「大声」に関連する感染経路として、最近になっていわゆる「マイクロ飛沫感染」が世界的にも重要と認識されてきている。
• 様々な状況証拠から「3密」と「大声」の環境においては、 「飛沫感染」や「接触感染」 に加えて、「マイクロ飛沫感染」が起こりやすいものと考えられている。
<解釈>
①前シリーズ「産業医による新型コロナウイルス感染症対策」第10報「マスクの選択」にてマスク狂乱ぶりに対し、労働衛生工学的視点という科学的根拠に基づく解説を加えたのは2020年2月3日でした。
「尾身茂、新型コロナウイルス感染症対策分科会有志一同」が作成された資料からも「マイクロ飛沫感染」が重要な感染経路として認識されていると理解できました。
<課題>
「マイクロ飛沫感染」という言葉を出してきました。これは≒空気感染です。
なぜならマイクロメートルの単位でしたら、市販のマスクではほぼ素通りだからです。
どうしてマスク(特に国民に配布された布マスクは特に)では「マイクロ飛沫」は素通りするだけで、感染防止効果はないどころか、装用していさえしたら大丈夫という誤解を国民に与えることより、感染を拡大させる原因となっていると述べないのかは不明でした。
何しろマスク装用含めた万全の対策を執っているはずの全国飲食チェーン店で、「弊社は引き続き、感染症予防の取り組みを強化してまいります。」と連日、宣言し続けているにも関わらず、感染店舗が出現し続けています。「マイクロ飛沫感染」がわが国でも感染経路として重要と考えての対策を行わなければならない証左と考えます。
なお以下に登壇するマスク装用を主張する方、誤用学者認定可能ですね。
参考サイト:あなたの主治医は大丈夫?|産業医による医師の倫理性が判別可能な誤用学者検証サイトの紹介
課題2 5日以上前の天気図を元に、明日の天気予報をしているようなもの
<資料から>
・PCR検査陽性者数の割合(7/20~7/26)は6.0%(前週比+2.4%ポイント)に上昇しているが、緊急事態宣言時 (4/6~4/12の8.8%)と比較すると低位。東京都では7.7%(前週比+2.9%ポイント)であった。
★ 「発症~診断日」の平均日数(7/13~7/19)は全国 5.2日、東京都5.2日
※ 4月中旬(4/13~19):全国 7.6日、東京都 9.0日
<解釈>
2020年5月31日に「発症日で数える」ことの大切さを伝えておりました。
何しろ「非常事態宣言」を出したのは、そもそも感染拡大のピークを過ぎてからでした。その前の学校教育機関の閉鎖が有効だったのか、間違っていたのか、公的組織からの見解は判明しておりません。
確実なのは以下のように多くのコロナ関連倒産や派遣社員の就労機会喪失、コロナうつに伴う休職者増といった国民に負担を強いていることです。
◆非正規雇用者 97万人減少(2020年4月時点)、104万人減(同6月時点)の2044万人に。
◆完全失業者数 完全失業者数は195万人(2020年6月時点) 前年同月に比べ33万人の増加。5か月連続の増加
◆失業者のうち、勤め先の都合などリストラによる失業者は41万人。前年から19万人増。
◆消費支出 マイナス11.1%
◆労働局 雇用相談件数は約54万人
出典:産業医による健康経営対策①|発症日で考えてこなかったことから(はじめ良ければすべてよし)
その背景には、たとえると全国では一週間以上前の、東京都になると9日も前の天気図で、明日の天気予報をしていたようなものだったことだったのだと理解できました。しかも未だ、5日以上も前の天気図で明日の天気予報をしているような現状が続いています。
課題3 予防接種の優先接種対象者が明らかに
<補足>
2020年7月14日に厚生労働大臣は複数のメーカーに増産依頼をしたように、注射筒(シリンジ)が日本国民分ありませんでした。つまり不足していました。ワクチンの中には、2回注射が必要な中、誰を優先的に助けるべきか、国民の意見が反映されているのでしょうか。
2020年8月、尾身茂医師が市民の前で表明したワクチンに関するご見解
ワクチン・血液製剤産業タスクフォース顧問 の一員だった尾身茂医師によるワクチンへの評価です。
・安全性および有効性の両面で理想的なワクチンが開発される保証はない。
・一般的に呼吸器ウイルス感染症のワクチンでは、十分な感染予防効果があるものが実用化された例はなく、発症予防効果や感染予防効果は、今後の評価を待つ必要がある
以上のご見解を市民の前で発言を通じて示されました。
参考サイト:平成28年10月.ワクチン・血液製剤産業タスクフォース顧問からの提言
課題4 PCR検査の限界
参考サイト:新型コロナウイルス感染症対策分科会.検査体制の基本的な考え・戦略(第2版)感染症対策と社会経済活動の両立に向けた考え方の整理 をご覧ください。
<解説>
実際、感度70%、特異度99.9%だとしても、100万人中1人しか感染していないような 検査前確率が0.1%とまれな疾患の場合でのシミュレーションがなされています。
検査陽性者のうち、本当にコロナに罹患している方(陽性適中率)は41%に過ぎない結果が確認できます。
つまり、PCR検査で陽性と出た方のうち59%は、実際はコロナに感染しているわけではないのに、コロナ罹患者として扱われざるをえないという偽陽性が59%もあると指摘がなされています。 本当の陽性者より 間違って陽性とされてしまうという 偽陽性の方が 多い結果です。
対策としては 人口の5%に毎週検査を行い、陽性者を隔離するよりも、発症者には、自ら自宅隔離を選んでもらった方が、15倍もの実効再生産数低減に寄与することが紹介されていました。
なお今や市中感染症となった新型コロナウイルスに対してPCR検査を活用するということ、単なるコロナウイルス性風邪なのか、インフルエンザなのか、それとも新型コロナウイルスなのかの鑑別をつけるために使われるのであれば、医学的に合目的性があります。
何しろ偽陽性なのに「陽性」と判定された場合の世間からのパッシングを考えると、抗体検査と組み合わせたいものです。
また国民のうちのPCR検査陽性が低い状態なら 陽性的中率は低いので まあ 精度管理や 感度の悪いPCR検査キット使っても 真陰性の確率は高くでます。
「見逃した」なんて 言われずにすみます。
うち、検査前確率が高くなってくると、陽性的中率も高く偽陰性は少なくなります。
職域が この真陽性の確率の高い群になっている集団だと精度管理が悪く 感度が低いキット使っているとsensitivity out できなくなります。
【希望的観測】
当社が横須賀市等の結果から考察では、新型コロナウイルスのうち弱毒性へと変異したウイルスが、流行の主体になっていくという科学性に立脚した予見を行っています。その内容はともすると希望的観測なのかもしれませんが、ワクチンを諸外国のメーカーから売ってもらっても、打ってもらう注射筒(シリンジ)が足りない現状がある以上、祈るしかないのかもしれません。