メンタル産業医によるJAGES研究成果紹介③:要介護度悪化防止

健康経営に長けたプロフェッショナル産業医で知られる合同会社パラゴン(東京都港区)が、認知症という21世紀のメンタルヘルスにおける最大の課題に対して、最新技術の粋(テクノロジーズ)を駆使して、対応しえる各種情報をクラウド空間を介して提供致します。果たしてワクチンという科学技術の粋(テクノロジーズ)の単回接種で受動免疫獲得効果がどれだけあるのかまで紹介しています。

 

1 JAGES研究成果紹介③:要介護度悪化防止

一般社団法人 日本老年学的評価研究(JAGES)機構 代表理事である近藤克則教授より緊急提言がJAGES運営のメーリングリストで2021年1月6日にありました。

淑徳大学 結城康博教授の「コロナより認知機能低下の方が恐ろしい。行政が感染リスクだけを強調するのは間違いだ」という発言が取り上げられていました。

その点当社は2017年度には中国で危険な感染症が発生していることを問題提起していました。対策として予防接種行政の課題がを呈示すると共に解決策を論じておりました。

今回の武漢発コロナウイルスに対する感染リスクを行政が強調する分、当社は2020年1月30日と約11か月強前から「産業医による新型コロナウイルス感染症対策⑧|危険性を判別する」にて、他の呼吸器感染症と死亡リスクを元に比較検討した結果を提示しております。そもそも9.5万人と10万人近く、日本での市民は肺炎で死亡してきていました。その背景にはインフルエンザを含めた呼吸器感染症がありました。

出典:厚生労働省.第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別 死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合

えてコロナうつに伴う休職者が増加している経験から、「メンタル産業医によるコロナうつ対策」シリーズにて、メンタルヘルスへの悪影響の解消方法を提供してきています。そのことは篤志ある食品製造企業の理解から「スナッキングフード」として働く女性支援として商品化されています。

参考サイト:テレワークで1日の食事回数が増えた人におすすめの「スナッキングフード」習慣とは?

 

 

2020年春の非常事態宣言下、デイサービスやデイケアを通じた人生の質を高める支援が停滞した結果、要介護者の要介護度が悪化したことの一例はでぃめんしあ」第13号22ページに一般社団法人・人とまちづくり研究所 の調査結果が紹介されています。具体的には調査対象となった事業所の46%と約半数が「利用者の認知機能 の低下」を懸念している結果でした。
この雑誌は21世紀の企業におけるメンタルヘルス対策は認知症対策で知られる合同会社パラゴンも参画した雑誌ですしJAGESから得られた知見はこれまでも2018年8月9日を皮切りに複数回紹介してきています。

今回、近藤教授より発せられた緊急事態宣言下の要介護度悪化防止対策を紹介します。

出典:木村美也子,尾島俊之,近藤克則(2020.4.8更新).pdf 新型コロナウイルス感染症流行下での高齢者の生活への示唆:JAGES研究レビュー

 

 

2.ファイザー社ワクチンの効果に関してNEJMに掲載された研究結果を吟味

ファイザー社製造の「BNT162b2」という開発コードで呼ばれるワクチンは、いわゆる中国武漢発新型コロナウイルス/新型冠状病毒(SARS-CoV-2)ウイルスが、人類に感染する際、ヒトの細胞に入り込む際に使う 「トゲ」(鉤,スパイク)のような形状をしたのスパイクタンパク質の遺伝子情報をもとに、それに対応するように、かつmRNAは、人体や環境中のRNA分解酵素で簡単に破壊されるため構造を改変、かつ無害化した改変mRNAです。加えてmRNAの分解を防ぐために脂質でできた脂質ナノ粒子(lipid nanoparticle, LNP)で包んでカプセル化しています。このLNPで包むと人の筋肉細胞や樹状細胞内にこのmRNAは取り込まれやすくなるという効果もあります。そのワクチンを筋肉注射すると、体内で新型コロナウイルスを無毒化するという中和抗体反応を誘導できるような構造を持つように製造されています。

