「日本の「人材育成」を問い直すー大学、企業、政府は何をなすべきかー」(2023年3月5日に開催)にて「人材育成データから見える課題」の解決に「マージナルマン」という存在の活躍が示されたことはこちらで取り上げました。
インターンシップで来る学生を、あたかも「マージナルマン」かのように、変化を起こす酵素として活用かつ、今後とも学生自身の考えにおいて化学反応が起き続けるよう、インターンシップを触媒のように活用している企業事例は以下です。
出典:富士通(株)Employee Success本部 人材採用採用センター 渡辺大介.ジョブ型雇用時代の新卒採用とインターンシップ.大学改革を担う実務家教員フェア 2023年3月4日
この「マージナルマン」を活用するにはどうしたら良いでしょうか。
対して大阪大学 社会経済研究所堀井 亮 教授による「イノベーションと成長のための人材育成と働き方」からその勘所を人的資源管理を人的資産投資へと昇華させることが健幸(ウェルビーイング)経営そのものととらえている合同会社パラゴン(東京都港区)が紹介します。
キーメッセージ
・新しい経済成長理論では、【経済成長】は【技術進歩】で決まる。
出典:ポール・ノーマー(2018年度ノーベル経済学賞受賞者)
・【技術進歩】は、新奇な【アイデア(考え方、方法)】に基づく【イノベーション】から産出。
・【経済成長】を拡大するには、新奇な【アイデア】をもとに、【アイデア】に対して挑戦する人数や回数を増やすと新技術を多く産出させる可能性が高められる。
・または画期的な【アイデア】をもとにした新技術を生み出す(【技術進歩】)か、それらの積を拡大したらよい。
→多くは失敗するものの、挑戦しなければinnnovativeなノイエスは出てこない。
→ 2019年に紹介した池野文昭先生の教え と全く相同です。
すなわち失敗の単価を下げるというチャレンジする姿勢や、それを生かす組織運営が大切だというのが池野文昭先生からの教えでした。
・【経済成長】をし続けるには、新奇な【アイデア】をもとにした新技術産出という【技術進歩】をさせ続けたらよい。
・【イノベーション】を生むには、それまでの既知の知識の蓄積と活用に加え、偶然という運が寄与する(むろん、偶然という運だけではイノベーションは起こりえません)。
→ 「巨人の肩に立つ」や「屋根瓦」、「知に知を足す」や
当社代表命名の integrated information is intelligence ということかと。
→前提知識なしの ヒラメキをもとにしたアイデアは 出願された特許でもまれ。
・【イノベーション】を産出させ続けるためには、【チャレンジ】し続ける必要がある。
→ 【チャレンジ】した後の利益の期待値(予測される平均値)が、【チェレンジ】のコスト(費用のみならず時間や、退職するのであればその任務での経験といった逸失するものも含む)を上回る場合
Benefit > cost
・開発された 【イノベーション】や新技術、画期的なノウハウも、それを正当に評価し使いこなせる人がいないと無駄に終わる。
→アメリカのアントレプレナーのように経営者側にも先進知識、スキルがなければ正しい判断は下せない。
参考事例つぃて銀行でのシステム統合時の相次ぐトラブルや年金システムのトラブルが挙げられていました。
この20数年の相次ぐ企業での不祥事(いわゆるブラック)も、同根と思われました。
チェレンジの「期待利益」の上げ方
・投資利益対効果を高める
→リスクをとる方への返応性を高める。
・革新的な【アイデア】に対しては、実用化の可能性を高める研究環境の提供や支援体制の整備が肝要
チャレンジコストの下げ方
・革新的な【イノベーション】は社会改善に資するという市民の認知形成
・やり直ししやすいようなキャリアパス整備(再就職、再休職)
・資金面での補助
・有望な開発された技術を正当に評価、駆使できる経営者側の人財育成
メンタル産業医による人的資源管理を人的資産投資へと昇華することが健幸(ウェルビーイング)経営だと定義したうえで、企業の健康度を向上する支援で知られるのが合同会社パラゴン(東京都港区)。人的資本管理での人的資産価値を向上するような、積極的な人的資産投資が求められること、その評価に労働分配率が使われることを紹介してきております。
参考:健幸経営型産業医が紹介|労働分配率で判るウェルビーイング
これまで足りなかった知見としては以下となります。
補完性(イノベーションとスキル間)
イノベーションがなければスキルも重視されません。
スキルがなければイノベーションは起きません。
イノベーションが経済成長に必須となった時代、チャレンジするスキルが重要視されない企業や組織は、衰退することになります。
対策と提言
以下のように、3つの立場の方に向けての提言もされていました。
いずれにせよ「改善」や「改良」、「修正」といった既存の延長に変革や革新はなく、【革新を実現にする】には、政党の主張とは違いますが、「革命」や「維新」という「本質」からの抜本的変革が必要なのでしょう。
変化是進化
不変非普遍