はありません。これが感染症疫学やグローバルヘルスに関する情報収集にも余念がないプロフェッショナル産業医集団である合同会社パラゴン(東京都港区) が、インフルエンザ対策の問題点を明らかにします。
2016/17シーズン、効果がなかったA香港型に向けたワクチン。2017/18シーズンも同じ型を選んでいます。呆れませんでしょうか。
行政が招聘している「専門家」な方々は、何を根拠に、どうして選んだのか、2017年8月28日にその背景が公開されました。
出典:インフルエンザ部会資料 2017/18シーズンにおけるインフルエンザワクチンについて
そこで、行政による選考方法の問題点を把握する為に2016/17シーズンに流行したインフルエンザ株と、同シーズンに用意されたワクチンとを横浜市衛生研究所からの情報とを見比べることで課題を把握・分析することにしました。
参考サイト:横浜市衛生研究所.横浜市における2017/2018シーズンの インフルエンザウイルス流行株の解析
どうして横浜市衛生研究所なのか?
ここは、10月~5月と8か月もの長期にわたって、分離したウイルス株の系統樹分析ができるだけではなく公開するという、地方自治体で比類なき情報発信力があるからです。
・分離されたウイルスの割合でみると最多はA香港型で4分の3・・・①
一昨年の2015/16シーズンに流行したブタ由来A型(AH1pdm09)はわずか1%・・・・ウイルス株の間でもサバイバルレースがあり、このところ、ブタ由来A型とA香港型とが隔年流行しています。
なお、Aソ連型は2009年に流行したブタ由来A型に駆逐され、2010年以降、確認されていません。
・その一番流行ったA香港型のうち、ワクチン効果があったのは3分の1のみ。
すなわちA香港型に関しては3/4×1/3より4分の1しか効果は得られなかった…・②。
・その他のブタ由来A型とB型二つは効果があった。
合計すると、②+(1-①)×1=1/4+(1-3/4) より1/2 すなわち、
2016/17シーズンは、流行の半分しか抑止する効果はなかったという、外れ年になりました。専門家は反省しているのでしょうか??
・実際、入院重症例はA香港型から多く出ており、死亡例まで横浜市の統計から出てしまっていること、確認できます。
・A香港型が流行したにも関わらず、ワクチン効果が得られなかった理由は、狙った3C2Aというタイプが流行ったのは確かですが、このタイプが更にABCDの4タイプに分化して進化し、4タイプがバラバラに流行したからでした。一つひとつ確認すると57パターンが把握されています。
この先は、横浜市衛生研究所も、ワクチン株を択んだ厚生労働省も解釈を記載していません。
合同会社パラゴンとして解釈すると、敵は大したものです。ワクチン株とは異なるパターンを最低57も作り出して、ワクチンの効果を相殺しようと進化しているのではないでしょうか。
なお来年は、効果がなかったA香港型予防接種しか用意できていない中です。隔年流行のこれまでの等差間隔からも、ブタ由来A型が流行する年であっても欲しいものです。
なお、この「(H1N1)pdm09」に関する予防接種株に関してです。
WHOはA/ミシガン/45/2015 を 推奨している中、日本はA/シンガポール/GP1908/2015と、それに沿っています。
WHOが推奨しているのは「A/Michigan/45/2015 (H1N1)pdm09-like virus」です。A/シンガポール/GP1908/2015も。WHOが示している「A/Michigan/45/2015 (H1N1)pdm09-like virus」の中に入っているからです。
以上 情報提供 竹田こどもクリニック 竹田弘先生のご指導も踏まえて記載しました。