わかりやすいように解説を加えると以下です。
mRNAの情報通りにヒトの細胞が、ウイルスのその「トゲ」の部分のみ体内で合成することになります。その「トゲ細胞表面に、「この「トゲ」は異物物ですよ。人体にとっては敵です。排除する対象ですよ!」といったように、体内のリンパ球を筆頭とした免疫細胞に対して、敵としての認識提示を抗原提示細胞が担います。その抗原提示細胞からの情報を元に、我々の体内の免疫細胞は、攻撃対象だと認識し、具体的には、その「トゲ」にくっつく「抗体」を作ります。この抗体は、そのトゲにくっつき、「ほら、ここに敵がいるよ」とNK細胞やキラー細胞といったウイルスに対する貪食作用を持つリンパ球といわれる免疫細胞にとって標識となってくれるという「免疫応答」が起きます。なおmRNA自体が自然免疫を刺激する働きもあり、免疫誘導を促進します。むろん、本物のコロナウイルスが入ってきたときに、そのコロナウイルスの表面には「トゲ」があります。そこに抗体がくっつくことで、コロナウイルスが、我々の細胞に進入することも抑止してくれます。

これまで日本で接種されてきたインフルエンザワクチンと比べるならば、インフルエンザウイルスに対する抗体を鶏卵の中のニワトリ細胞に製造してもらっていたわけです。対して今回は鶏卵を使うこともなく、純粋に遺伝子変換技術によって工場内で製造が可能なものです。

これまでの臨床試験では体液性免疫と細胞性免疫の両方を誘導できることが示されていました。しかしながら実際に多くの人に接種することで、これらの免疫反応を誘導する作用が、新型コロナウイルス感染に対して、どれだけの感染予防や重症化進展抑止効果があるのかは不明でした。
そのことを検討するために以下で紹介する臨床研究が組まれました。

 

【対象と方法】

多国籍から参加者を募り、統計学的に有意差のない2群に分け、一方の21,720名にはワクチン「BNT162b2」を接種し、他方の対照群21,728名にはプラセボ(偽薬・・・単なる生理食塩水)を投与しました。白色人種は83%なのにアジア系の割合は4.2%のみでした。

75歳以上の割合も0.4%のみであり、高齢者への接種の安全性も十分確認されているとは言えません。

投与者はどちらを接種したのかはわかりますが、効果確認者側のみどちらを接種したのかわらかにようにした(単盲検といいます)上で、ワクチンによる新型コロナウイルス感染の予防効果を確認することになりました。
両群とも21日間隔で2回接種法で統一しています。

 

 

【対象者の特徴】

肥満を筆頭に、基礎疾患を持つ方が多く、参加者の40%以上が55歳以上でした。

 

 

【観察方法】

新型コロナウイルスと思しき症状が出現した方は治験を受けている施設に通知してもらいました。それら症状が実際に新型コロナウイルスによるものなかのか確定診断を得る為の検査を受ける流れでした。

他にも体調を崩すといった副反応と思しき有害事象が生じていないか、毎日、参加者は記録をつけるようになっていました。

【結果】

ワクチン接種群では8例に対して対照群では162例であり、(162−8)÷162=154人÷162より95%の、95%信頼区間は90.3~97.6%という結果でした。

初回接種 12日目位からワクチン接種による発症抑止効果が確認されました。

年齢層ごとの有効性が評価されており、75歳未満までは有意な有効性がみられていますが、75歳以上では対象者数が十分でなく評価できていません。また、基礎疾患ごとの有効性についても今後の課題と考えられます。

基礎疾患にわけての層別分析はされていません。

 

 

【副反応】

1回目接種後の約30%、2回目接種後の約15%に、日常生活に支障が出る中等度以上の疼痛が報告されました。疼痛が70~80%という頻度は、成人における不活化インフルエンザワクチン接種時の頻度10~22%に比べてはるかに高く、比較的接種部位の疼痛が強いとされている23価肺炎球菌ワクチン(PPSV23)の58.3%、13価肺炎球菌ワクチン(PCV13)の68.2%と比べて同等もしくはそれ以上にも関わらず、論文では

「従来からのワクチンの反応と似たような注射部位の痛みや発赤など主に一過性の軽い局所反応の報告がありました。
発熱、疲労、リンパ節腫脹などの全身反応はまれ」としか記されてはいませんが、実際には生じていました。【倫理的配慮】としてBioNTechとファイザーの資金提供が背景にある( ClinicalTrials.gov番号、NCT04368728)からでしょう。

 

 

出典:C4591001 Clinical Trial Group.Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine.N Engl J Med 2020; 383:2603-2615
DOI: 10.1056/NEJMoa2034577

 

参考サイト:一般社団法人日本感染症学会 ワクチン委員会 .COVID-19 ワクチンに関する提言 

 

3.ファイザー社のテクノロジーズであるワクチン単回接種効果

第3相試験の結果では、初回接種後から2回目接種前までの有効性が52.4%、

 

出典:Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine. NEJM DOI: 10.1056/NEJMc2036242